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第1章 幼年期
第5話 エイミーと魔法
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なんだか早足なエイミーに連れられて家に帰ってきた。
「ただいま帰りました」
玄関を抜けてリビングへと向かうとお父さんが珍しく日が出ているうちに帰ってきていた。
「おぉグラリスおかえり。エイミーもおかえり」
俺はエイミーと繋いでいた手を離し、お父さんの所へと走っていった。
それを見たお父さんは椅子からおり膝立ちになり俺を迎え入れてくれた。
お父さんに飛びつき、頭を撫でてもらう。中身が高校生だとしても今はまだまだ子どもだ。親に甘えたい気持ちが溢れてくる。
「ちょうどいいですグラディウス様! ラミリス様もお聞きください! 」
目をキラキラさせながらずしずしとお父さんとお母さんの方へ向かってくるエイミーを見て、キョトンとした目で2人は「どうしたの?」「どうしたんだ?」と聞き返した。
あまり話を盛りすぎないでくれよ……
この2人は思ったよりも親バカだ。何でもかんでも俺を天才だと信じ込もうとしてしまう。
「先程グラリス様とお散歩に行っている時、私がつまずいて転んでしまったのです。思ったよりも重症だったのですが……そう! この通り!! グラリス様が治癒魔法をお使いになられて傷を癒してくださったのです!!」
エイミーはスカートの裾をサッと持ち上げ元々傷のあった膝を2人に見せつけた。
まてまてまてまて!! 重症じゃないだろ!! 大丈夫って言ってたじゃないか!!
案の定その話を聞いた2人は……
「ま……まさ……か……!? この歳で治癒魔法だと!?」
「この子……S級魔法使いまっしぐらだわ!!」
「いーや! グラリスは俺が鍛えてS級魔剣士をめざしてもらおう!」
「そうね! そうしましょう!」
「グラリス様の成長が楽しみで仕方ないです!!」
おーーい。置いてかないでくれー。
と、まぁこんな感じの親バカっぷりだ。
聞いてた話の中にS級やらなんやら言っていたが恐らくその人のランク付けのようなものだろう。
S級になればモテるのかな……。頑張ってみよ。
「ちゆ、まほう、つかえる」
俺は会話に参加しようと頑張った。ちょっと仲間外れは嫌だよ。僕も混ぜてと言わんばかりに。
俺が子どもなりの言葉で伝えると3人は俺が求めていた、いや、それよりも構ってくれた。
「凄いわ! グラリス!」
「お前は天才だ! グラリス!」
「やっぱり天才です! グラリス様!」
うむうむ苦しゅうない。もっと言っておくれ。
こうして今日は寝るまでずっと褒められていたのであった。
──────
数日後。父グラディウスが休みの日に、俺に魔法を見せてくれることになった。
「グラリス。まず魔法はこうやって……手に魔力を……こう……集める感じでだな……」
父は感覚派である。教えることは苦手らしい。まぁ最強パーティのリーダーらしいから実力は確かなのだろうが。
ここは俺の家の庭だ。俺の家は中央大陸の大都市を少し外れたところの平野に家を建てたらしい。ここは緑も多く近くに川もあり住むには最適な場所だ。ここだけの話かなりのお金がかかったらしいぞ。
一応ここは近くにあるフレムイ村と言う村の一角という事になっている。
そのため親戚とやらもチラホラといる。
でも今の俺くらいの子どもはあんまりいないらしくて友達は出来そうにないかな。
俺はエイミーと手を繋ぎ、お父さんの魔法のショーを見ていた。俺の隣には低い石の壁に座ったお母さんもいた。
「あなた。頑張って」
「グラディウス様。頑張ってください」
本当に応援してるのか急かしているのか俺にはわからなかったが、それを聞いたお父さんは吹っ切れたのか「あーもう! こうだ!」と言って手からサッカーボール程の大きさの炎の玉を発生させた。
手のひらを上に向け、その上に火の玉がのっていた。
「俺の魔力属性は【火属性】だからこんな感じに炎を操れる」
お父さんは間髪入れず、次に両手を頭の上まで持ち上げ、さっきの火の玉がみるみるうちに大きくなった。
おいおいおいおい!! ここは緑が多いんじゃないのか!?
燃えるよ! 火事になるよ!
