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第3章 ビリジアンテ連邦国
ビリジアンテ連邦国 アバドン議長10
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「わかりました。
わたしたちの要求は、まずこのバカげた戦争を終わらせることです。
このまま続けてもなにも得るものはありません。
お互いの国を疲弊させるだけです。
そうなったら帝国や共和国が介入してくるでしょう」
たしかにキャルロッテ王の言う通りだ。
帝国や共和国が介入してきたら、まずいことになる。
これは別に問題はない。
問題はここからだ。
「それはわたしも望むところです」
「それから、サタール族とウラール族に領地を与え独立させることです。
それで彼らの進撃を止めることができると思います。
それと、ビリジアンテ連邦の力を一部削ることができます」
「しかし」
「今回の戦争はビリジアンテ連邦が始めたことです。
それぐらいは呑んでください」
そんなことになったら、もうニャール王国に兵を送れなくなる。
常にサタールとウラールを牽制しなくてはならなくなるのだ。
彼らとの国境に兵を常駐しなければならないだろう。
「検討する」
そう答えるしかない。
「それから、ギオルグ族は我が国民となります。
それで、元々のギオルグ族の領地を我が国の領地とさせてもらいます。
具体的には我が国の南の草原をいただきたいです」
我が国からしたら北の草原地帯か。
他の委譲部分をと合わせたら国土の三分の一がなくなる。
しかし、これを受けないと蛮族たちは力づくで領地を奪いに来るだろう。
もちろんニャールとの戦争も続く。
まだ3師団が負けただけだ。
死傷者や捕虜になったのは1師団にも満たない。
まだほとんどの軍が残っている。
それなのに、詰んでる。
この前まで、目の前の男は国民を救うために断頭台に送られようとしていた。
それなのに1年でその立場は逆転している。
もしかして、断頭台も全面降伏もこいつの演技だったのか。
時間を稼いで先王が死んだ国を立て直すための。
やりかねない。
こいつなら。
目の前の貧相な初老の男がすごく大きく見える。
「あと……」
キャルロッテは次の条件を口にする。
「待ってくれ!」
わたしはその言葉を制するのだった。
わたしたちの要求は、まずこのバカげた戦争を終わらせることです。
このまま続けてもなにも得るものはありません。
お互いの国を疲弊させるだけです。
そうなったら帝国や共和国が介入してくるでしょう」
たしかにキャルロッテ王の言う通りだ。
帝国や共和国が介入してきたら、まずいことになる。
これは別に問題はない。
問題はここからだ。
「それはわたしも望むところです」
「それから、サタール族とウラール族に領地を与え独立させることです。
それで彼らの進撃を止めることができると思います。
それと、ビリジアンテ連邦の力を一部削ることができます」
「しかし」
「今回の戦争はビリジアンテ連邦が始めたことです。
それぐらいは呑んでください」
そんなことになったら、もうニャール王国に兵を送れなくなる。
常にサタールとウラールを牽制しなくてはならなくなるのだ。
彼らとの国境に兵を常駐しなければならないだろう。
「検討する」
そう答えるしかない。
「それから、ギオルグ族は我が国民となります。
それで、元々のギオルグ族の領地を我が国の領地とさせてもらいます。
具体的には我が国の南の草原をいただきたいです」
我が国からしたら北の草原地帯か。
他の委譲部分をと合わせたら国土の三分の一がなくなる。
しかし、これを受けないと蛮族たちは力づくで領地を奪いに来るだろう。
もちろんニャールとの戦争も続く。
まだ3師団が負けただけだ。
死傷者や捕虜になったのは1師団にも満たない。
まだほとんどの軍が残っている。
それなのに、詰んでる。
この前まで、目の前の男は国民を救うために断頭台に送られようとしていた。
それなのに1年でその立場は逆転している。
もしかして、断頭台も全面降伏もこいつの演技だったのか。
時間を稼いで先王が死んだ国を立て直すための。
やりかねない。
こいつなら。
目の前の貧相な初老の男がすごく大きく見える。
「あと……」
キャルロッテは次の条件を口にする。
「待ってくれ!」
わたしはその言葉を制するのだった。
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