王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第3章 ビリジアンテ連邦国

ビリジアンテ連邦国 アバドン議長07

　裏切り者を処分したら、すぐに侵攻だ。
　首都の防衛に１万だけおいて、あとは全軍でニャールを攻める。
　短期決戦でニャールを潰す。
　そのためには半分くらいの兵を犠牲にしてもいい。
　ニャール全土を支配し、雑草ひとつ生えないようにしてやる。
　それで国民たちの理解は得られるだろう。
　あのニャルロッテを今度こそ断頭台におくってやる。
　
　それにこの戦争に勝たなければ、わたしの地位が危ない。
　交渉による解決、それには相当の譲歩が必要となる。
　そうなれば、その責任はわたしにかかってくれるだろう。
　よくて一生幽閉、ほとんどは断頭台だろう。
　前議長もその前の議長もそうだった。
　政権をはなしたとたん後継者によって葬られた。
　そういうことのないようにニャールを併合した偉大な指導者という肩書が欲しかったのだ。
　あとはキャルロッテの奴が死ぬか。
　わたしが死ぬかだ。

「南でサタール族が反乱を起こしました」
　兵がわたしの前で報告する。

「制圧せよ！」
　
「しかし、数は5000くらいいます」

「それくらいなら1000も派兵すればいいだろう。
　どうせ鋤や鍬しかもっていないんだろう。
　反乱ではなくて一揆だ」

「いえ、その兵がいません」

　そうだった、首都防衛以外の兵は北のニャールに向けたのだった。
　いまから南に向かわせたら数日かかる。

「それに、連中はかなりの数の武器や馬を持っています」

　どういうことだ。
　ベルゼン副議長以外にも裏切りものがいるのか。

「西でウラール族が反乱の狼煙を上げました。
　独立戦争とのことです」

「なんだと！」

　ウラール族といえばギオルグに継ぐ異種族だ。
　我々と違う宗教原理で動いている。
　制圧するのはやっかいなやつらだ。

「制圧せよ。
　首都から5000を出せ」
　とりあえず、首都の防衛は大丈夫だろう。
　いきなり、ここを攻めてくることはない。

「アバドン議長、首都で大規模なデモが起きています。
　国民たちはアバドン議長を引きずり降ろせと言って議事堂の前で暴れています」

「制圧せよ！」
　わたしはつぎつぎと起こる問題に頭を抱えるのだった。