俺がの焦りが伝わったのかエイミーが俺の手をぎゅっと握りなおし「大丈夫ですよ。グラリス様」と言ってニコッと笑った。
本当に大丈夫なのだろうか。俺がまだ心配していると、
「グラリス。大丈夫だ。まだこの炎は熱くない。魔力を解放するまでは空気とさほど変わらないんだ」
なるほど。まだ見かけだけの気体ということか。一言で魔法と言っても奥が深いんだな。
魔法の説明を一通り終えたお父さんは「もういいかな」と言ってパッ! と一瞬にしてとても大きな火の玉が消えた。
両隣で拍手がなり始める。俺もそれにつられてにひひと笑ってぺちぺちと拍手をした。
お父さんは少し嬉しそうに頭を掻きながらこっちに近付いてきた。
でもここで俺の中で1つの疑問が生まれた。治癒魔法の属性はなんなのだろうか。この属性によっては生涯俺の魔法使い人生が決まってくる。
「ちゆ、ぞくせい、なに?」
俺は普通子どもが言うことのないだろう疑問を聞いた。ちょっと賢過ぎただろうかとも思ったが親バカandメイドだ。
「おぉ! グラリスは賢いなぁ!」
「やっぱり天才だわ!」
「天才ですね!」
うん。大丈夫そうだ。
お父さんが俺の頭をガシガシ撫でながら話し始めた。
「治癒魔法はなちょっと難しいかもしれないが【無属性】なんだ。だから魔力属性とは関係なく使うことが出来る魔法だ。まぁだから誰でも練習すれば使えるってことだ」
なるほど。治癒魔法はデフォルト装備ってことか。ならまだまだ魔法使い人生楽しめそうだ。
「だとしてもこの歳で治癒魔法を使うのは見たことがないわ。やっぱ天才だわ」
やっぱり俺は天才なのか? とも思ってしまうほど天才天才と連呼される。でも少し俺もそう思い始めてきた。ますます自分の魔力属性が何なのか楽しみになってきた。
「ちなみにだがエイミーはA級魔法使いなんだぞ。な、エイミー」
え!? そうなのか!? なんかドジな割にすごい肩書きじゃないか……これがギャップ萌えってやつか……。
エイミーの顔を見るとあまり嬉しそうな表情を浮かべてなく苦笑いをしていた。
どうしてだろう、と思い俺はエイミーのスカートの裾をぎゅぎゅっと何回か引っ張った。
すると、エイミーは俺の目線までしゃがんでお話をしてくれた。
「私……A級ですけど……無属性魔法何も使えないんです……」
「そうだったのか!?」とお父さんもお母さんも知らなかった様子であった。
するとまたエイミーは口を開いた。
「無属性魔法を使えないA級なんてただのお荷物ですよ。だから冒険者じゃなくてメイドになったんです」
少しくらい顔してエイミーはそう答えた。目線は地面。
ドジで可愛げのあるメイドの女の子としか思っていなかったがエイミーも色々過去にあったのだろうなと察した。
俺はエイミーの頬を両手でがっしりと持ち、俯いた顔を俺の方を向かせて、にひひ、と今俺に出来る全力の可愛いをエイミーに見せつけた。
するとエイミーの目から一滴の涙がスーっ、と流れた。でもそれ以上は流れない。俺は分かった。エイミーはとても強い子だと。
涙に気が付いたのは俺だけだ。いや、俺だけに見せてくれたのかもしれない。にひひ、と笑った俺の顔を見ながらエイミーもまた、にひひ、と笑って見せてくれた。
数秒。たかが数秒。でもこの数秒の中に詰まった涙と笑顔の話はまた今度聞くことにしよう。
笑いあった後、エイミーはさっと立ち上がり「なんかすみません! 暗くしてしまって! では私は掃除の時間ですので」と言って家の中へと向かって言った。
お父さんとお母さんがなにかコソコソ話している。なんだぁ? エイミーの悪口かぁ? と睨みを聞かせていると、俺なんかには見向きもせず「エイミー! これからもよろしく頼むぞ!」「エイミー。いつもありがとね!」と歩いていくエイミーに2人は伝えた。
やばい……泣きそうだ。2歳半で感動で涙するやつおるか!
