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第2章 S級冒険者炎王アッシュ

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「何をしている!
 おれたちを裏切るのか。
 あとで、きついお灸をすえてやる」
 ケリーはぼくを突き飛ばして、猫ちゃんのほうに向かおうとする。
 そのケリーの手を掴んで止める。
 えっ?普通ならいくら戦士といってもケリーに敵わない。
 そう、やつはC級、ぼくは見習いなのだ。
 秘密で鍛えていたといっても、そんな簡単に差は埋まらない。
 まず、盗賊の速度、それについていけないはず。
 でも、ケリーさんの動きはちゃんと見えている。
 どういうこと。
 そういえば、さっき猫ちゃんを撫でたとき、何か身体の中に力がみなぎるのを感じた。

「おまえ、何をした?」

「いえ、別に…」
 こっちがききたいくらいだ。

「ゴーディ、クレイブ起きろ!」
 ケリーは残りのメンバーを起こす。

「なんだよ。まだ交代に早いだろ」
「アッシュがへまでもしたのか」
 2人は目をこすりながら起き上がる。

「なにしてんだよ」
 ジェシカとミリアも起きる。

「魔法猫か。
 ケリーだけでだいじょうぶだろう。
 アッシュじゃ荷が重いがな。
 こいつは魔法を使うからな」

「いや、アッシュだ。
 こいつなんかおかしい」

「なんだって、いつものアッシュだろう」
 そう言って、ゴーディは殴りかかる。
 ぼくはそれを避ける。
 えっ?なんかゴーディの動きがスローモーションだ。
 
「こいつ。契約書を出せ、腕を壊してしまえ」
 クレイブは剣を抜く。
「わかったわ」
 ジェシカは契約書を探す。
 なんか、ぼくが逆らうなんて思っていなかったみたいで、探すのに苦労している。
 その間に、クレイブ斬りかかってくる。
 こいつの剣技はやばい。
 C級だけど、ほとんどB級の力がある。
 その素行の悪さが昇級を拒んでいる。
 たぶん、手加減した剣。
 奴隷を殺すのはもったいないと思ったんだろう。
 その剣をぼくも剣を抜いて受け止めた。
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