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第3章
第39話 謝罪
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「やっと……行けるな」
「うん……グルドが居なかったら……死んでたよ……」
今日は待ちに待った登校日だ。1週間ぶりに学校に行ける。俺とグルドは地獄のような課題をしっかりと完遂させ、今まさに寮を出るところだ。
「ま、意外と時間も経てばいい思い出になるかもな」
「……そうだね。本当に……ありがとう」
「いいからそう言うの! バッド、ちゃんと仲直り出来なかったらタダじゃ置かねぇからな」
顔を近づけそう言ってくるグルド。いや、言ってくれてるの方が正しいだろう。今日は1人での謝罪の日。
もう甘えない。努力する道も間違えない。ただただ今は……学校生活を楽しみたいんだ。そして、魔法科を卒業しなきゃ。
「うん……! その時はもう……よろしく」
「ははは! おう」
そう言って俺とグルドは寮の廊下でハイタッチをした。
──────
普段よりもかなり早く教室につき、教室には俺とグルドしかいなかった。
「……俺トイレ行っとくわ」
何かを察したのか、そう言ってトイレに向かうグルドを静かに見送り、1人で教室の席に着いていた。その時だった。1人の生徒が教室に入ってくる。
「あ、おはようございます。バッドさん」
「あ、おはよう……ラミリエルさん」
そう。俺の隣の席のお嬢様。ラミリエルさんが三人目の生徒だった。
すこし気まづい空気が流れる。
まじで話したことねぇ……席隣なのに……
それにしても……綺麗な顔してんな……
彼女は席につき、すぐに言葉を放った。
「グルドさんとは仲直り出来まして?」
「え、あ、ま、まぁ……」
いきなりの質問に戸惑ってしまった俺は、なんかキモい返事をしてしまった。
「……そうですか。良かったですわ」
「え、……はぁ」
「私かなりバッドさんが心配だったのです」
「俺を……心配?」
思いもよらない発言に俺はびっくりしてしまう。そこまで彼女と関わったことないけど……
「魔法を使えないバッドさんを見て……昔の自分に……」
彼女の話の途中に、教室のドアがガラガラと開く音がする。振り返ると「お、おう」と、気まづそうなグルドが目の前にいた。
……ちょっと早いよ帰ってくるの!
「……うふふ。この話の続きはいつかですわね」
「え、あ、でも……」
「じゃこれだけ。魔法は……使えるように?」
「……うん。なったよ」
「なら、良かったですわ」
そう言って、ラミリエルさんはこっちを向けていた身体を前に向け、本を取り出し読み始めた。
彼女のことはあんまりしらない。てか、ほぼ何も知らない。でも、なんだかこれからもありそうだ。
チラッ、とグルドの方を見ると、1人で席についてソワソワしていた。なんだよアイツ……まぁ、グルドなりの気遣いかな。
それから少し経ち、新たな生徒が現れる。
開かれたドアの方に目線だけ移動させる。そこには……
「はぁー! シュナ来週からテストってやばいよね!?」
「でも、エアリス意外と頭いいから大丈夫なんじゃない?」
シュナとエアリスだ。予定外だ。シュナが誰かと登校してくる説を捨てていた。でも、考えてみればそうだ。寮の部屋が同じだから一緒に来るに決まっている。……どうしよう。また気まづいな……
俺に気が付いたエアリスとシュナも少し気まづそうにまずは席に着いた。グルドに視線を送る。すると、グルドは小さくOKマークを作って見せた。
まさか……この状況を打破できるって言うのか!?
何をするのかと俺は静かに見守る。すると、彼はバックから水筒を取りだした。そして……
「わ、わーー。こぼしちまったぜ」
水筒の中身をエアリスに向かってぶちまけた。
……それは無いだろ!!!!!
しかも彼女の性格上……
「きゃっ!! ……何してんのよ!!!」
ブチ切れだ。そして、怒りMAXのエアリスに向かってグルドが一言。
「前にいるのが悪いだろ」
……酷い。酷すぎる。でも、その時だった。
「グルド……!!!!」
エアリスがグルドを追いかけ始めた。そして、グルドは逃げる。そのまま教室を出て行った。
ナイスだけど……頑張ってくれよ。
教室には俺とシュナとラミリエルさんだけになった。よし、ここで行かなきゃ。
俺は立ち上がり、隣に座るシュナの方を向いた。グルドの行動に唖然として待っていたシュナは、俺の顔を見て我に返る。
「バッド……?」
俺は震える手をギュッ、と握りしめ、大きく息を吸った。
「シュナ! この前は……ごめん!! 今更かもしれないけど……本当に……ごめん!!」
俺は深々と頭を下げ、謝った。数秒頭を下げて待っていると、シュナは俺の頭をポンポン、っと叩いた。反射的に顔を上げる。
「……遅いよ」
「え、あ……ごめん」
「本当に……遅いんだから」
彼女の目から何かが溢れようとしていた。でも、必死にそれを耐えるシュナ。
「シュナ……良かったらこれからも……仲良くしてください……」
俺は小さく言った。それを聞いたシュナは同じくらい小さな声で、震えた声で、「当たり前だよ」と言ってくれた。
その時だった。
ガラガラ!!
