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第2章
第17話 ストローグさんの家
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「えっと……お邪魔します……」
「まぁ、ソファにでも座っててくれ」
ここはどこかと言うと、俺の師であるストローグさんの家であった。
どうして、俺がストローグさんの家にいるかと言うのは、遡ること1時間前……
「おはよう……ございます……」
「なんだなんだ元気ないな!」
「あ、いや、ちょっと昨日なかなか寝付けなくて……」
「じゃあ、今日特別に家に来いよ!」
「え、あ、はぁ」
……と、まぁこんな感じだ。恐らく俺が元気なさそうに見えなくても、家には連れて行かれていただろう。
ストローグさんの家は、隣町を抜けてすぐの小さな村にあった。
「おぉ、おかえりなさい。ストローグよ」
ストローグさんら村に入ると、畑仕事をしているおじ様おば様方から挨拶を受けていた。
大きな街では借金とかで結構蔑まれてる感じなんだけどな……こっちでは結構好感度高めなのか。
「ここが俺の家だ」
そう言って指さされたのは小さな一軒家だった。中に入ると部屋はひとつしかなかったが、一人で住むには十分の広さがあった。
キッチンやお風呂、トイレもしっかりあった。そして以外に、部屋は綺麗だった。
「えっと……お邪魔します……」
「まぁ、ソファにでも座っててくれ」
言われた通り、俺はソファに腰掛けた。ソファの前には一人用のテーブルが置いてある。
キッチンの方でゴソゴソしているストローグさんは無視し、部屋の中をぐるぐると見渡した。
「ストローグさん。あれって……」
「あぁ。それは借金して買った絵だ。あれ? 前も言ったけな、5年もすれば高くなるぞ! ははは!」
これが例の絵か……ってあれ? なんか見た事あるような……ないような……ないか。
「てか……借金どうしたんですか?」
「この村の村長さんに出してもらってよ。助かったわ」
「……そんなことしてて大丈夫なんですか?」
「なーに心配することないぜ!」
心配するよ……だってあんなに慕われているのに借金返すために借金するなんて……
「早めに村長さんにも返した方がいいですよ」
「いや、問題ない」
「ありますよ!」
「そう早まるなよ。借りたんじゃなくて貰ったんだ」
……もっと問題だ。酷い……酷すぎる……
「どうして村の人はこんなにストローグさんに甘いんですか?」
「んー、分からねぇけど、俺がここに住み始めた位にこの村なんか悪い奴らに攻められてな。そいつら追い返してやったら……って感じだ」
攻められたのか……この村が。
でも、ストローグさんの事だろう。きっと弱い敵をけちょんけちょんにして、名声を手に入れたに違いない。うんうん。そうだ。
「あ、言ってなかったけどそん時、俺右目やられてな。ほぼ見えねぇんだわ。ま、そんなことどうでも良くて、今日はお前のために……」
「ちょちょ! 待ってくださいよ! そんなこと知りませんでしたよ!?」
「あぁ。言ってなかったからな。んな事どうでもいいんだよ」
そう言ってストローグさんは焼いた大きな肉を机の上に置いた。
ストローグさんと知り合ってもうすぐ1ヶ月。まだまだ日は浅いけど、この人のことを知り尽くしている気分だった。
……今度村を救った時の話でも聞いてみようかな。
「俺、あんま料理しねぇけどこれだけは出来るんだよ。元気ねぇ時は肉だ! 食え!」
「ありがとうございます。でも……別にそんなに元気ない訳じゃ……」
「……うるさい! 食え! いや、一緒食うぞ!」
「はい!!」
この人は多分、あんまりいい人では無い。でも、胸を張って言える。
ストローグさんは俺の師匠だ。
──────
「やっぱり難しいです……」
ストローグさんと肉を食べ、軽くお話をした後、外で修行を始めた。
「まぁ、感覚掴むまではひたすら反復だな」
「そういえばストローグさんって……最近いつお金稼いでるんですか?」
「なんだ? 俺の事心配してるのか?」
「そりゃしますよ。借金して絵買うくらいですから」
「うるさいなぁ! まぁ、最近はあんまりクエスト受けてないな。バッドと会ってない日にコスパの良いやつ受けて、底つきそうだったら夜中にクエストやってるよ」
「あ、なんか、ごめんなさい……」
