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不透明な腹の内 *
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*はR-15かなと思いましたので付けました。
他の人の闇を原動力に出来る闇魔法って使い方よれば聖属性と似ているんじゃないか?だって他の人から闇をなくせるわけだから。まあ事実上闇はなくならないし僕が魔法として使わなければいけないけれど。使い方は分かるけれど使い道が分からない。
和気藹々とランチを楽しんでいるほど仲が着々と深まっているジェシカと攻略対象に対してフィンリーは闇魔法についてほとんど分からない現状に少し焦っていた。
「レクー……どうしよう」
「僕も分かんないよ」
レクとの会話は音声遮断魔法を使っているから他の人には聞こえないが図書館だからとついつい小声になってしまう。
「レクとか他の魔族はどういう魔法が使えるの?」
「あー、僕は闇を食べることと相手にただ投げることしか出来ないけれど闇を夢で……うげっウィリアム、今日も来たのかよ、じゃあね」
そう言って話の途中で外にフワフワ飛んでいくレク。
「こんにちは、フィンリー」
最後まで聞きたかったのに……と思ったのでレクが逃げてしまった原因であるウィリアム様に少しぶっきらぼうに嫌味を交えて答える。
「どうも、丁度勉強していたところです」
「そうだったんだ、邪魔してしまったかな?ごめんね、それは数学?どこか分からないところがあるなら教えよう」
爽やかに返されて不服だ。しかもさりげなく隣に座られた、まずい。カモフラージュするために問題集をちゃんと用意しといて良かった。
「今のところは特に大丈夫です。計算問題の演習をしていただけなので、あの」
別に助けは求めていないので帰ってくれなんて言えないので困る。そんな僕を知ってか知らずかお構い無しに話しかけてくるウィリアム様
「毎日図書館にいるなんてフィンリーはとても偉いね」
なんて褒められてしかも撫でられてしまった。困る理由はここにもある、ウィリアム様はスキンシップが多いのだ。学園に入る前、というか最近までこんなに多くなかったのに。
「そういえば最近毎日会いますね」
「そりゃあ会いに来ているからね」
やっぱり故意なのか。明日からどこに行こうかな。中庭は人が多くて嫌だな。でも、前逃げようとしたら付いてきたから無駄かもしれない……。
「暇なんですか?前はレオンハルト様と一緒にご飯食べていたじゃないですか」
「いや、フィンリーもそこにいれば良いのにいないから気になって」
「僕が半悪魔になったからですか?」
「それもあるけど純粋に会いたくてね」
嘘か本当か分からない笑顔はやっぱりちょっと苦手だ。
感情の読めない会話をしていたからか頭痛がしてきてお腹が空いてきた、なんで急に。顔も熱い気がする。そのまま視界が暗くなった。
目覚めると薬品の匂いがした。保健室だ。ぼーっとしているとチャイムが鳴ってその後ウィリアム様が来た。何やら焦ってそうだ。その姿を見て眠った経緯を思い出して首を傾げていると話しかけられた。
「フィンリーごめん、今君は魔力量がとても少ない状態だから今から渡すね」
「ありがとうございます」
「あー、ごめん本当に」
はてなマークが浮かんだ頭で考えられずにそのまま礼を言ったら本当に申し訳ないというような顔で謝られて更に頭の中にはてなマークが浮かんだ。飽和状態だ。
何となく魔力譲渡が行われるんだなと思いながら手を握られて少ししたら魔力が流れてきた。少ない。本能がこれじゃ少ないぞと言っている。今が何時か分からないが多分このままだと日が暮れるだろう。
あまりのもどかしさにフィンリーは絡まってた指を解いてさまよったウィリアムの指を咥えた。
「フィンリー?!」
美味しい。なんて美味しいんだろう。今まで少しずつ他の人から貰っていたが格別な美味しさでどうしよう。そう思っていると少しして指が取られそうになったので、そうはさせないと両手で腕を掴んだ。咎めるようにウィリアムと目を合わせるとアメジスト色の瞳がすぐに逸らされたのでイラッときて指を噛んでしまった。すると、突然口の中が冷たくなってびっくりして指から口を外した。
