前世は拾われた猫だったので。転生したら人間を拾っています。

PYON

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第2章 S級冒険者炎王アッシュ

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 後で聞いたんだけど、ガウェインっていうのは、剣神ランスロットさんと並び称される剣の達人らしい。
 クラン青龍の顎(あぎと)を結成し冒険者のトップを張ってきた。
 でも、冒険者は騎士団と違って将軍や貴族になれることはない。
 それに不満を持つ冒険者をあつめて国を作ろうというのだ。
 梁山泊という砦を拠点に自ら皇帝として国を作ろうというのだ。

 たしかに国とか騎士団っていうのはえらそうにしているだけで、この前のオーガのときも出てくれなかった。
 貴族っていうのも、自分たちが国での地位を守るのに熱心で、民衆のことはあんまり考えていないようだ。
 ドラの町ではそんなことないんだけどね。
 あそこではみんな助けあって生きているのだ。
 
 だけど、やってることは山賊。
 弱い商人たちを襲って荷物を奪ったり、村を襲ったりしている。
 いつか国をひっくり返し、平和で平等な国をつくるというのだけど、そんなのおかしいと思う。
 すくなくてもドラはそんなことしない。
 おかしいのならまず国をつぶしに行くだろう。
 とにかく、ガウェインの考え方には反対だ。

 ただ、ぼくはランスロットさんに勝ったことがない。
 あと一歩ってところで絶対に負けてしまう。
 ランスロットさんはぼくのこと最高の弟子だっていうけど、まだまだだ。
 そのランスロットさんと並び称されるのなら、ぼくでは勝てないということになる。
 ぼくがガウェインより強いって、そんなこと絶対にない。
 ライオネルさんはガウェインと剣を交えたことがあるが、ぼくの剣を見た時ほどの脅威を感じなかったというけど。
 ないない。たぶんお世辞だろう。
 だけど、期待には答えないとならない。
 できるかぎりのことをやろう。
 それはドラに教えてもらった、身体の中の魔力循環の練習だ。
 魔力を循環させて炎の力や身体能力をあげる。
 そうすれば、一矢を報いることができるだろう。
 とにかくミリアと2人で特訓だ。
 向こうにはS級の魔導士もいるという。
 この2人を抑えないと、勝利はない。
 ミリアもブラックウッドのおじいさんに魔法を習っている。
 
 ぼくたちの特訓にライオネルさんたちがつきあってくれる。
 ライオネルさんとうちあったけど、ライオネルさんはすぐに負けてくれる。
 たぶん、ぼくに自信をつけさせようとしてくれてるんだろう。
 
「やっぱ、アッシュ、おまえはやばいよ。
 ガウェインごときじゃ、おまえには傷ひとつつけられないよ。
 あいつの剣は疾風の剣っていうけど、まだ避けられないことはない。
 しかし、アッシュの剣は見えないよ」
 ライオネルさんはほめて伸ばすタイプなんだな。
 でも、ぼくはほめられてのびるタイプだからちょうどいいのかも。

「ミリアちゃん。その氷魔法やばいよ。
 うちらを完全に超えてるよ。
 絶対、梁山泊にかてるって」
 ミリアも紅の麒麟の人たちに甘やかされている。

 ぼくたちは梁山泊攻略の日まで、できるかぎりのことをするしかない。
 そして、ついに梁山泊攻略の日を迎えるのだった。
 

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