28 / 43
◇嘘つきはどっち?◇
-28-
しおりを挟む
「……一気に静かになりましたね。この、いつもの静けさがホッとします」
そう呟いた植田くんの言葉に、私は無言でうなずく。
——気持ちは凄くわかる。
散々好き勝手に言われ、しかも扉付近があの騒ぎで塞がってしまっていたせいで、田中さんと植田くんは動くに動けず完全に足止めを食らっていた。私はというと、あの輪の中に入る気にもなれず、かといって無理に抜けるのも気まずく。
「今日も凄かったなぁ……俺、昨日も全く同じ光景を見せられたんだぜ」
何もしていなかったのに、何だか疲れ切っている田中さん。いつも騒がしいくらいなのに、こんな田中さんを見るのは珍しい。
「そうですね。やっぱ女の人って怖いですね」
黒縁眼鏡をクイッと人差し指であげる植田くんの顔も、明らかに引き攣っている。
「俺、明日も遅番なんだけどさ。……あれを三日連続で見なきゃいけないの?砂東フロア長は悪くないんだけど、明日のことを想像しただけでゲンナリするわ……」
田中さんは、どこか遠い目で呟く。
「そうですよね~。でも僕は、明日は公休なんで。良かったぁ」
「私も明日は朝からなんで。田中さん。どんまいです」
励ますつもりがどうしても吹き出す私に「裏切り者。」とボソッと呟き、深いため息を吐いた田中さんが不憫でならない。
「……それじゃあ、ウッディ、甘味っち。俺達も帰ろっか…。早く帰って明日に備えなきゃ。明日もボロクソだろうけどね」
田中さんの半ばやけくそ気味な自虐に、私と植田くんは苦笑いしながら田中さんの後に続き事務所を後にしようと扉の前にいき。
「田中、お先にあがります。お疲れっした」
事務所に残る岸川店長と砂東フロア長と、今まで自分のデスクでひっそりと身を潜めていた熊野フロア長が返事を返し。
「植田もあがります。お疲れ様でした」
これまた挨拶を返す管理職達。
「甘味もあがります。お疲れ様でっ、」
「甘味はちょっと待て」
砂東フロア長に食い気味に阻止された私の挨拶。
「フフッ。甘味っち。どんまいだよ」
「甘味さん、お先にすいません」
ついさっきまで仲間だったはずの二人は、あっさり私を裏切り帰っていった。
コイツは上司
コイツは上司!
コイツは上司!!
苛立つ気持ちを落ち着かせようと、鼻から思いっきり息を吸い込み、念仏の様に3回自分に言い聞かせる。
その間に、砂東フロア長は前髪をサッとかき上げ、偉そうに自分のデスクに足を組み座っていて。その代わりようは、ついさっきまでよそ行きの態度で遠藤ちゃん達に接していたのが嘘のようだ。
「…何でしょう」
「甘味も今日はありがとう。本当助かったよ。甘味がいてくれて良かった」
コイツの口から、こんな純粋な"ありがとう“を聞くなんて。
「え…。あ…。いや、どーいたしまして」
さっきの倉庫の続きで、またお小言でもくらうのかと身構えていたが拍子抜けだ。
あの頃の"砂東くん"からは想像出来ない言葉が飛び出し、人間って変わるもんだな~。と、人類の進歩に感動さえ覚える。
さっきだって、自分の身をていしてまで私の事を守ってくれたし。
砂東フロア長と私。
嫌な思い出の方が多かったけど、もう十数年前の事なんだし、昔の事は水に流してあげてもいいかもしれない。
うじうじと昔の事を引きずるなんて私らしくないし、昔ほど性悪でもなさそうだし、少しはこちらからも砂東フロア長に歩みよってみてもいいんではないか。
「私のっ、」
とりあえず、倉庫での出来事を謝ろうとした瞬間、砂東フロア長の声に私の声はかき消され。
「それはそうと、何だこの売上?今日3万しか売れてねーじゃん。これじゃ個人別売上が前年割っちまうぞ。本社からは売り場社員は前年120%キープするよう言われてただろ」
前言撤回。
歩み寄ろうと出しかけた足をすっと引っ込め。
「それ、正気で言ってるんですか?!砂東フロア長がいちいちいちいち私を呼び止めるから自分の売上まで手が回らなかったんですけど?!私の言ってる事、何か間違ってます??!」
「だから、ちゃんとお礼は言っただろ。これからもよろしくな。期待してるぞ」
「……今日だけじゃなくて?!」
確かにそう岸川店長に言われてはいたが、あの仕事量をまた明日もこなさないといけないのかと思うと気が狂いそうだ。
「当たり前だろ??あの量を俺1人で捌ける訳ないだろ。昨日の分もまだ残ってんだぞ。」
