上 下
171 / 188
第5章 ランドバルク王国王女イグレーヌ

イグレーヌ25

しおりを挟む
「どうして?
 あんたたちなんかした?」
 トゥインクルは納得いかない様子ですこしわたしたちに近づいて問いかける。

「うん、魔法のじゃまをしたんだけど、魔法陣をかきかえさせてもらったわ」
 わたしは説明する。

「ありえない。
 人間のくせにそんなことができるなんて」

 べつに特別なことはしていない。
 ブラックウッドさんの理論どおりに邪魔をしただけ。
 ただ、魔法力に相当な差がないとこれはできない。
 ダメ元でやっただけなんだけど、なんかできてしまった。
 なんか今日のわたし調子いいかも。

「姫、俺なんか身体が軽いんだけど、エヴァンスなんかした?」

「いや、まだ何もしてないよ。
 今から強化魔法をかけようかってとこ。
 そういえばわたしも身体が軽いですね」

 なんかみんな調子いいの?

「魔法が使えないなんて、めんどくさいやつだね。
 しかし、わたしにはこれがあるわ」
 そう言って足の爪を見せる。
「わたしの動きについてこれるのかな」

 そう言ったトゥインクルの背後にいきなりランスロットが現れる。
 えっ、あのジャンプ力ありえないでしょ。
 普段のランスロットの身体能力の高さは知っている。
 でも、あそこまでジャンプできるなんて。
 10メートルはある高さだ。

「やばい。おどろかせないでよ」
 そう言ってトゥインクルは逃げる。
 空中で動けないランスロットは落ちてきて、きれいに着地する。

「やっぱり、空中ではわたしにかなわないよね」
 空で安心するトゥインクル。
 そう、空は彼女の安全地帯だ。

「いや、もう斬った」
 ランスロットは、そう言って剣の柄から手を離す。

「えっ?」
 トゥインクルの表情が固まる。

「動かないほうがいい」
 ランスロットは、そうつぶやく。

「そんなわけないでしょ」
 トウィンクルは羽ばたこうとした。
 そのとたん、トゥインクルの身体は真っ二つに別れていくのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

心霊体験の話・信号無視しろ!

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

背伸びして、エスプレッソを

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:915pt お気に入り:3,730

最低最悪のクズ伯爵

kae
恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,470pt お気に入り:345

処理中です...