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小話「にんげんごっこ」

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   *本編とは直接関係の無い話なのでお読みなさらなかったとしても支障はないと思います。レノクィームの話です。

   人間ってなんでこんなにも面倒臭い?
 ジェイクはいつも悲しそうな顔をしていた。僕は泣くことが出来ないからなんで?どうして?って聞いたことがある。
 
 「ジェイクはどうして泣いているの?」
 「僕は、僕はね、自分が許せないんだ」
 「なんで?」
 ジェイクは何も悪くないのに。悪いことをしていないのに悪だと決め付けられるなんて人間の方が酷いじゃないか。自分のせいと責めるジェイクのことが悪魔の僕には理解出来なかった。
 「レノと契約を結んでシノを助けてもらったのに、それはとっても嬉しいことなのに、僕はそれを後悔しているんだ。こんなに痛いなら、苦しいなら、契約なんて結ばなきゃ良かったって思ってる自分が嫌いなんだ」
 「ジェイクは悪くない」
 それは丁度良いからとジェイクと契約を結んだ僕が悪いことにはなるのだけれどそんなわけないし病気だったシノだって悪いんだ。痛そうに話すジェイクを見て思う。僕は契約している人の痛みはどうすることも出来ない。だって痛みを取ったら僕は生きられないから。
 「レノは優しいよね」
 「僕は悪魔だよ」
 「はは、そうだったや」
 疲れたように笑うジェイクに少しだけ寂しい気持ちになる。
 人間ってやっぱりめんどくさい。僕は悪魔でしかないからなんにも分かんないんだよ。僕の知らない感情を持っているなんてズルい。魔物と全然違う人間は嫌いだ。痛みに唸るジェイクの膝に乗るとジェイクにぐにぐにと体を握られる。ちょっとだけ痛いけれどジェイクはこうしていると落ち着くらしいからまあいいかなと許している。
 
 フィンリーはあまり人間らしくないと思う。あまり痛がらないしたまに思い詰める表情はするが悲しいという感情は口にしない。そういうものだと割り切っているような。闇魔法の研究に興味があるところはジェイクと一緒だけれど。フィンリーとジェイクに共通項を見つけて安堵している自分を変だと思った。
 ジェイクが苦しまなくなるし闇属性のフィンリーと契約を結んで聖属性を倒すのに前進したからジェイクとの契約を解除出来て良かったはずなのにちょっとだけ後悔しているのは悪いことだと思ったけれど、そういえば僕は悪魔だった。
 お腹が空いたから闇を食べよう。
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