「いいんだよ。意外とお前に稽古つけるの楽しいしな。ビビッときたんだよ。ほらやるぞ」
「はい!」
こうして修行は続いた。
「見て見て! 出来てる出来てる!! 指1本分!」
「どれどれ……ってなんだこれ。小指にも見たねぇぞ」
「一瞬出来てたんだすよーーー!!」
「てか、バッド。お前どうやって火達磨にならずに済んだんだ?」
「あー、川の流れの修行の応用で身体中の血管を通る血に魔力を流したんです」
「だからあんなに起きなかったのか……それは魔力の使いすぎだ。これから魔力の制御に慣れるまでは禁止だ」
「すいません……頑張ります……」
ストローグさんは俺の頭をガシッ、と掴み、わしゃわしゃ撫でてきた。
これからはもっと考えなきゃなぁ……修行しなきゃ。
なかなか上手くいかない修行の最中、ある人がこちらに近づいてきた。
「おぉー。村長さん。この前は助かりました」
「いやいや、いいんじゃよ。ほれ、その子は誰じゃ? 一発知らん女とかましたんか?」
何だこのじいさん……この人が村長なのか……
「違いますよ。こいつは俺の弟子してるバッド。そういえば言ってなかったな」
「えっと、ストローグさんに稽古つけて貰ってるバッドって言います。よろしくお願いします」
俺は、頭を下げて挨拶をした。
「ほう、礼儀正しい子は好きじゃよ。それでストローグ。少し頼みがあってな」
「なんですか?」
「近くの洞窟でモンスターがかなり湧いてしまってるらしくてのう。村の子が怪我してもうたんじゃ」
「それの討伐ですね。了解です。場所はどこですか?」
ストローグさんがすんなり……クエストの報酬にはコスパとか言ってたのに、やっぱ関係値がしっかりしてるんだ。
「バッド。お前も来るか?」
「え、あ、うん……じゃなくて、はい!」
「じゃ、渡すもんあるからちょっと待ってろ」
いきなり会話を振られて、変な返事をしてしまった俺を置いて、ストローグさんは家へと入っていった。
村長と二人っきりで気まずい雰囲気が流れる中、ストローグさんはすぐ外に出てきた。
「ほらよ」
「ちょ、危ないですよ!」
「ははは! 行くか」
ストローグさんは俺に鉄の剣をほいっ、と投げ渡した。
下手したら指吹き飛んでたな……
まぁ……いいか。ついていこう。この人に。
俺の人生二周目、初めての簡易クエストが始まった。
「まぁ、ソファにでも座っててくれ」
ここはどこかと言うと、俺の師であるストローグさんの家であった。
どうして、俺がストローグさんの家にいるかと言うのは、遡ること1時間前……
「おはよう……ございます……」
「なんだなんだ元気ないな!」
「あ、いや、ちょっと昨日なかなか寝付けなくて……」
「じゃあ、今日特別に家に来いよ!」
「え、あ、はぁ」
……と、まぁこんな感じだ。恐らく俺が元気なさそうに見えなくても、家には連れて行かれていただろう。
ストローグさんの家は、隣町を抜けてすぐの小さな村にあった。
「おぉ、おかえりなさい。ストローグよ」
ストローグさんら村に入ると、畑仕事をしているおじ様おば様方から挨拶を受けていた。
大きな街では借金とかで結構蔑まれてる感じなんだけどな……こっちでは結構好感度高めなのか。
「ここが俺の家だ」
そう言って指さされたのは小さな一軒家だった。中に入ると部屋はひとつしかなかったが、一人で住むには十分の広さがあった。
キッチンやお風呂、トイレもしっかりあった。そして以外に、部屋は綺麗だった。
「えっと……お邪魔します……」
「まぁ、ソファにでも座っててくれ」
言われた通り、俺はソファに腰掛けた。ソファの前には一人用のテーブルが置いてある。
キッチンの方でゴソゴソしているストローグさんは無視し、部屋の中をぐるぐると見渡した。
「ストローグさん。あれって……」
「あぁ。それは借金して買った絵だ。あれ? 前も言ったけな、5年もすれば高くなるぞ! ははは!」
これが例の絵か……ってあれ? なんか見た事あるような……ないような……ないか。
「てか……借金どうしたんですか?」
「この村の村長さんに出してもらってよ。助かったわ」
「……そんなことしてて大丈夫なんですか?」
「なーに心配することないぜ!」
心配するよ……だってあんなに慕われているのに借金返すために借金するなんて……
「早めに村長さんにも返した方がいいですよ」
「いや、問題ない」
「ありますよ!」
