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第5章 ランドバルク王国王女イグレーヌ

イグレーヌ30

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「おまえら後悔するぞ。
 おれたちを倒したこと。
 おまえらは月に100人の生贄を差し出していればよかったのだ。
 そうすれば、魔王さまはお前たちを滅ぼそうとはしなかった。
 もうすぐ、魔王様がここにやってくる。
 そうすれば、この世は地獄となる。
 おまえらは皆殺しになり、食いつくされる。
 もう遅いのだ。
 後悔するがいい。
 我らを倒したことを」
 右手親指は高らかに笑う。

「ドラちゃん、何を転がして遊んでるの?
 それ、ボールじゃなくて首。
 そんなばっちいので遊んじゃだめじゃん」
 ミリアちゃんがドラを叱る。
 首って誰の?
 なんか角とか生えてるし、悪魔だよね。
 それもさっき見たことのない。緑の肌のやつ。

「ばっちいからやめなさい!」
 ミリアちゃんがそういうと、ドラちゃんはその首を弾いてやめる。
 ミリアちゃんの所に行って足元に絡みつく。
 ミリアちゃんはそのドラちゃんを抱き上げる。

 首は親指の足元に転がっていく。
 親指はそれを見る。

「ま、魔王さま。
 こんな姿になって。
 どうして?」
 親指は首を持ち上げる。

 魔王様?もしかして、ドラちゃんが。
 さっき少しいなくなったと思ったら。
 魔王を倒してきたの?
 ドラちゃんはそうだよっていうようにわたしを見る。
 
 わたしは玉座に歩いていく。
 
「どうする?ブラッドリー。
 まだ、わたしたちと戦うつもり?
 それなら、わたしも戦うけど」
 わたしはブラッドリーに告げる。

「わかった。投降する。
 それにしても、あの冒険者とか、猫とか、なんなんだ」
 ブラッドリーは肩を落とす。

「ドラの町の仲間だよ」
 わたしは誇らしく、そう言う。
 これで、ランドバルク王国は元の豊かな国に戻れる。

「ブラッドリー王は投降した。
 この国は王女イグレーヌが統治する」
 わたしは大きな声でそう宣言した。
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