王様とただのおっさん。 入れ替ったら断頭台でした。異世界はキャットGPTとともに。

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第4章 ミシディア共和国

比留間明夫39

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 ぼくはヴィルヘルム大統領に終戦協定の条件を占めす。
 まずは戦争を起こしたことに対する謝罪。
 それと賠償金。
 ニャール王国は戦勝国だ。
 普通であれば、すべてを奪うことができる。
 領地も領民も賠償金も。
 もう二度とニャール王国と戦争をしようなんて思わないほど叩きのめすこともできる。
 
 でも、元の世界の歴史でも、そんなことをしたらあとで大変なことになるとわかっている。
 だから、今回は彼らから最小限しか奪わないことにした。
 もちろん財務大臣、首相、将軍からの反対意見は強かった。
 そんなことをしたら舐められるというのだ。
 確かにミシディアは戦争を引き起こした責任をとるべきだ。
 そのためには罰として苦しんでもらうべきだ。
 戦争を起こしたらこうなると身をもってわかってもらうという意見だ。

 だけど、現実問題、今のニャール王国にはミシディア共和国を治める力はない。
 人材も金も不足している。
 そんな状態でミシディアを占領したって、ヘイト以外のものを生み出さないだろう。
 それより経済的に協力していくほうがいいんだ。
 こっちの被害は少なかったが、むこうの被害は甚大だ。
 死んだ兵士の補償や軍の立て直しに相当の時間とお金がいるだろう。
 それに賠償金とかになると、ミシディアは深刻な不況となる。
 それよりもこれを機に経済協力をしていくほうが、どちらにとってもよい。

 ぼくは賠償金を提示する。
 100億ニャルだ。
 もとの世界でいう100億円ってところだ。
 こっちの物価から言ってもう少し価値はあるかもしれない。
 でも、払えない額ではない。
 たぶん国家予算の1パーセントもいかないだろう。
 領地はもらわない。

 あと、もうひとつ条件を提示する。
 それはヴィルヘルム大統領を失脚させないことだ。
 この大統領はもうニャール王国に逆らわないだろう。
 でも、共和国の大統領は国民が選ぶ。
 たぶん、この講和会議が成立してもヴィルヘルムは失脚するだろう。
 そうなると、別の大統領が選出される。
 その大統領はヴィルヘルム大統領の反対勢力から出てくるだろう。
 そうなるとヴィルヘルム大統領が決めたことにすべて反対するだろう。
 もちろん、彼が結んだ条約の有効性も疑われる。
 そんなことにならないためにも、ヴィルヘルム大統領には続けてもらわないとならない。 

 そのことをヴィルヘルム大統領に伝える。

「わかりました。継続できるように努力します。
 国民がどう判断するかはわかりませんが」

「はい。それで、この賠償金の額なのです。
 こうすればどうですか?
 わたしが法外な賠償金や領地を求めた。
 それをあなたが交渉でここまで譲歩させたことにするのです」
 ぼくはコヨミを撫でながら意味深に微笑むのだった。

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