「ちょ、悪かったって!!」
「だから、悪かったで済むと思ってるの!?!?」
背中がびしょびしょで下着が透けまくっているエアリスと必死に逃げるグルドがすごい勢いで教室に入ってきた。
そして、グルドはついに追い詰められる。
「分かった分かった! 来週から始まる特大パフェ奢るから!!!」
「……じゃ、いいわ。約束ね」
俺とシュナは顔を見合わせる。そして、笑った。エアリスは炎の魔法を上手く使い、びしょ濡れになった服を乾かし始める。
そして、彼女の目に溜まった物も乾いていた。
「うん……グルドが居なかったら……死んでたよ……」
今日は待ちに待った登校日だ。1週間ぶりに学校に行ける。俺とグルドは地獄のような課題をしっかりと完遂させ、今まさに寮を出るところだ。
「ま、意外と時間も経てばいい思い出になるかもな」
「……そうだね。本当に……ありがとう」
「いいからそう言うの! バッド、ちゃんと仲直り出来なかったらタダじゃ置かねぇからな」
顔を近づけそう言ってくるグルド。いや、言ってくれてるの方が正しいだろう。今日は1人での謝罪の日。
もう甘えない。努力する道も間違えない。ただただ今は……学校生活を楽しみたいんだ。そして、魔法科を卒業しなきゃ。
「うん……! その時はもう……よろしく」
「ははは! おう」
そう言って俺とグルドは寮の廊下でハイタッチをした。
──────
普段よりもかなり早く教室につき、教室には俺とグルドしかいなかった。
「……俺トイレ行っとくわ」
何かを察したのか、そう言ってトイレに向かうグルドを静かに見送り、1人で教室の席に着いていた。その時だった。1人の生徒が教室に入ってくる。
「あ、おはようございます。バッドさん」
「あ、おはよう……ラミリエルさん」
そう。俺の隣の席のお嬢様。ラミリエルさんが三人目の生徒だった。
すこし気まづい空気が流れる。
まじで話したことねぇ……席隣なのに……
それにしても……綺麗な顔してんな……
彼女は席につき、すぐに言葉を放った。
「グルドさんとは仲直り出来まして?」
「え、あ、ま、まぁ……」
いきなりの質問に戸惑ってしまった俺は、なんかキモい返事をしてしまった。
「……そうですか。良かったですわ」
「え、……はぁ」
「私かなりバッドさんが心配だったのです」
「俺を……心配?」
思いもよらない発言に俺はびっくりしてしまう。そこまで彼女と関わったことないけど……
「魔法を使えないバッドさんを見て……昔の自分に……」
彼女の話の途中に、教室のドアがガラガラと開く音がする。振り返ると「お、おう」と、気まづそうなグルドが目の前にいた。
……ちょっと早いよ帰ってくるの!
「……うふふ。この話の続きはいつかですわね」
「え、あ、でも……」
「じゃこれだけ。魔法は……使えるように?」
「……うん。なったよ」
「なら、良かったですわ」
そう言って、ラミリエルさんはこっちを向けていた身体を前に向け、本を取り出し読み始めた。
彼女のことはあんまりしらない。てか、ほぼ何も知らない。でも、なんだかこれからもありそうだ。
チラッ、とグルドの方を見ると、1人で席についてソワソワしていた。なんだよアイツ……まぁ、グルドなりの気遣いかな。
それから少し経ち、新たな生徒が現れる。
開かれたドアの方に目線だけ移動させる。そこには……
「はぁー! シュナ来週からテストってやばいよね!?」
「でも、エアリス意外と頭いいから大丈夫なんじゃない?」
シュナとエアリスだ。予定外だ。シュナが誰かと登校してくる説を捨てていた。でも、考えてみればそうだ。寮の部屋が同じだから一緒に来るに決まっている。……どうしよう。また気まづいな……
俺に気が付いたエアリスとシュナも少し気まづそうにまずは席に着いた。グルドに視線を送る。すると、グルドは小さくOKマークを作って見せた。
まさか……この状況を打破できるって言うのか!?
何をするのかと俺は静かに見守る。すると、彼はバックから水筒を取りだした。そして……
「わ、わーー。こぼしちまったぜ」
水筒の中身をエアリスに向かってぶちまけた。
……それは無いだろ!!!!!
しかも彼女の性格上……
「きゃっ!! ……何してんのよ!!!」
ブチ切れだ。そして、怒りMAXのエアリスに向かってグルドが一言。
「前にいるのが悪いだろ」
……酷い。酷すぎる。でも、その時だった。
「グルド……!!!!」
エアリスがグルドを追いかけ始めた。そして、グルドは逃げる。そのまま教室を出て行った。
ナイスだけど……頑張ってくれよ。
教室には俺とシュナとラミリエルさんだけになった。よし、ここで行かなきゃ。
俺は立ち上がり、隣に座るシュナの方を向いた。グルドの行動に唖然として待っていたシュナは、俺の顔を見て我に返る。
「バッド……?」
俺は震える手をギュッ、と握りしめ、大きく息を吸った。
「シュナ! この前は……ごめん!! 今更かもしれないけど……本当に……ごめん!!」
俺は深々と頭を下げ、謝った。数秒頭を下げて待っていると、シュナは俺の頭をポンポン、っと叩いた。反射的に顔を上げる。
「……遅いよ」
「え、あ……ごめん」
「本当に……遅いんだから」
彼女の目から何かが溢れようとしていた。でも、必死にそれを耐えるシュナ。
「シュナ……良かったらこれからも……仲良くしてください……」
俺は小さく言った。それを聞いたシュナは同じくらい小さな声で、震えた声で、「当たり前だよ」と言ってくれた。
その時だった。
ガラガラ!!
「ちょ、悪かったって!!」
「だから、悪かったで済むと思ってるの!?!?」
背中がびしょびしょで下着が透けまくっているエアリスと必死に逃げるグルドがすごい勢いで教室に入ってきた。
そして、グルドはついに追い詰められる。
「分かった分かった! 来週から始まる特大パフェ奢るから!!!」
「……じゃ、いいわ。約束ね」
俺とシュナは顔を見合わせる。そして、笑った。エアリスは炎の魔法を上手く使い、びしょ濡れになった服を乾かし始める。
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