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第4章

第41話 中間テスト

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「えー、今日から中間テストだ。ちょっと早いと思うかもしれないが、このテストは1年のみのテストだ。まぁ、練習みたいな感じだ。それでも本気でやるように」

 中間テスト。入学して約1ヶ月経った頃にあるテストだ。中間テスト自体は1年にしかなく、2年からは約2ヶ月後の期末テストのみとなる。
 そして、俺は知っている。このテストには……

「あ、あと言い忘れていたが、基準の点数越えられなかった教科があったやつは放課後補習だからな」

「え!  補習あるんすか!?!?」

「当たり前だ。今までの教えてきたことが理解出来てないって事だからな」

 トムが唖然とする中、グルドは余裕そうな顔をしている。
 入学してから気が付いたが、グルドはなんだかんだ言って勉強もできる。恐らく、人並みに勉強し、努力してきたのだろう。

 逆にトム。彼はなぜ魔法科に入学できたのかわからないくらい授業の内容が頭に入っていない。自分では努力してここに来たって言ってたけど……まぁ、本当のことは分からないしな。うんうん。

「じゃ、言語のテストまであと20分。有意義に使うように」

 中間テストの教科は4教科。言語、世界史、国語、魔法史の四教科だ。
 俺は前まで苦手だった魔法史はストローグさんのおかげでなんだかんだ分かるようになった。冒険者についての学習も魔法史で行うからだ。

 でも、まぁ……大丈夫かな。意外とこのテストの内容は覚えている気がする。うろ覚えだけど……2年以降のテストよりは大丈夫そうだ。とりあえず頑張ろう。

「なぁ……バッド。どこでそうとか……分かるか?  頼む!!」

 トムだ。トムが懇願している。

「言語は今からどうこうするのは難しいと思うけど……魔法史とか世界史は教科書の赤文字だけ押えておけば大丈夫だと思うよ」

「まじか!  よし、言語は運に任せて魔法史と世界史やってくるわ!!  ありがとな!!」

 そう言ってトムはすぐに席に戻り、教科書を開き始めた。
 グルドの様子を見てみると、静かに言語帳を眺めていた。

 こうやって見るとグルドは真面目だよなぁ……コツコツ堅実に積み重ねるタイプか。見習おう。

 そして、グルドの前にいるエアリス。彼女が目に入った。
 ……何も開かず1点見つめてる!?  すごい……先週あんなに脅えていたのに……あの自信。こっちも見習おう……

「ねぇ……バッド?  この文章の意味……分かる?」

 次はシュナだ。隣からそーっと聞いてくるシュナに、俺は言語の文法を教えてあげた。ここら辺はまだ基礎だから俺でも解ける。なんせ二回目だからな。多分、ヒュームとかに聞いた方が100倍わかりやすいだろうけど……人に教えるって気持ちいいなぁ……

「バッドは意外と勉強出来るのか?」

「意外とってなんだよヒューム。ちゃんと人並には出来ると思ってるよ」

 後ろから声をかけてくるヒューム。彼の表情にもかなりの余裕が見える。まぁ、そうだよな。実はここ1週間、彼に分からない問題を聞いたりしていた。自分のできない穴を難なくこなす彼は紛れもなく、筆記試験1位の天才だ。

 俺は前に向き直し、最後の準備をしようとしていた。その時だ。

「……バッドさんは言語得意でして?」

「いや、まぁ……そこそこね。ラミリエルさんは?」

「できないことも無い……ごめんなさいですわ。嘘ですわ。苦手ですわ」

「そうなんだ……頑張ろう……?」

 先週初めて話した時から、なんだかんだラミリエルさんとも話す機会が増えた。て、言うか話しかけてくれることが増えた。
 それでも彼女の素性はあんまり分からない。でも、ひとつ分かったことは、お嬢様でも俺たちと何ら変わらない1人の生徒だと言うことだ。

「ちらっと見てもよくて?」

「それはバレたら……退学ですよ」

「じゃあ……バレないようにと?」

「好きにしてください……!」

「心から感謝ですわ」

 この1ヶ月で俺はクラス人たちとなんだかんだで関係性が出来た。これは嬉しいことだし、かなりの進歩だ。言ってしまえば、未来は変わっている。確実にだ。
 まぁ……エアリスはちょっとまだ話しにくいけど……これからかな。

「んじゃ、1限は言語だ。始めるぞ。荷物しまえー」

 こうして、中間テストがスタートした。

 ──────

 3限の国語のテストが終わり、休み時間。残りのテストは魔法史のみとなった。
 そして俺は今。危機に陥っている。

 ───お腹が痛い……!!

 これは昨日食べだあれだ……消費期限切れの魔力飯……グルドも食べたはずなのに……なんでピンピンなんだ!?

 耐えられると思ったが無理だ。よし。トイレに行こう。魔法史はちょっと不安だったから見直ししたいけど……無理だ。
 このテストは途中退出することは可能だが、その時点で回答を終わらせなければならない。だから、俺はここでトイレに行かないという選択肢は無いのだ。

 俺が席を立ち、トイレに向かおうとしたその時だった。

「なぁ、バッド!  ここ教えてくれ!  なんて読むんだこれ!?」

 やめろトム!  今だけは肩組んでくるな!!

 腹の奥底から鳴る音が俺のこれからの絶望の音とリンクする。だめだ……早く教えて行かないと……

「え、えっと……」

 手早く魔法史の用語を教え、トイレに行こうとしたその時だった。

「んじゃ、始めるぞ」

 ……!?!?  ちょっと早くないか!?!?
 ……あ、忘れてた。3限と4限の間だけ……休み時間は10分だ!!!

 その時、冷や汗ダラダラの俺は新たな最悪と対峙することになってしまった。
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