王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第2章 異世界へ転移

比留間明夫08

「ようこそ、ニャルス城へ」
　ぼくは微笑みながら、部屋に入ってくる人たちに挨拶をする。
　ビジネススマイルを浮かべてだ。
　長い間サラリーマンをやっていたのだから、ビジネスマナーはいちおう身についている。
　といっても向こうの世界のマナーだけど。
　
「わたしが王のキャルロッテです。
　本日はよろしくお願いします」
　そう言って頭を下げる。
「どうぞ、おかけください」
　従者が各首脳の席に案内する。
　各席には名前の立札がある。
　それと照らし合わせて、各首脳の人を覚える。

　一番大きな戦士風の人はベリアード大帝。おつきの人も戦士って感じだ。
　一番小さな人はヴィルヘルム大統領。
　一番太っているのがアバドン議長。
　みんな、いかめしい顔をしている。
　それに対しぼくは笑顔で答える。

　首脳たちの心の声が流れ込んでくる。
　そう猫ちゃんが心を読んで、教えてくれるのだ。
　相手は王として振る舞いを創造していたのだろう。
　先代王と同じように思っていたみたいだ。
　それに比べぼくの態度は腰の低いジャパニーズビジネスマンの振る舞いだ。
　それもこの力は１０倍の効果を持つみたいだ。
　そう、向こうでの力は１０倍になるって言ってたし。
　好感度は凄く上がったみたいだ。
　首脳たちの警戒度が解かれていくのがわかる。

「丁重なご挨拶ありがとうございます。
　キャルロッテ王はなかなかの人物のようですね。
　先代王と違って」
　ヴィルヘルムがわたしに握手を求める。

「いえ、まだ青二才ですよ」
　そう言って右手を預ける。

「それにしても、いい決断をしてくれた。
　無駄な戦争をしなくて済んだ。
　礼を言う」
　ベリアードも握手を求める。
　
「ええ、国民のことをよろしくお願いします」
　ぼくは両手で手を握る。

「もちろんですよ。
　我が国の国民として分け隔てなく扱わせていただきますよ」
　アバドンとも握手をする。
　まあ、みんな言ってることと考えていることは違う。
　それはキャットＧＰＴが全部教えてくれる。
　相手の考えていることがわかるっていうのは、本当にチートツールだ。

「それでは、今後の我が国のことについて話合いましょう」
　わたしはそう言って人懐っこい笑顔を浮かべるのだった。