王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第1章 異世界入れ替り

比留間明夫02

　女神の視線はぼくやキャルロッテ王に向かない。
　まるで、見えてないように扱う。
　そして、女神は猫たちのほうへ。
　コヨミはそれに気が付いて、女神のところに歩いていく。
　女神は２匹のコヨミの前にしゃがむ。

「どうちたんですか～」
　猫につい言ってしまう言葉を発する。
　ぼくもよくコヨミにこれを言ってしまう。
　でも、たぶん猫たちはどうもしていないのに。

　猫たちは女神の手に頭をこすりつける。
　それからニャーニャーと鳴く。
　もしかして女神と会話しているのでは。

「それは大変ですね。
　わかりました。
　わたしが力を貸しましょうね」

　女神は二匹の猫を抱き上げる。
　それから、ぼくたちの方を見る。
　
「猫ちゃんたちの願い、聞き入れました。
　あなた方には入れ替ってもらいます」

「「え？」」
　キャルロッテ王とぼくは間の抜けた声を出す。

「だから、あなたがたを助けてやってくれというのが、猫ちゃんの願いなのです。
　ひとりは猫ちゃんの大好きな大きな猫。
　ひとりは餌をくれてトイレ掃除をしてくれる大きな猫。
　２人の大きな猫を助けてほしいというのが猫ちゃんたちの願いなのです」
　ぼくたちは人間じゃなくておおきな猫なんだ。
　それと後者は絶対ぼくだよな。
　
「それで、どうしてくれるというのだ！」
　キャルロッテは女神に問う。
　
「あなたたちには入れ替ってもらいます」

「どういうことだ。
　国が大変な時にわたしが王宮を離れることはできない」

「だから、入れ替ってもらうの。
　比留間がキャルロッテ王のかわりをすればいいんじゃないかしら。
　比留間は冒険を欲してたわね。
　こんな平凡な人生でいいのかって嘆いていたわね。
　だから冒険を与えてあげる。
　それから、キャルロッテ王は平穏と平和を求めてたわね。
　入れ替ればそれも手に入る。
　そういうことよ。ね、猫ちゃんたち」
　女神はそう言って猫にほおずりをするのだった。