「そう早まるなよ。借りたんじゃなくて貰ったんだ」
……もっと問題だ。酷い……酷すぎる……
「どうして村の人はこんなにストローグさんに甘いんですか?」
「んー、分からねぇけど、俺がここに住み始めた位にこの村なんか悪い奴らに攻められてな。そいつら追い返してやったら……って感じだ」
攻められたのか……この村が。
でも、ストローグさんの事だろう。きっと弱い敵をけちょんけちょんにして、名声を手に入れたに違いない。うんうん。そうだ。
「あ、言ってなかったけどそん時、俺右目やられてな。ほぼ見えねぇんだわ。ま、そんなことどうでも良くて、今日はお前のために……」
「ちょちょ! 待ってくださいよ! そんなこと知りませんでしたよ!?」
「あぁ。言ってなかったからな。んな事どうでもいいんだよ」
そう言ってストローグさんは焼いた大きな肉を机の上に置いた。
ストローグさんと知り合ってもうすぐ1ヶ月。まだまだ日は浅いけど、この人のことを知り尽くしている気分だった。
……今度村を救った時の話でも聞いてみようかな。
「俺、あんま料理しねぇけどこれだけは出来るんだよ。元気ねぇ時は肉だ! 食え!」
「ありがとうございます。でも……別にそんなに元気ない訳じゃ……」
「……うるさい! 食え! いや、一緒食うぞ!」
「はい!!」
この人は多分、あんまりいい人では無い。でも、胸を張って言える。
ストローグさんは俺の師匠だ。
──────
「やっぱり難しいです……」
ストローグさんと肉を食べ、軽くお話をした後、外で修行を始めた。
「まぁ、感覚掴むまではひたすら反復だな」
「そういえばストローグさんって……最近いつお金稼いでるんですか?」
「なんだ? 俺の事心配してるのか?」
「そりゃしますよ。借金して絵買うくらいですから」
「うるさいなぁ! まぁ、最近はあんまりクエスト受けてないな。バッドと会ってない日にコスパの良いやつ受けて、底つきそうだったら夜中にクエストやってるよ」
「あ、なんか、ごめんなさい……」
「いいんだよ。意外とお前に稽古つけるの楽しいしな。ビビッときたんだよ。ほらやるぞ」
「はい!」
こうして修行は続いた。
「見て見て! 出来てる出来てる!! 指1本分!」
「どれどれ……ってなんだこれ。小指にも見たねぇぞ」
「一瞬出来てたんだすよーーー!!」
「てか、バッド。お前どうやって火達磨にならずに済んだんだ?」
「あー、川の流れの修行の応用で身体中の血管を通る血に魔力を流したんです」
「だからあんなに起きなかったのか……それは魔力の使いすぎだ。これから魔力の制御に慣れるまでは禁止だ」
「すいません……頑張ります……」
ストローグさんは俺の頭をガシッ、と掴み、わしゃわしゃ撫でてきた。
これからはもっと考えなきゃなぁ……修行しなきゃ。
なかなか上手くいかない修行の最中、ある人がこちらに近づいてきた。
「おぉー。村長さん。この前は助かりました」
「いやいや、いいんじゃよ。ほれ、その子は誰じゃ? 一発知らん女とかましたんか?」
何だこのじいさん……この人が村長なのか……
「違いますよ。こいつは俺の弟子してるバッド。そういえば言ってなかったな」
「えっと、ストローグさんに稽古つけて貰ってるバッドって言います。よろしくお願いします」
俺は、頭を下げて挨拶をした。
「ほう、礼儀正しい子は好きじゃよ。それでストローグ。少し頼みがあってな」
「なんですか?」
「近くの洞窟でモンスターがかなり湧いてしまってるらしくてのう。村の子が怪我してもうたんじゃ」
「それの討伐ですね。了解です。場所はどこですか?」
ストローグさんがすんなり……クエストの報酬にはコスパとか言ってたのに、やっぱ関係値がしっかりしてるんだ。
「バッド。お前も来るか?」
「え、あ、うん……じゃなくて、はい!」
「じゃ、渡すもんあるからちょっと待ってろ」
いきなり会話を振られて、変な返事をしてしまった俺を置いて、ストローグさんは家へと入っていった。
村長と二人っきりで気まずい雰囲気が流れる中、ストローグさんはすぐ外に出てきた。
「ほらよ」
「ちょ、危ないですよ!」
「ははは! 行くか」
ストローグさんは俺に鉄の剣をほいっ、と投げ渡した。
下手したら指吹き飛んでたな……
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