ウィリアム様は氷属性だったなとちょっとだけ靄が晴れた頭で考える。
「ごめんなさい」
「いや、元はと言えば私のせいだから」
なんで、と思ったけれどそう言うのならそうなんだろうと納得して、じゃあまだくれるよねと相手の目を見ると今度は逸らされず困ったように笑ったのでこれはまだいけそうだぞとすかさず言った。
「もっと欲しいです」
「んん、そうだな」
と言って手を絡めてきたので魔力を享受するがやっぱり少ない。抗議するように上を見ると危機を感じたのか手が引っ込められたので仄暗い感情が胸を占める。くれるって言ったのに酷いじゃないか。魔力譲渡の効率良い方法ってなんかないかな、あ、あるじゃん。と、魔力が欲しい一心で相手の唇に自分のを重ねた。逃げる舌に自分のを絡めると指よりもっと甘い魔力が流れてきた。これは癖になりそうだ。と、そのまま一滴も逃さないように甘い蜜を吸っていると段々靄が晴れて急に覚醒した頭でこれはまずいと逃げようとした。すると今度は逃がすまいと舌が絡め取られて吸われて腰に甘い痺れが広がって息の仕方がまるで分からなくなって溺れそうだと縋るように相手を見ると、普段温度の無いように見えるアメジストに熱が見え隠れしていたのでもっとどうしていいのか分からなくなって逸らすと口が離された。
「ぷはっ」
めいっぱい酸素を取り込むと落ち着いたがそれと同時に焦りの感情がどんどん増えて
「ごめんらさい!」
と回らない舌で謝罪してはもう空気感に耐えられずそのまま顔を見ずに逃げた。腰から崩れそうになったが耐えた。耐えた。
相手から魔力を貰っておいてお礼もしなければ謝罪は駄目でしかも逃げるって人間として最悪じゃないか。半悪魔だった。
魔力甘かった。そんな幸せに浸って悪魔で悪役な自分を少し恨めしく思ったので、これで昼休みはレクと闇魔法についての考察が出来るぞ!なんて無理矢理奮起させては夜の静けさ涼しさ相まって突如生まれた切なさと熱に蓋をするのだった。
他の人の闇を原動力に出来る闇魔法って使い方よれば聖属性と似ているんじゃないか?だって他の人から闇をなくせるわけだから。まあ事実上闇はなくならないし僕が魔法として使わなければいけないけれど。使い方は分かるけれど使い道が分からない。
和気藹々とランチを楽しんでいるほど仲が着々と深まっているジェシカと攻略対象に対してフィンリーは闇魔法についてほとんど分からない現状に少し焦っていた。
「レクー……どうしよう」
「僕も分かんないよ」
レクとの会話は音声遮断魔法を使っているから他の人には聞こえないが図書館だからとついつい小声になってしまう。
「レクとか他の魔族はどういう魔法が使えるの?」
「あー、僕は闇を食べることと相手にただ投げることしか出来ないけれど闇を夢で……うげっウィリアム、今日も来たのかよ、じゃあね」
そう言って話の途中で外にフワフワ飛んでいくレク。
「こんにちは、フィンリー」
最後まで聞きたかったのに……と思ったのでレクが逃げてしまった原因であるウィリアム様に少しぶっきらぼうに嫌味を交えて答える。
「どうも、丁度勉強していたところです」
「そうだったんだ、邪魔してしまったかな?ごめんね、それは数学?どこか分からないところがあるなら教えよう」
爽やかに返されて不服だ。しかもさりげなく隣に座られた、まずい。カモフラージュするために問題集をちゃんと用意しといて良かった。
「今のところは特に大丈夫です。計算問題の演習をしていただけなので、あの」
別に助けは求めていないので帰ってくれなんて言えないので困る。そんな僕を知ってか知らずかお構い無しに話しかけてくるウィリアム様
「毎日図書館にいるなんてフィンリーはとても偉いね」
なんて褒められてしかも撫でられてしまった。困る理由はここにもある、ウィリアム様はスキンシップが多いのだ。学園に入る前、というか最近までこんなに多くなかったのに。
「そういえば最近毎日会いますね」
「そりゃあ会いに来ているからね」
やっぱり故意なのか。明日からどこに行こうかな。中庭は人が多くて嫌だな。でも、前逃げようとしたら付いてきたから無駄かもしれない……。
「暇なんですか?前はレオンハルト様と一緒にご飯食べていたじゃないですか」
「いや、フィンリーもそこにいれば良いのにいないから気になって」
「僕が半悪魔になったからですか?」
「それもあるけど純粋に会いたくてね」
嘘か本当か分からない笑顔はやっぱりちょっと苦手だ。
感情の読めない会話をしていたからか頭痛がしてきてお腹が空いてきた、なんで急に。顔も熱い気がする。そのまま視界が暗くなった。
目覚めると薬品の匂いがした。保健室だ。ぼーっとしているとチャイムが鳴ってその後ウィリアム様が来た。何やら焦ってそうだ。その姿を見て眠った経緯を思い出して首を傾げていると話しかけられた。
「フィンリーごめん、今君は魔力量がとても少ない状態だから今から渡すね」
「ありがとうございます」
「あー、ごめん本当に」
はてなマークが浮かんだ頭で考えられずにそのまま礼を言ったら本当に申し訳ないというような顔で謝られて更に頭の中にはてなマークが浮かんだ。飽和状態だ。
何となく魔力譲渡が行われるんだなと思いながら手を握られて少ししたら魔力が流れてきた。少ない。本能がこれじゃ少ないぞと言っている。今が何時か分からないが多分このままだと日が暮れるだろう。
あまりのもどかしさにフィンリーは絡まってた指を解いてさまよったウィリアムの指を咥えた。
「フィンリー?!」
美味しい。なんて美味しいんだろう。今まで少しずつ他の人から貰っていたが格別な美味しさでどうしよう。そう思っていると少しして指が取られそうになったので、そうはさせないと両手で腕を掴んだ。咎めるようにウィリアムと目を合わせるとアメジスト色の瞳がすぐに逸らされたのでイラッときて指を噛んでしまった。すると、突然口の中が冷たくなってびっくりして指から口を外した。
ウィリアム様は氷属性だったなとちょっとだけ靄が晴れた頭で考える。
「ごめんなさい」
「いや、元はと言えば私のせいだから」
なんで、と思ったけれどそう言うのならそうなんだろうと納得して、じゃあまだくれるよねと相手の目を見ると今度は逸らされず困ったように笑ったのでこれはまだいけそうだぞとすかさず言った。
「もっと欲しいです」
「んん、そうだな」
と言って手を絡めてきたので魔力を享受するがやっぱり少ない。抗議するように上を見ると危機を感じたのか手が引っ込められたので仄暗い感情が胸を占める。くれるって言ったのに酷いじゃないか。魔力譲渡の効率良い方法ってなんかないかな、あ、あるじゃん。と、魔力が欲しい一心で相手の唇に自分のを重ねた。逃げる舌に自分のを絡めると指よりもっと甘い魔力が流れてきた。これは癖になりそうだ。と、そのまま一滴も逃さないように甘い蜜を吸っていると段々靄が晴れて急に覚醒した頭でこれはまずいと逃げようとした。すると今度は逃がすまいと舌が絡め取られて吸われて腰に甘い痺れが広がって息の仕方がまるで分からなくなって溺れそうだと縋るように相手を見ると、普段温度の無いように見えるアメジストに熱が見え隠れしていたのでもっとどうしていいのか分からなくなって逸らすと口が離された。
「ぷはっ」
めいっぱい酸素を取り込むと落ち着いたがそれと同時に焦りの感情がどんどん増えて
「ごめんらさい!」
と回らない舌で謝罪してはもう空気感に耐えられずそのまま顔を見ずに逃げた。腰から崩れそうになったが耐えた。耐えた。
相手から魔力を貰っておいてお礼もしなければ謝罪は駄目でしかも逃げるって人間として最悪じゃないか。半悪魔だった。
魔力甘かった。そんな幸せに浸って悪魔で悪役な自分を少し恨めしく思ったので、これで昼休みはレクと闇魔法についての考察が出来るぞ!なんて無理矢理奮起させては夜の静けさ涼しさ相まって突如生まれた切なさと熱に蓋をするのだった。
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