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第4章 大商人グリフレッド

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 数日後、わたしは鉱山に連行されることとなった。
 10年間の強制労働だ。
 劣悪な環境で朝から晩まで働かされることとなる。
 10年という期限はあるが、ほとんど生きて戻ってくることはないと聞く。
 しかし、わたしは戻ってやる。
 なんとしても戻って、あのモーガンをつぶしてやる。
 そうしないと、本当に自由な社会にはならない。

 脱獄と言う方法もある。
 ただ、鉱山監獄は難攻不落だ。
 問題はその場所だ。
 深淵の森に入ったところにある。
 深淵の森は果てしない広さの樹海だ。
 入ったところと言っても、森を一時間は歩かなくてはならない。
 磁石でさえくるってしまう迷いの森だ。
 道をしっているものでないと迷ってしまう。
 それに、深淵の森には強力な魔物が住んでいる。
 わたしのような商人がひとりで戻ってくるのは不可能といえよう。
 それでも、なんとしても戻ってこよう。
 そして、世界を変えるのだ。
 人々が希望をもてる世界に。
 がんばったら報われる世界に。

 わたしたち10人は引き出され、腰ひもでつながれる。
 これから1週間の鉱山への旅がはじまる。
 囚人は徒歩、そしてわたしたちを見張る騎士は4人。
 剣を持って馬に乗っている。
 
「そろそろ出発だ。
 おまえら、ちゃんとついて来いよ。
 もし、逃げようとしたら殺してもいいといわれている。
 くれぐれも変な考えをおこさないように」

 わたしたちは繋がれていて、武器も持たされていない。
 それに逃げたところで人間の足だ。
 騎馬の足にはかなわない。
 逃げてもすぐに追いつかれて斬られるに決まっている。

 わたしたちはうなづく。
 
「よし、では出発だ。
 おくれるんじゃないぞ」
 そう言って、隊長は手をあげる。
 その合図で全員が動き出す。

 ほとんどが屈強な男たちだ。
 たぶん、町で乱暴を働いたのだろう。
 しかし、中には60歳くらいの小柄な老人もいる。
 わたしも彼らに比べると弱弱しく見える。
 
 わたしは少し早歩きで囚人の列についていくのだった。  

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