「たった今、自分が言った事覚えてます?!私の売上げはどーすんですか?!それに、私じゃなくて他の人でもいいですよね?!それこそ遠藤さんとか濱田さんとかっ。」
取り巻きなら幾らでもいるでしょ!と私以外なら誰でもいいと、さっきまで居た人達の名前を次々に挙げていく。
「レジ者を使う訳にはいかないだろ。エンタメコーナーの濱田さんに言った所で勝手が分かんねーだろうし。それに、こういうのは休みの日の引継ぎだってあるんだから1人に絞ってた方が効率的だしな。そう考えると適任者は甘味しかいねーだろ?」
偉そうな態度で好き勝手に自分の考えを押し付けてくる砂東フロア長にもムカつくが、何の助け舟も出さずにウンウンとただ頷いているだけの隣りのデスクに座っている熊野フロア長にも腹が立つ。
「言ってる事はわかるけど、だから、私の売上はどーすんのって言ってんの!売上が落ちたらボーナス査定にも響くでしょ!」
「俺がいない時に上げればいーじゃん。お前の前年の数字を見る限り出来ない数字じゃねーだろ。お前これ、今年の事考えて前年の後半売上げ抑えただろ。ボーナス査定を引き合いに出すんなら、尚更サボってんじゃねーよ。ま、この続きはまた明日だ。今日は遅いからもういいわ。じゃ、おつかれ」
理詰めされるとぐうの音も出ない。
やっぱり大嫌いだ。
私のコイツに対する拒否反応は間違っていなかった。
私達のやり取りを目を丸くして見ている熊野フロア長に、沸々と湧き上がる怒りをぶつけようひと睨みするも曖昧な笑顔で返され。
「…あれ?帰んねーの?なら、まだ手伝ってもらう事は山ほどあるけど。どーすんの?」
「そんな無駄な残業しないわよ!帰るに決まってんでしょ!お疲れ様でした!」
「お前、歩いて帰ってるんだろ?暗いんだから気をつけて帰れよ?」
「分かってんなら引き止めないでよね!」
バタン!と勢い任せに事務所の扉を閉めた後。
「久しぶりにあんな白熱した甘味ちゃん見たよ」
「甘味くんは違う意味で怖いね」
「ククッ。…そっすね。でもアイツ、要領いいし細かいことまで目がいきますよ。実際、すげー頼りになります」
なんて管理職3人のやり取りを、急上昇したストレスをどのお酒で発散しようかしか考えていない私が知る由もなかった。
そう呟いた植田くんの言葉に、私は無言でうなずく。
——気持ちは凄くわかる。
散々好き勝手に言われ、しかも扉付近があの騒ぎで塞がってしまっていたせいで、田中さんと植田くんは動くに動けず完全に足止めを食らっていた。私はというと、あの輪の中に入る気にもなれず、かといって無理に抜けるのも気まずく。
「今日も凄かったなぁ……俺、昨日も全く同じ光景を見せられたんだぜ」
何もしていなかったのに、何だか疲れ切っている田中さん。いつも騒がしいくらいなのに、こんな田中さんを見るのは珍しい。
「そうですね。やっぱ女の人って怖いですね」
黒縁眼鏡をクイッと人差し指であげる植田くんの顔も、明らかに引き攣っている。
「俺、明日も遅番なんだけどさ。……あれを三日連続で見なきゃいけないの?砂東フロア長は悪くないんだけど、明日のことを想像しただけでゲンナリするわ……」
田中さんは、どこか遠い目で呟く。
「そうですよね~。でも僕は、明日は公休なんで。良かったぁ」
「私も明日は朝からなんで。田中さん。どんまいです」
励ますつもりがどうしても吹き出す私に「裏切り者。」とボソッと呟き、深いため息を吐いた田中さんが不憫でならない。
「……それじゃあ、ウッディ、甘味っち。俺達も帰ろっか…。早く帰って明日に備えなきゃ。明日もボロクソだろうけどね」
田中さんの半ばやけくそ気味な自虐に、私と植田くんは苦笑いしながら田中さんの後に続き事務所を後にしようと扉の前にいき。
「田中、お先にあがります。お疲れっした」
事務所に残る岸川店長と砂東フロア長と、今まで自分のデスクでひっそりと身を潜めていた熊野フロア長が返事を返し。
「植田もあがります。お疲れ様でした」
これまた挨拶を返す管理職達。
「甘味もあがります。お疲れ様でっ、」
「甘味はちょっと待て」
砂東フロア長に食い気味に阻止された私の挨拶。
「フフッ。甘味っち。どんまいだよ」
「甘味さん、お先にすいません」
ついさっきまで仲間だったはずの二人は、あっさり私を裏切り帰っていった。
コイツは上司
コイツは上司!
