王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

第3章 ビリジアンテ連邦国

比留間明夫24

　さて、そろそろかな。
　
「ビリジアンテ連邦のアバドン議長から連絡がありました」
　秘書が書面を持ってくる。
　キャットGPTの言ったとおりだな。
　たぶん、会談を受け入れるということだろう。
　ほんとうに猫ちゃんは頼りになる。

　わたしは書面を開く。
　封蝋にはビリジアンテの国印が押してある。
　内容は予想どおり、講和会議への同意だ。
　これで、交渉により解決をはかることとなる。
　たぶん、状況からみて、こっちの優位で話は進むだろう。
　やつらは侵略戦争をしたんだからな。
　それなりの痛みは覚悟してもらう。

　ぼくがあれからやったのは、南のサタール族との会談。
　もちろん、コヨミのワープを使わせてもらった。
　ギオルグ族のことを伝え、今回の戦争でビリジアンテ軍が落としていった武器をあげた。
　サタール族もギオルグ族と同じように農奴の扱いだった。
　それに元は狩りを生業とする戦闘民族だ。
　二つ返事で協力をとりつけた。
　といっても、相当にビリジアンテに恨みがあったみたいだな。
　わたしが帰る前にもうビリジアンテの代官たちの首が刈られていた。
　
　つぎにウラール族だ。
　これはビリジアンテの正教から異端とされる宗教をもった種族だ。
　数はギオルグを超える。
　その種族にサタールと同じく独立を持ちかけた。
　彼らもぼくの話に乗ってくれた。
　もちろん武器と食料はニャール王国が供給した。
　先の戦争の落とし物なんだけどね。

　その２つの勢力が制圧されずに勢力を増しながら首都に向かっているみたいだ。
　連邦は北に戦力を集中したのだから、簡単には動けない。
　しかし、北からも兵を割いて他のところに回しているようだ。
　ただ、簡単には方向転換はできないみたいだ。
　こっちも最前線に戦車を３台おいてあるし。
　２台は張りぼてだけどね。

　あと首都でいろいろな噂を流した。
　これは諜報部隊が行ったこと。
　多大な税をとられ、兵を取られて不安と不満いっぱいの国民。
　そこに様々な陰謀論とかを流したのだ。
　こういう時って信じやすいんだよね。
　もちろん、我が国との戦争で負けたことや被害状況、ギオルグ族とサタール族ウラール族が反乱を起こしたこと等、本当のことも混じっている。
　首都では大規模なデモが起きている。
　
　一か月ほどでこの状態だ。
　そろそろ決着をつけなくてはならないな。
　ぼくは、アバドン議長への返事を書き始めるのだった。