前世は拾われた猫だったので。転生したら人間を拾っています。

PYON

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第4章 大商人グリフレッド

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「みてくれ、新しい回復薬じゃ。
 これまでの2倍の効力がある」
 わたしたちはブラックウッドさんの研究室に来ていた。
 
「それに、この薬、従来の十分の一以下のくコストでできてますね」
 レイモンドさんが補足する。
 
「そうなんじゃ。これで、たくさんの人を救える。
 いままでの回復薬は貴族や軍隊、冒険者のものだったからな」
「原価がこの程度なら、一般の人にも手がでますね。
 ただ、これが出回ったらモーガン商会はつぶれてしまいますね」
 レイモンドさんは、そろばんをはじく。

「でも、世に出すべきでしょう」
 わたしは口を出す。
 別にモーガン商会がつぶれようとどうしようと関係ないが、一般の人が救われたほうがいい。
「しかし、それならモーガン商会と喧嘩をしないとならないね」
 レイモンドさんは悪い笑いを浮かべる。
 別の町から始めてもいいけど、勝手知ったるエクレルの町からスタートするほうが効率がいい。
 それに、今はなぜかモーガンやハミルトン伯爵に負ける気がしない。
 それは、ドラちゃんのせいかもしれない。
 ドラちゃんを撫でていると、なにか心が落ち着く。
 なんか元気になるような気がしていた。
 それは猫ちゃんの癒し効果だとおもっていた。
 しかし、それだけじゃなかったみたいだ。

 ある日、狩りの手伝いをしていたとき、角うさぎがぼくの方に突進してきた。
 角うさぎは生きた弾丸と言われるくらいやばいやつ。
 いきなり草むらからジャンプして向かってくる。
 それは、エクレルの町でもたくさんの旅人の命を奪っている。
 ぼくは反射的に右腕でそれをはねのけた。
 本来であればそんなことは不可能だ。
 まず、スピードが半端ないし威力も相当なものだ。
 それなのに角うさぎはぼくの拳で地面にたたきつけられる。
 大して力を入れていないつもりだけど、角うさぎは絶命していた。

「大丈夫ですか?グリフレッドさん」
 アッシュがこっちに戻ってくる。

「ああ、大丈夫みたいだ」

「よかった。少し油断してました。
 ここは角ウサギの巣の近くだったみたいです」
 そう言いながらも、飛び出してくるウサギを斬りつける。

「そうみたいだな」
 わたしも角うさぎを殴りながら、元の道に戻る。
 町ではD級の脅威、ただこれだけの数がいるとC級ともB級とも言われる。
 それも、ただの角うさぎではなく、黒角うさぎ。
 普通の角うさぎではない。
 スピードも威力もやばいクラス。
 それに、普通の角ウサギよりも高く売れるのだ。
 わたしは頭の中で売値の計算をしながら、角うさぎを打ち落としつづけた。
 それが商人としての性なのだった。
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