コイツは上司!!
苛立つ気持ちを落ち着かせようと、鼻から思いっきり息を吸い込み、念仏の様に3回自分に言い聞かせる。
その間に、砂東フロア長は前髪をサッとかき上げ、偉そうに自分のデスクに足を組み座っていて。その代わりようは、ついさっきまでよそ行きの態度で遠藤ちゃん達に接していたのが嘘のようだ。
「…何でしょう」
「甘味も今日はありがとう。本当助かったよ。甘味がいてくれて良かった」
コイツの口から、こんな純粋な"ありがとう“を聞くなんて。
「え…。あ…。いや、どーいたしまして」
さっきの倉庫の続きで、またお小言でもくらうのかと身構えていたが拍子抜けだ。
あの頃の"砂東くん"からは想像出来ない言葉が飛び出し、人間って変わるもんだな~。と、人類の進歩に感動さえ覚える。
さっきだって、自分の身をていしてまで私の事を守ってくれたし。
砂東フロア長と私。
嫌な思い出の方が多かったけど、もう十数年前の事なんだし、昔の事は水に流してあげてもいいかもしれない。
うじうじと昔の事を引きずるなんて私らしくないし、昔ほど性悪でもなさそうだし、少しはこちらからも砂東フロア長に歩みよってみてもいいんではないか。
「私のっ、」
とりあえず、倉庫での出来事を謝ろうとした瞬間、砂東フロア長の声に私の声はかき消され。
「それはそうと、何だこの売上?今日3万しか売れてねーじゃん。これじゃ個人別売上が前年割っちまうぞ。本社からは売り場社員は前年120%キープするよう言われてただろ」
前言撤回。
歩み寄ろうと出しかけた足をすっと引っ込め。
「それ、正気で言ってるんですか?!砂東フロア長がいちいちいちいち私を呼び止めるから自分の売上まで手が回らなかったんですけど?!私の言ってる事、何か間違ってます??!」
「だから、ちゃんとお礼は言っただろ。これからもよろしくな。期待してるぞ」
「……今日だけじゃなくて?!」
確かにそう岸川店長に言われてはいたが、あの仕事量をまた明日もこなさないといけないのかと思うと気が狂いそうだ。
「当たり前だろ??あの量を俺1人で捌ける訳ないだろ。昨日の分もまだ残ってんだぞ。」
「たった今、自分が言った事覚えてます?!私の売上げはどーすんですか?!それに、私じゃなくて他の人でもいいですよね?!それこそ遠藤さんとか濱田さんとかっ。」
取り巻きなら幾らでもいるでしょ!と私以外なら誰でもいいと、さっきまで居た人達の名前を次々に挙げていく。
「レジ者を使う訳にはいかないだろ。エンタメコーナーの濱田さんに言った所で勝手が分かんねーだろうし。それに、こういうのは休みの日の引継ぎだってあるんだから1人に絞ってた方が効率的だしな。そう考えると適任者は甘味しかいねーだろ?」
偉そうな態度で好き勝手に自分の考えを押し付けてくる砂東フロア長にもムカつくが、何の助け舟も出さずにウンウンとただ頷いているだけの隣りのデスクに座っている熊野フロア長にも腹が立つ。
「言ってる事はわかるけど、だから、私の売上はどーすんのって言ってんの!売上が落ちたらボーナス査定にも響くでしょ!」
「俺がいない時に上げればいーじゃん。お前の前年の数字を見る限り出来ない数字じゃねーだろ。お前これ、今年の事考えて前年の後半売上げ抑えただろ。ボーナス査定を引き合いに出すんなら、尚更サボってんじゃねーよ。ま、この続きはまた明日だ。今日は遅いからもういいわ。じゃ、おつかれ」
理詰めされるとぐうの音も出ない。
やっぱり大嫌いだ。
私のコイツに対する拒否反応は間違っていなかった。
私達のやり取りを目を丸くして見ている熊野フロア長に、沸々と湧き上がる怒りをぶつけようひと睨みするも曖昧な笑顔で返され。
「…あれ?帰んねーの?なら、まだ手伝ってもらう事は山ほどあるけど。どーすんの?」
「そんな無駄な残業しないわよ!帰るに決まってんでしょ!お疲れ様でした!」
「お前、歩いて帰ってるんだろ?暗いんだから気をつけて帰れよ?」
