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第一章 『古都編』

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「――■■■■、■■■■■■■■」
(……!)
 発された言葉が、知覚されない音としてニハマチの頭の中に響く。しかし、全身を巡る「■」の力が極限まで高まっているために、その言葉の意味、相手の伝えようとしている意思が霞みがかってぼやけていった。
 砂の王は虚空に手を振った。真っ白で柄の無い、刀剣を途中で折っただけのような無機質な得物が現れ、砂の王は自らの手にその刃を食い込ませるようにして持った。
 ニハマチと相手との距離はそこまで離れていない。砂の王はゆっくりと、庭の花を愛でるときのような歩みで近づいてくる。
(こっちから行くか……? いや、様子を見ろ。何をしてくるか分からない!)
 砂の王はニハマチから目を逸らさず、死んでいると言えば死んでいて、輝いていると言えば輝いているような不思議な瞳をしていた。
 ニハマチは、砂の王が持つ剣の間合いに入ったと認識した瞬間に、集中力を一気に高めた。彼の読みは当たり、砂の王は剣を振った。見切れる速さだった。
 しかし、超常的な知覚を持って見ている剣の軌道が、到達する寸前にさらりと砂の如く消失した。
「!?」
 砂の王の手は元の軌道のまま剣を振っている。しかし、確かに剣の実体がない。
 ニハマチは迎え撃つために振った槍をぎりぎりで止め、代わりに水を放出させた。水の盾を作り、どの方向からくるか分からない相手の斬撃を防ごうとしたのだ。
 剣の実体は元の軌道よりも高いところから現れた。いつの間にかそれは砂の王の手に握られており、先ほど見た最初の軌道に乗っていた手は残像のように消えてしまって、新しく現れた手とそれに繋がる腕、つまり剣の新しい軌道に影響される相手の部位が、いつの間にか相手の全身と違和感なく融合するように修正されているような不気味な感じがあった。
 剣撃は水の盾をものともせず、切り裂いて押し開き、偶然そこに重なっていたニハマチの槍とぶつかった。
「ううっ!」
 想像を絶する重さに叩き付けられ、ニハマチは砂漠のずっと向こうまで飛ばされた。体を何回か弾ませて立ち上がる。穂先から放出する水の力を最大限引き出し、次に備えた。
 ニハマチの額に、緊張の汗がじわりと滲み出る。
(さっきの姿のときとは比べものにならない……でも、よく持ってくれた)
 槍を労わるようにしてぎゅっと握りしめる。敵の攻撃がいかに強くとも、この槍が持つかどうかということが肝心だと彼は考えた。
 遠くに見える相手が剣を構える。そして、片足が地を蹴るのが見えた。砂の王が砂上を滑空するようにこちらへ迫ってくる。目を見張る速度ではなかったが、相手が剣を振る瞬間こそが肝要だった。
 ニハマチは全身の力を制御することに努めた。槍を右手に持ち替えて柄の中央を握り、槍から伝わる力と自身のものを混ぜ合わせ、なるべく全ての力が右の肩に繋がる筋肉から右手の指先までに集中するように高める。
 それは自己の全身強化と回避を捨てた諸刃の剣だった。穂先から右手までを循環する水流が超速で巡り、物体を切断できると思えるほどの勢いと化した。
 砂の王の剣が振られた。軌道は迫り――残像となって消える。真の斬撃をニハマチは見切り、槍を合わせた。
 途轍もない衝撃波が広がり、二人の足元の砂が爆発霧散した。
 穂先の付け根で剣と拮抗していると、砂の王の口が動いた。
「■ぜ、■■■■」
「どうした。言いたいことがあるなら言ってみろ!」
「……ぁぜ、たた■う」
「――!」 
(「なぜ、戦う」……?)
