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第5章 ガルバン帝国
ガルバン帝国 ベリアード大帝05
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ミシディア共和国がニャール王国に破れただと。
あの終わった国になにがあったというのだ。
国民を守るために王の首を差し出さねばならないほど、切羽詰まっていたはず。
前王のおかげで、経済制裁を受け、国民の生活は困窮を極めていた。
それでも、前王のカリスマでなんとか統治できていた。
ベルナール王は援助を取り付けては裏切りを繰り返し、もう彼のいうことを聞く国はなくなっていた。
ベルナール王の崩御によって、あの国はどうにもならなくなった。
キャルロッテ王はそれほどの傑物ではなかったからだ。
それなのに。
この短期間でどうしたのだ。
1年程度で経済を立て直した。
ビリジアンテ連邦に支配された民族を解放し、新しい武器でかの国の侵攻を退けた。
その上、ミシディア共和国さえも打ち破った。
ガルバン帝国にとってこの大陸を統一するのに、一番の障害はミシディア共和国だと思っていた。
武力はこちらのほうが上だが、やつらは技術力を持っているからだ。
空を飛ぶ船や遠距離攻撃可能な大砲。
大きなてつの船。
我が国でもあれに打ち勝つには多大な犠牲と時間が必要となる。
それをたった一日で制圧したというのだ。
以前に会ったニャルロッテ王にはそこまでの覇気を感じなかった。
商人のような物腰の柔らかい男だった。
ただ、わたしたちの作った講和会議をひっくり返したのだ。
銃という武器をわたしたちに突きつけて脅したのだ。
おそろしい強心臓だ。
ふざけたことに猫を抱きながら会議に参加していたのだ。
それに、終戦処理もありえないものだった。
普通、敗戦国は戦勝国に占領される。
もしそうでなくても、多額の賠償金や領地を奪われる。
それが戦争というものだ。
自国と富ませるために、外国を犠牲にする。
わたしたち統治者は国民を豊かにする使命があるのだ。
それなのに。
ビリジアンテ連邦にもミシディア共和国にも、賠償請求さえしなかった。
意味がわからない。
そんなことで、戦争を戦った国民たちの同意を得られるのか。
とにかく、早いうちにやつらを潰さないとならない。
時間がたつと戦車とかいうやつを大量に準備されたりするかもしれない。
ミシディア共和国を退けた技術力は脅威としかいいようがない。
このまま戦ったら我が帝国でさえ破れる可能性がある。
相手の武器を分析したいが、ほとんど脅しでしか砲撃もしていない。
分析する材料に乏しいのだ。
あの銃という武器といい、戦車といい、まだ謎につつまれている。
それに安易に戦いを挑むわけにはいかない。
かといって放置すれば手が付けられなくなる恐れがある。
それについては、対策を考えた。
あいつらを使えばいい。
この世界の最高の武力、魔王軍を。
わたしは宰相を呼び、魔王との会談の段取りを命ずるのだった。
あの終わった国になにがあったというのだ。
国民を守るために王の首を差し出さねばならないほど、切羽詰まっていたはず。
前王のおかげで、経済制裁を受け、国民の生活は困窮を極めていた。
それでも、前王のカリスマでなんとか統治できていた。
ベルナール王は援助を取り付けては裏切りを繰り返し、もう彼のいうことを聞く国はなくなっていた。
ベルナール王の崩御によって、あの国はどうにもならなくなった。
キャルロッテ王はそれほどの傑物ではなかったからだ。
それなのに。
この短期間でどうしたのだ。
1年程度で経済を立て直した。
ビリジアンテ連邦に支配された民族を解放し、新しい武器でかの国の侵攻を退けた。
その上、ミシディア共和国さえも打ち破った。
ガルバン帝国にとってこの大陸を統一するのに、一番の障害はミシディア共和国だと思っていた。
武力はこちらのほうが上だが、やつらは技術力を持っているからだ。
空を飛ぶ船や遠距離攻撃可能な大砲。
大きなてつの船。
我が国でもあれに打ち勝つには多大な犠牲と時間が必要となる。
それをたった一日で制圧したというのだ。
以前に会ったニャルロッテ王にはそこまでの覇気を感じなかった。
商人のような物腰の柔らかい男だった。
ただ、わたしたちの作った講和会議をひっくり返したのだ。
銃という武器をわたしたちに突きつけて脅したのだ。
おそろしい強心臓だ。
ふざけたことに猫を抱きながら会議に参加していたのだ。
それに、終戦処理もありえないものだった。
普通、敗戦国は戦勝国に占領される。
もしそうでなくても、多額の賠償金や領地を奪われる。
それが戦争というものだ。
自国と富ませるために、外国を犠牲にする。
わたしたち統治者は国民を豊かにする使命があるのだ。
それなのに。
ビリジアンテ連邦にもミシディア共和国にも、賠償請求さえしなかった。
意味がわからない。
そんなことで、戦争を戦った国民たちの同意を得られるのか。
とにかく、早いうちにやつらを潰さないとならない。
時間がたつと戦車とかいうやつを大量に準備されたりするかもしれない。
ミシディア共和国を退けた技術力は脅威としかいいようがない。
このまま戦ったら我が帝国でさえ破れる可能性がある。
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分析する材料に乏しいのだ。
あの銃という武器といい、戦車といい、まだ謎につつまれている。
それに安易に戦いを挑むわけにはいかない。
かといって放置すれば手が付けられなくなる恐れがある。
それについては、対策を考えた。
あいつらを使えばいい。
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わたしは宰相を呼び、魔王との会談の段取りを命ずるのだった。
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