「分かってんなら引き止めないでよね!」
バタン!と勢い任せに事務所の扉を閉めた後。
「久しぶりにあんな白熱した甘味ちゃん見たよ」
「甘味くんは違う意味で怖いね」
「ククッ。…そっすね。でもアイツ、要領いいし細かいことまで目がいきますよ。実際、すげー頼りになります」
なんて管理職3人のやり取りを、急上昇したストレスをどのお酒で発散しようかしか考えていない私が知る由もなかった。
0
あなたにおすすめの小説
僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~
葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。
「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。
新卒でセクハラ被害に遭い、職場を去った久遠(くおん)。
再起をかけた派遣先で、元カレとまさかの再会を果たす。
若くしてプロジェクトチームを任される彼は、
かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、
遠く、眩しい存在になっていた。
優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。
もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。
思わせぶりには騙されない。
ぽぽ
恋愛
「もう好きなのやめる」
恋愛経験ゼロの地味な女、小森陸。
そんな陸と仲良くなったのは、社内でも圧倒的人気を誇る“思わせぶりな男”加藤隼人。
加藤に片思いをするが、自分には脈が一切ないことを知った陸は、恋心を手放す決意をする。
自分磨きを始め、新しい恋を探し始めたそのとき、自分に興味ないと思っていた後輩から距離を縮められ…
毎週金曜日の夜に更新します。その他の曜日は不定期です。
好きの手前と、さよならの向こう
茶ノ畑おーど
恋愛
数年前の失恋の痛みを抱えたまま、淡々と日々を過ごしていた社会人・中町ヒロト。
そんな彼の前に、不器用ながら真っすぐな後輩・明坂キリカが配属される。
小悪魔的な新人女子や、忘れられない元恋人も現れ、
ヒロトの平穏な日常は静かに崩れ、やがて過去と心の傷が再び揺らぎ始める――。
仕事と恋、すれ違いと再生。
交錯する想いの中で、彼は“本当に守りたいもの”を選び取れるのか。
――――――
※【20:30】の毎日更新になります。
ストーリーや展開等、色々と試行錯誤しながら執筆していますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
不器用な大人たちに行く末を、温かく見守ってあげてください。
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
19時、駅前~俺様上司の振り回しラブ!?~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
【19時、駅前。片桐】
その日、机の上に貼られていた付箋に戸惑った。
片桐っていうのは隣の課の俺様課長、片桐課長のことでいいんだと思う。
でも私と片桐課長には、同じ営業部にいるってこと以外、なにも接点がない。
なのに、この呼び出しは一体、なんですか……?
笹岡花重
24歳、食品卸会社営業部勤務。
真面目で頑張り屋さん。
嫌と言えない性格。
あとは平凡な女子。
×
片桐樹馬
29歳、食品卸会社勤務。
3課課長兼部長代理
高身長・高学歴・高収入と昔の三高を満たす男。
もちろん、仕事できる。
ただし、俺様。
俺様片桐課長に振り回され、私はどうなっちゃうの……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる