王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

PYON

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第3章 ビリジアンテ連邦国

ビリジアンテ連邦国 アバドン議長05

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 戦場からの早馬が来る。
 定期報告ではない。緊急の早馬だ。
 もう、ニャール王国は降伏したのだろうか?
 わたしは使者に渡された書簡を広げる。
 アンドレア大将からの書簡だ。
 そこには信じられないことが書いてあった。

 銃という武器の対策として盾の壁を作ったが、自走式の鉄の馬車により、すぐに壊されたのだ。
 そればかりか、農奴軍が裏切り反乱をはじめた。
 粗末な武器しか与えていないはずが、500騎以上の騎馬を操り、全員が鉄製の武器を持っているとのことだ。
 とくにギオルグ族が恐るべき強さでわが軍を蹂躙しているのだ。
 そればかりか、後ろに注意を払わなければならなくなった軍を、ニャール軍が攻め始めた。
 その軍は戦の天才マルス将軍が率いている。
 その上、先頭に100人程度の銃をもった部隊がいる。
 恐るべきはその銃の射程距離だ。
 100m先の的を正確に射止めるとのことだ。
 矢や魔法は10mくらいが関の山だ。
 その銃の部隊は隊長クラスを狙って打ちぬいている。
 至近距離では肩に担ぐタイプの砲で盾兵を吹っ飛ばす。
 とにかく手をつけられないらしい。

 アンドレアは、至急ギオルグ族の人質を戦場に送ってほしいと書いていた。
 そうだ。農奴軍については家族を人質にとっている。
 それを戦場に連れていきひとりづつ処刑でもすれば、やつらもおとなしくなるかもしれない。
 そのための人質だ。
 わたしは、副官に人質を連れてくるように指示する。

 しばらくして、報告が上がる。
 なんと収容所はもぬけの空になっていたのだ。
 監守たちは全員殺され、人質はひとりもいなくなっていたのだ。
 まさか、そんなことはないとそれほど厳重にされていたわけではないが。
 それにしてもありえないことだ。
 収容所は首都にあるのだ。
 そんな大がかりなことをしたらわからないはずはない。

 もしかして、あのニャルロッテ王の仕業か。
 あいつの考えていることはわからない。
 それにテーブルを素手で叩き割ったり、銃という武器を使うなど、つかみどころがない。
 どれだけ、わたしたちの知らない能力を持っているのかわからない。

 とにかく、動かなければならない。
 わたしは首都を守っている3師団をのぞいた4師団を戦場に向かわせる。
 これで農奴軍は挟みうちになってつぶれる。
 そのあとで7師団の残った部隊でニャールを撃つのだ。
 いろいろこざかしいことをやったみたいだが、結局は数だ。
 
 中央政府内は騒がしくなる。
 そこに新たな書簡が届く。
 そこにはアンドレアが率いる3師団が全滅したことが書かれていた。
「くそっ!」
 わたしは机を思いっきり叩くのだった。
 
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