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対抗戦編
それぞれ
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私が今どの状況にあるのかを説明してもらえたのは説明してくれと心の中で叫んでから数分後のことだった。どうやら、わたしはふつう進むべき段階を3つ飛ばしていたようだ。
お母さんの予定では、あれで説明不足だよねとなりできるようになるまで修行をする。それから、なんとかできた金剛は本来やわらかいらしく石が当たると衝撃を吸収するものの勢いを殺しきれず少し痛いらしい。次に密度あげて硬くすると実践で使えるものになるらしい。
しかし、私は発動することができていたので石を投げてみたところまさかの完成まで言っていたらしい。全部聞いた話なので、らしいとしか言えないがそういうわけで私の修行は初日で本来数か月かかるところを完成まで進んだ。
ちなみに、後日さやもできるのではと思い、させてみて石を投げると見事に鼻に命中し保健室に運ばれる事態となった。もちろん、そのあとは保健室の先生と戦技の先生それから、お母さんとさやには各1時間ずつ説教された。
結果的に、さやは私の修行に合流することとなった。そのせいで、お母さんの秘書がスケジュール調整で労働基準法すれすれの残業時間で働くことになっていたことをあとで知った。
翌日からの修行は実戦訓練となり、さやは発動するところから始まった。さすが実践訓練だけあってまったく手を抜いてくれない。しかも、金剛発動中は体が重くて動きにくい。軽くしようとすると術が切れてしまう。さっきも、発動中にゴムボールのように吹っ飛ばされたばかりだから軽くするわけにはいかない。うーんと悩んでいると、もう一撃決めようとアキが間合いを詰めてきていた。それをすぐにいなす。休憩させてくれないようだ。
一方、さやはもう一人の指導者であるアンと修行していた。
「わあ、すっごいなあ。わたし、あんなに動けないよ」
ここ数日でどんどん変わっていく友人の姿に正直舌を巻いた。少し前に比べると緊張感があるというか、研ぎ澄まされて行っているような気がして確実に自分との差ができている気がしてならない。
「たしかに、ここ数日の成長ぶりには目を見張るものがあるけどまだまだだね。もう少しフットワークを軽くしないとパワー系ならともかくスピード系には対処できないね」
「へえ」と言ったもののアンさんの厳しい評価に驚いてしまった。
これが最前線で戦う人たちの考え方なのだと感心していた。自身の能力を正確に知り、リスクをなるべく減らしていく。この徹底ぶりは、わたしにはないものだ。
「まあ、そう気落ちをすることはないよ。なにも、ここ数日だけであれほど動けるようになったわけじゃないからね。あれぐらいなら、君もすぐに追いつくよ」
「無理ですよ。わたしはCクラスだし、これだけやってもいまだに発動できないですし。やっぱり、才能がないのかなって」
ここ数日、まったく発動する気配がない。毎日、教えてもらっているのにできない自分がふがいない。
「そうだねえ。まず、そのクラスとか才能とかどうのこうのって言うのやめなよ。才能があるだのないだの聞いてて気分が悪い。」
遠慮のない物言いに絶句してしまった。
「別に劣等感を感じるのは自由だけどさ、弱気でいられると教えがいがないよ。君は少しでも変わりたいからここに来たんじゃないの」
言い方に遠慮はないが正論だった。さっきは、遠慮のない物言いに驚いてしまった。ただ今は、正論過ぎて返す言葉が見つからない。胸のあたりがきしむようなもやもやするものが広がった。
ただ、言われるままでは気が収まらない。それに、やれるところまでやってから決めよう。アンさんの言葉に優しさは感じないけど、ついていこうと思うには十分だ。「よしっ」と元気よく声を出してわたしは立ち上がった。
「気合が入ったみたいでなによりだよ。じゃあ、ちょっとやり方を変えてみようか」
お母さんの予定では、あれで説明不足だよねとなりできるようになるまで修行をする。それから、なんとかできた金剛は本来やわらかいらしく石が当たると衝撃を吸収するものの勢いを殺しきれず少し痛いらしい。次に密度あげて硬くすると実践で使えるものになるらしい。
しかし、私は発動することができていたので石を投げてみたところまさかの完成まで言っていたらしい。全部聞いた話なので、らしいとしか言えないがそういうわけで私の修行は初日で本来数か月かかるところを完成まで進んだ。
ちなみに、後日さやもできるのではと思い、させてみて石を投げると見事に鼻に命中し保健室に運ばれる事態となった。もちろん、そのあとは保健室の先生と戦技の先生それから、お母さんとさやには各1時間ずつ説教された。
結果的に、さやは私の修行に合流することとなった。そのせいで、お母さんの秘書がスケジュール調整で労働基準法すれすれの残業時間で働くことになっていたことをあとで知った。
翌日からの修行は実戦訓練となり、さやは発動するところから始まった。さすが実践訓練だけあってまったく手を抜いてくれない。しかも、金剛発動中は体が重くて動きにくい。軽くしようとすると術が切れてしまう。さっきも、発動中にゴムボールのように吹っ飛ばされたばかりだから軽くするわけにはいかない。うーんと悩んでいると、もう一撃決めようとアキが間合いを詰めてきていた。それをすぐにいなす。休憩させてくれないようだ。
一方、さやはもう一人の指導者であるアンと修行していた。
「わあ、すっごいなあ。わたし、あんなに動けないよ」
ここ数日でどんどん変わっていく友人の姿に正直舌を巻いた。少し前に比べると緊張感があるというか、研ぎ澄まされて行っているような気がして確実に自分との差ができている気がしてならない。
「たしかに、ここ数日の成長ぶりには目を見張るものがあるけどまだまだだね。もう少しフットワークを軽くしないとパワー系ならともかくスピード系には対処できないね」
「へえ」と言ったもののアンさんの厳しい評価に驚いてしまった。
これが最前線で戦う人たちの考え方なのだと感心していた。自身の能力を正確に知り、リスクをなるべく減らしていく。この徹底ぶりは、わたしにはないものだ。
「まあ、そう気落ちをすることはないよ。なにも、ここ数日だけであれほど動けるようになったわけじゃないからね。あれぐらいなら、君もすぐに追いつくよ」
「無理ですよ。わたしはCクラスだし、これだけやってもいまだに発動できないですし。やっぱり、才能がないのかなって」
ここ数日、まったく発動する気配がない。毎日、教えてもらっているのにできない自分がふがいない。
「そうだねえ。まず、そのクラスとか才能とかどうのこうのって言うのやめなよ。才能があるだのないだの聞いてて気分が悪い。」
遠慮のない物言いに絶句してしまった。
「別に劣等感を感じるのは自由だけどさ、弱気でいられると教えがいがないよ。君は少しでも変わりたいからここに来たんじゃないの」
言い方に遠慮はないが正論だった。さっきは、遠慮のない物言いに驚いてしまった。ただ今は、正論過ぎて返す言葉が見つからない。胸のあたりがきしむようなもやもやするものが広がった。
ただ、言われるままでは気が収まらない。それに、やれるところまでやってから決めよう。アンさんの言葉に優しさは感じないけど、ついていこうと思うには十分だ。「よしっ」と元気よく声を出してわたしは立ち上がった。
「気合が入ったみたいでなによりだよ。じゃあ、ちょっとやり方を変えてみようか」
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