願えば初恋

わいあーる

文字の大きさ
29 / 125
◇嘘つきはどっち?◇

-29-

しおりを挟む
今までの人生で、こんなに疲れた事があっただろうか。

なんて、これまた言い過ぎなのだが、日曜日でもないのに四六時中動いていた今日、そう感じてしまうくらい心も身体もズタボロだ。

「ちょっとは鍛えた方がいいかな…」

若さでどうにかしていた20代。

それも最後の歳が終わろうとしている中、最近、階段の上り下りでさえ若干足に疲れを感じる。

「タクシーに乗ろうかな。……いや、やっぱ歩くか」

このままいくと、30代はごまかしがきかないかもしれないと、そんな事を考えながら、とぼとぼと自分の住むアパートを目指して歩く。

そして家に着いてリビングに入るなり、着ていた服とズボンをポイポイッと脱ぎ捨て部屋着へさっと袖を通す。

「はぁ~楽だぁ~!さ、お風呂に行こうかな。……いや、今日は先にご飯にしよ」

21時閉店の私のお店、アパートに帰り着く頃には22時をゆうに過ぎている。

さすがにこの時間から夜ご飯を作るのは面倒だから、ラストまでの日は帰り道にあるコンビニに寄り、これも一人暮らしの特権だと夜ご飯を買って帰るという生活を送っていた。

だから、食費の為にも健康の為にも、なるべく家にいる時は自炊して、お昼ご飯は面倒くさくても手作り弁当。

「今日は何を飲もうかな~♪」

だけど、そこの健康はお構いなし。

「やっぱビールかな!」

何の迷いもなく冷蔵庫にレッツゴー!

「あ、そうだ!この前始まったドラマ見よっと。全自動録画のレコーダーって便利だよね~」

冷蔵庫に食材を切らした事はあっても、大好きなお酒は切らした事はない!

しつこいようだが、私にとってお酒は常備品だ。

「プハー!!この瞬間の為に生きてるって感じだなっ!」

いくらジジくさくても私は一人。

「うわぁぁ、チュウした!はぁ~、私なんてだいぶご無沙汰だよ。っ、やば。初っぱなから濃厚じゃん」

テレビに釘付けになりながらも、虚しく響く独り言。

一気に飲み干してしまった缶ビール片手にテレビ画面を見れば、イチャイチャなシーンがテレビ画面いっぱいに繰り広げられていて、疲れた身体には何とも刺激が強く。

リモコンを手に取り、ピッとテレビを消す。


「……お風呂掃除も面倒だし、今日はシャワーで済ませようかな。明日は朝番だし」

彼氏がいない生活にはとっくに慣れた。

けれども、やっぱり、一人が寂しい夜だってある。

現実味のない甘々な恋愛もののドラマなんか見ちゃった日には特に。

「はぁ~」

この先、新しい出会いなんてあるのかな。

大丈夫だよね、まだ若いんだし。

でももし、このまま一人ぼっちだったら…。

そんな不安をシャワーで一気に洗い流す。

そして、シャワーで全てリセットし終えた私は、長い髪をタオルドライ中に顔と身体のお手入れを行い、その後に今度は髪のお手入れをして。

面倒くさがりだけど、自分磨きには手を抜かない。

一応だけど大型店舗の理美容担当者としての見栄もあるし。


「やっと終わった」

もう寝るだけだとベッドになだれ込む。

「あ」

そう言えば、勇里から電話が来るはずだったと思い出し携帯電話を手に取ると、その画面には数十件ものLINEの通知が溜まっている。


「……うわぁ……」

お店の女性従業員だけで作成されたグループLINEには、【砂東フロア長の歓迎会はどうしますか?】と10分前に遠藤ちゃんからのメッセージが来ていて。

【絶対やろうよ!】
【じゃあ、今週の日曜日あたりがいいんじゃない?】
【急すぎない?みんな都合大丈夫かな?】
【善は急げって言うでしょ!砂東フロア長の予定さえ空いてれば大丈夫よ!】
【砂東フロア長ってお酒飲むのかな?】
【私、砂東フロア長の隣に座る!】
【ずるいー!私もー!】

ポポポポポポポポポと、すごいスピードで増えていくメッセージ。


「はぁ~、面倒くさいな…。ん~~。とりあえず……ほっとこ」

まだまだ盛り上がりをみせるLINEをそっと閉じて、私は一瞬で眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~

ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」  中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。  そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。  両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。 手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。 「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」  可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。 16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。  13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。 「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」 癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

珈琲とチョコレート

あすもすあ
恋愛
某食品卸会社に勤務する若い男女のほのぼのラブストーリーです。 中川彩夏 (なかがわあやか)(28)ボーカロイド・ココモ世羅が大好き。水星フーズ株式会社 マーケティング部 企画課所属。彼氏いない歴イコール年齢。黒髪ロングヘアー。見た目はクール系美人。話すと人懐こく親しみやすい。てきぱきこなすが詰めが甘くおっちょこちょい。ちょっと天然。色恋沙汰に関してはかなりずれている。家事・掃除大好き女子。好きな食べ物はチョコレート。163cm、52㎏。 森重智也 (もりしげともや)(27)水星フーズ株式会社 営業部 第二営業課。中途採用1年目。ドライブと飲み会と一人キャンプが趣味。今時ツーブロックの犬顔系男子。営業部ゆえ人当たりがよく人の懐に入るのがうまい。オンとオフの落差が激しい。休日は二日酔いで寝ているか外出しがちで家が汚い。掃除できない男子。好きな食べ物は肉料理。175cm、68kg。 よろしくお願いします。

取引先のエリート社員は憧れの小説家だった

七転び八起き
恋愛
ある夜、傷心の主人公・神谷美鈴がバーで出会った男は、どこか憧れの小説家"翠川雅人"に面影が似ている人だった。 その男と一夜の関係を結んだが、彼は取引先のマネージャーの橘で、憧れの小説家の翠川雅人だと知り、美鈴も本格的に小説家になろうとする。 恋と創作で揺れ動く二人が行き着いた先にあるものは──

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました

瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

思わせぶりには騙されない。

ぽぽ
恋愛
「もう好きなのやめる」 恋愛経験ゼロの地味な女、小森陸。 そんな陸と仲良くなったのは、社内でも圧倒的人気を誇る“思わせぶりな男”加藤隼人。 加藤に片思いをするが、自分には脈が一切ないことを知った陸は、恋心を手放す決意をする。 自分磨きを始め、新しい恋を探し始めたそのとき、自分に興味ないと思っていた後輩から距離を縮められ…

ひとつの秩序

水瀬 葵
恋愛
ずっと好きだった職場の先輩が、恋人と同棲を始めた。 その日から、南莉子の日常は少しずつ噛み合わなくなっていく。 昔からの男友達・加瀬透真は、気づけばやたら距離が近くて、優しいのか、図々しいのか、よく分からない。 好きな人が二人いるわけじゃない。 ただ、先輩には彼女がいて、友達は友達の顔をしなくなっていく。 戻れると思っていた関係が、いつの間にか戻れなくなっている。 これは、仕事も恋もちゃんとやりたいのに、だいたい空回りしている大人たちの、少し不器用なラブコメディ。

処理中です...