 男の人格と記憶の一部を融合させているニハマチの脳裏に、砂の軍勢と死闘を繰り広げた日々が生々しく思い出される。ニハマチは歯をすり潰さんばかりにぎりりと嚙みしめた。
「なぜだと……? お前が答えるといい。なぜお前たちは戦った! なぜ俺たちを蹂躙する!」
「な■……? ■れは、お前■ちが受ケイれぬ■らだ」
 砂の王は無機質な表情のまま、
「我々は上位種である。我々は世界への施しのため、我々の行いをしている。お前たちが拒む理由は存在しない」
 抑揚のない無機質な響き。ニハマチの感情に怒りが沸き起こった。途方もなく、行く宛のない怒り。
「ああそうさ……! そんなことは分かっている。お前たちがただの化物ということは……! だから俺たちはがむしゃらに抗い続けた。だがしかし……」
 震えて拮抗する両者の得物が、僅かに槍の方が剣を押し始めた。
 ニハマチは低く重い声音で言った。
「化け物が人間の言葉を真似するな……! 誇り高き俺たちの言葉を!」
 剣を大きく押し返すと、槍をすぐさま敵の胸に突き刺す。
「硬い!」
 腹を裂いた内側に現れたのは肉ではなく骨だった。穂先は頑丈な骨に止められ、表面を削りとるほどに留まる。 
 ニハマチはすぐさま後退し、槍を構え直した。
 すると、砂の王の周囲で、砂上から硬い砂の塊がせり上がった。砂漠より濃い茶色をしたそれは車輪の形をしていて、人一人よりも遥かに大きい。
 合計で四つ生み出された車輪は砂をまき散らしてその場で回転し、一気に加速を付けてニハマチへと向かった。
(くっ……当たるとまずいか?)
 車輪は砂上を切り裂くように迫る。避けるとしても、同時に四つを相手にしなければならず、ニハマチは別々の軌道で迫るそれらを読み切ろうとした。
(速いな……! 水を上手く使えれば……!)
 ニハマチは槍を通して伝わる力を操作し、記憶の中で男が水の球を作り出したように、形を変えたり飛ばしたりできるよう工夫した。
 しかし、槍に纏わるように水流を生み出したり、その強弱や流れを操作することはできるが、水を自在に動かす感覚は掴めそうにない。水の力の性質そのものを変化させることができない。
(……だめだ。彼の意思が頭に溢れてくるけど、彼の力をそのまま使える訳じゃない。俺がやっているのは力を操って水に影響を与えているだけだ。水自体を自在に操るには、俺の力は相性が悪いみたいだな)
 その間にも四つの車輪はニハマチへ迫り、一つがニハマチに襲い掛かった。槍で応じると、思ったよりも重さはなく、車輪は押し返されて逆回転しながら前方へ跳ね飛んだ。残りの三つも次々に襲い掛かり、二つ目は避け、三つ目は弾き返したが、四つ目がニハマチの左腕に激突した。
 骨が軋む嫌な感覚と痛みが走り、ニハマチの体が吹き飛ぶ。起き上がると、車輪はそれぞれ次なる襲撃のために大きな弧を描いていた。
 その更に向こうから、砂の王が不気味に整然とした歩みでニハマチを捉えている。当然のことながら、意思を持つ車輪に対応しながら砂の王を倒さなければならない。
 ニハマチは激情に滾る別人格を自らのものとしながら、力が暴れないように精神統一に努めた。この力は感情の高まりにも関係があるが、同時にとても繊細で、上手く操るには冷静さが必要だった。
 車輪が砂塵の唸りを上げてニハマチに迫り来る。相手の手数と速さから、四つ全てを捌ききることは難しい。
(砂嵐のときと同じ戦い方をするしかない)
 槍から発生する水を増幅し、推進力のある水流を作り出す。一見とても使いこなされた操作をしているように見えるが、要は水の力は槍の周囲とそれを取り入れる体の周囲であれば、ある程度自由に操作できるということだった。
(槍の力と俺の力を溶け合わせる。だんだん感覚にも慣れてきた) 
 推進力を前方に向けることで、ニハマチは水流に乗って砂の王へ突進した。砂嵐の中で戦っていたときは、戦闘中の直感によって無意識の内に行っていた操作だったが、ニハマチは次第に、自らと槍に流れる力の、今まで気付いていなかった性質に気付きつつあった。
 ゆっくりと歩む相手との距離が一気に詰まり、ニハマチは自分から槍を振るった。砂の王が軽々と刃を交わす。二つの得物が離れる。
(来る……!)
 ニハマチは相手の先手を許さずに再び槍を振るおうとしたが、引いた相手の刃は既に振り上げていた相手の腕に握られていた。それはまるで、初めからそこにあったかのように。
(またこれだ……!)
 刃が振り下ろされる。最初の動きからの瞬間移動じみた次の動きを読むことはできないため、消えた実体が現れた瞬間に合わせるしかない。水流の加速で穂先を持ち上げ、相手の攻撃を受けとめた。間一髪で間に合い、砂を踏みしめる両足が砂上をすべるように大きく後退する。
(どうすればいいだろうか……? このまま斬り合っても、俺の勝ち目はない)
 ニハマチは冷静に呼吸を挟み、力の制御に努めた。
 そうしているうちにも、車輪はニハマチを定めて機械的な挙動で襲い掛かった。水流に乗ることでその場を離れたが、水を放出し続けるのにも限度があるらしく、途中でニハマチを包む水の流れは消失してしまった。無防備なところへ車輪が次々と迫り、その連撃が止まぬうちに砂の王が追撃する。車輪に気を取られているうちに接近していた刃が振るわれ、咄嗟に受けとめた槍を持つ両腕に衝撃が走る。片手が反動で槍から離れ、もう片方の腕に鋭い痛み。
 上手く身を捻って刃をいなしてから、槍に復活した水流を使い、体を回転させて砂の王と車輪をまとめて追い払う。弾かれた車輪が回転を切り替えてまた向かってくる間に、頭上で鳴き声がした。
 甲高く鋭い声。見上げると、それは男の記憶で見た骨の鳥であった。
 細い体の骨格と不釣り合いに大きな顔と嘴。鳥は吠えるように鳴くと、上空から突進した。ニハマチがそれを避けると、鳥は再び上空に舞い、次の攻撃態勢に入った。
 ――さらに空の向こうから飛来する陰があった。どうやら、骨の鳥も一匹だけではないらしい。
(数が多い。砂の王に攻撃するどころか、このままだと……!)
 絶体絶命の状況、しかし、ニハマチは力の制御だけに努めた。
(もっと、この力のことを理解する必要がある。あと少し、あと少しで掴めそうなんだ。この力をまるごと俺の体に移す方法が……!)
 砂の王の刃が迫り、それを受け止めているうちに背後から来た車輪に体が吹き飛ばされる。呻きながら立ち上がり、しかし、やはりニハマチは槍から体内に受け取る力にのみ集中した。
 槍から感じる力というのは、槍から発生し、ニハマチの身体に受け取られている。すなわち、ニハマチの身体にもともと存在するそれと同じく、槍自体が生み出していると言ってよかった。
 ニハマチは不思議な森にいた頃、この力を実践的に使うことはなかった。そのため、彼は森の外に出てから初めて知ったのだが、力を使用した際に「息切れ」のようなものがあるのだ。槍も同様、力を無尽蔵に生み出すことは出来ないがために、さっきは途切れてしまった。
(つまり、力を使い果たしてしまうときがある。……じゃあ、力が槍や俺の体から無くなってしまったとき、一体どこから取り出しているのだろうか? ただ、その内部から自然に再生しているんだろうか?)
 ニハマチは自分にそう問い掛けてみたが、自身、答えは違った。
 男の意識と自らの意識を統合し、槍から伝わる力を通して槍の内部に敏感に感覚を張り巡らせているニハマチは、それを感じることができた。
 槍の中から取り出せる力の総量が高まると、槍という器に、新しく力が入ってくるのを感じるのだ。それは内部から生み出されているというより、外から力が侵入してくるのに近い感覚だった。
(――もしかすると、この力というのは、内部だけじゃなくて外にも存在するのかもしれない。俺たちが息として吸っているこの空気の中に……)
 ニハマチのその考えは、半分は正解であり、半分は否だった。
 ニハマチのような生物と違い、槍は確かに、外部から力を注入して造られているようなものではあったが、しかし、槍はそれ自体が異質な業物であるがゆえに、内部で力そのものを生成していた。その力が外部に干渉することで、水を生成している。
 力が無くなるというのは一時的なもので、ニハマチも槍も、内部の力を果たしてしまったとき、外の世界に微量に存在する力を内部に受け取って、再び力を生み出しているのだ。つまり、力を受け取る器そのものの質が重要であって、受け取る力は本来、ごく僅かで事足りる。
 ――しかし、この場においては違った。
 特殊な異空間と呼べるこの砂漠においては、本来空気中に僅かしか存在しないはずの力の根源が、通常とは比べ物にならないほどに満ちているのだ。体内に取り入れるには十分な量の数十倍のそれが、この空間には溢れていた。
 鳥と車輪の猛攻を捌ききれず、ニハマチの全身が傷ついていく。砂の王からの致命的な一撃だけは貰わないように気を付け、むしろ有象無象の攻撃は避けずに甘んじて受け入れることで、全身に大量の擦り傷を負い、血にまみれながらも、ニハマチは生存していた。
 朦朧とする意識の中、男の意識の中で燃える激情の炎がニハマチの意識を繋ぎ止め、戦う活力をもたらしていた。
 ニハマチは槍から受け取る力について、一つ明確な認識の誤りをしていた。しかし、だからこそ、その勘違いがニハマチに勝機をもたらしていた。
(この力は、世界の至るところに溢れているんだ。力を槍に取り入れ、それを水に変換している――その感覚を掴む!)
 ニハマチは一貫して砂の王だけに意識を向け、槍から伝わる力に全神経を注いだ。
 槍の内部にある力が、外部のそれを取り込むことがある。槍が外部と接続され、力を受け入れるときにできる入口を探る。自身の体を巡る力を利用し、体から槍へ延長させた感覚を一層研ぎ澄まして、槍すらも自らの一部になるほどに力を溶け合わせることで、槍が外部と繋がる瞬間を捉える。
(まだ完全じゃない。もっと、槍の力と俺の力を一体化する必要がある) 
 物言わぬ砂の兵がニハマチを滅多打ちにする。痛みに耐えながら砂の王の追撃だけを見切り、ただひたすらに感覚を研ぎ澄ませる。
(まだだ……もっと……もっと完全に、槍が俺の体だと感じるほどに……!)
 そして、その時はきた。
 延長されたニハマチの感覚は槍を己の一部とし、そこに取り入れられる外部との干渉を捉えた。あえて無暗に水の力を放出し尽したことで空になったところへ、外へ接続する感覚ははっきりと現れた。槍の内部から意識の手が伸びるようにして、ニハマチはその存在をしっかりと掴み取った。
 手繰り寄せ、槍がそれを必要とする以上に、自らの体内へ力を引き寄せる。
 ニハマチは、どっと全身に流れ込む力の激流を感じた。槍から流れてきたときの比ではない。まるで彼の体そのものを喰らい尽くすように、力が皮膚を突き破ろうとするが如くに暴れている。
(力を取り入れられる量に、器の限界があるんだ。このまま行けば、冗談抜きに破裂してしまうぞ……!)
 力は生きた獣のように体内を暴れ、辛うじて制御し得るニハマチの技術がなければ、すぐにでも力そのものに乗っ取られてしまいそうなほどであった。
(だが、まだだ……! まだ、あいつを倒すには足りない……!)
 すると、流れ込む力に耐え切れず、槍が手の中で砕けた。その瞬間、槍に元々存在した力が一気にニハマチへと移動した。それは、最も近いところにあった彼の右手に集合し、ニハマチが意識してそれを留めたことで、握った右拳を水の激流が包み込んだ。
 力の流入はひとまず止み、ニハマチは体内で唸りを上げているそれを必死に制御しようとした。
 しかし、余りにも取り入れた力が多すぎた。全身の各部にまんべんなく散らすことはできたが、その量が多すぎるが余りに、全身が心臓のように鼓動している。遂には皮膚が膨張し、彼の体にあった無数のすり傷が広がって血を出した。
「ぐうっ……あああああっ!」
(このままいけば、俺の体はもたんだろうな……)
 ニハマチは背後を振り返った。そこには、ぐったりと倒れるパントマの姿があった。恐らくまだ、死んではいない。
 砂の王を睨む。無機質な表情で間合いを測る存在を見ていると、彼の脳裏に、記憶の中で男が愛した女――ルイザの姿が、蜃気楼のように浮かんだ。
(ああ、そうだ。体など砕けてしまえばいい。生きていさえすればそれでいいんだ。生きていれば俺はルイザと会えた。こいつを倒さなきゃ、俺はここで終わってしまう。パントマも、俺の中に流れる、この人の思いも)
 ニハマチの拳を包む水流は、薄く拳と手首の表面に纏わって、一見して動きのない液体が接着しているかのようだった。しかし、実際はその内部で嵐のように荒れ狂い、渦を巻き、触れるものを全て切り刻む硬質へと変化していた。
 四方から車輪が襲い掛かった。まず体の右と左からきた二つを、腕を回転させる要領でまとめて殴りつける。車輪はたちまちに砕け散り、砂粒となって砂上に消えていった。上空から襲いくる鳥の群れも、残りの車輪も、身体能力を限界突破させたニハマチは、恐るべき速さで一つずつ迎えうった。その全てが粉々に崩れ、気づけば、砂上には再び、ニハマチと砂の王だけとなった。
 ニハマチは相手を見据え、立ち尽くして待った。砂の王はこちらの変化に気付いたのか、すぐに攻めようとはせず、一瞬で詰められるような距離にいながらもじっとこちらの様子を伺っている。
 砂の空間は音一つせず、男の記憶が凪いだ意識の中でさざめく。
 ……ついに、数多の戦友の仇を取れる、人生を滅茶苦茶にしてくれた宿敵を討てる。
 砂の王が一息に飛び込んだ。
 刃だけの剣が一度で二度振られる。ニハマチはその二度目の軌跡を見極め、現在を修正して新たな未来に現れる虚の剣を躱した。
 ――しかし、虚はもう一度起こった。三度目が真の剣となり、ニハマチの腹にずぶりと突き刺さる。
「う”っ!」
(しまった! しかし、刺し違えてでも!)
「ああああああッ!」
 みぞおちへその拳を叩き込む。
 纏われた水の刃が、砂の王の真っ白な骨を切り裂きながら砕く。拳は体を貫いた。
 砂の王は静止し、パラパラと砂となって砂上に崩れていった。
 ニハマチの全身から力が抜け、砂上へ頽れる。
「やった……やったぞ……」
 流れる血がじわりと砂に染み込み、周囲を鮮やかな色に染めていく。ニハマチの意識から、男の意識がすっと乖離していくのが分かった。
(勝った、けど……ああ、そうか。この体では、もう……)
 ニハマチは死を覚悟した。そして、こんなにもあっさりと人は死ぬのだと、遠くなる意識の中で他人事のように思った。
(……空の上、もう一つの世界……。行きたかったけど、しょうがないな。森のみんなは、俺なら行けると言ってくれていたけど……ここで死んでしまうのも、ある意味運命なのかもしれない……)
 ニハマチは首を回して、パントマのいる方を見た。
(きっと大丈夫だろう……この世界がもうすぐ消え去るのを感じる……誰かがパントマを見つけてくれればいいけど)
 薄れゆく視界の端で、怪物が砂と消えたところから輝く光が現れるのを感じながら、意識はそこで途絶えた。
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