必死に我慢しているとエイミーは顔だけこちらに向け「ありがとうございます! これからもよろしくお願いします!」とだけ伝えまた歩き始めた。
さらに涙腺が締め付けられる。耐えろ……耐えろグラリス! と自分の情緒と格闘しているとドテッ! と何かが転ぶ音がした。
「おいエイミー! 大丈夫か!」
それを聞いて何が起きたのかもうわかった。みんなで走ってエイミーの方へと向かう。そして4人顔を合わせて大爆笑した。
「ただいま帰りました」
玄関を抜けてリビングへと向かうとお父さんが珍しく日が出ているうちに帰ってきていた。
「おぉグラリスおかえり。エイミーもおかえり」
俺はエイミーと繋いでいた手を離し、お父さんの所へと走っていった。
それを見たお父さんは椅子からおり膝立ちになり俺を迎え入れてくれた。
お父さんに飛びつき、頭を撫でてもらう。中身が高校生だとしても今はまだまだ子どもだ。親に甘えたい気持ちが溢れてくる。
「ちょうどいいですグラディウス様! ラミリス様もお聞きください! 」
目をキラキラさせながらずしずしとお父さんとお母さんの方へ向かってくるエイミーを見て、キョトンとした目で2人は「どうしたの?」「どうしたんだ?」と聞き返した。
あまり話を盛りすぎないでくれよ……
この2人は思ったよりも親バカだ。何でもかんでも俺を天才だと信じ込もうとしてしまう。
「先程グラリス様とお散歩に行っている時、私がつまずいて転んでしまったのです。思ったよりも重症だったのですが……そう! この通り!! グラリス様が治癒魔法をお使いになられて傷を癒してくださったのです!!」
エイミーはスカートの裾をサッと持ち上げ元々傷のあった膝を2人に見せつけた。
まてまてまてまて!! 重症じゃないだろ!! 大丈夫って言ってたじゃないか!!
案の定その話を聞いた2人は……
「ま……まさ……か……!? この歳で治癒魔法だと!?」
「この子……S級魔法使いまっしぐらだわ!!」
「いーや! グラリスは俺が鍛えてS級魔剣士をめざしてもらおう!」
「そうね! そうしましょう!」
「グラリス様の成長が楽しみで仕方ないです!!」
おーーい。置いてかないでくれー。
と、まぁこんな感じの親バカっぷりだ。
聞いてた話の中にS級やらなんやら言っていたが恐らくその人のランク付けのようなものだろう。
S級になればモテるのかな……。頑張ってみよ。
「ちゆ、まほう、つかえる」
俺は会話に参加しようと頑張った。ちょっと仲間外れは嫌だよ。僕も混ぜてと言わんばかりに。
俺が子どもなりの言葉で伝えると3人は俺が求めていた、いや、それよりも構ってくれた。
「凄いわ! グラリス!」
「お前は天才だ! グラリス!」
「やっぱり天才です! グラリス様!」
うむうむ苦しゅうない。もっと言っておくれ。
こうして今日は寝るまでずっと褒められていたのであった。
──────
数日後。父グラディウスが休みの日に、俺に魔法を見せてくれることになった。
「グラリス。まず魔法はこうやって……手に魔力を……こう……集める感じでだな……」
父は感覚派である。教えることは苦手らしい。まぁ最強パーティのリーダーらしいから実力は確かなのだろうが。
ここは俺の家の庭だ。俺の家は中央大陸の大都市を少し外れたところの平野に家を建てたらしい。ここは緑も多く近くに川もあり住むには最適な場所だ。ここだけの話かなりのお金がかかったらしいぞ。
一応ここは近くにあるフレムイ村と言う村の一角という事になっている。
そのため親戚とやらもチラホラといる。
でも今の俺くらいの子どもはあんまりいないらしくて友達は出来そうにないかな。
俺はエイミーと手を繋ぎ、お父さんの魔法のショーを見ていた。俺の隣には低い石の壁に座ったお母さんもいた。
「あなた。頑張って」
「グラディウス様。頑張ってください」
本当に応援してるのか急かしているのか俺にはわからなかったが、それを聞いたお父さんは吹っ切れたのか「あーもう! こうだ!」と言って手からサッカーボール程の大きさの炎の玉を発生させた。
手のひらを上に向け、その上に火の玉がのっていた。
「俺の魔力属性は【火属性】だからこんな感じに炎を操れる」
お父さんは間髪入れず、次に両手を頭の上まで持ち上げ、さっきの火の玉がみるみるうちに大きくなった。
おいおいおいおい!! ここは緑が多いんじゃないのか!?
燃えるよ! 火事になるよ!
俺がの焦りが伝わったのかエイミーが俺の手をぎゅっと握りなおし「大丈夫ですよ。グラリス様」と言ってニコッと笑った。
本当に大丈夫なのだろうか。俺がまだ心配していると、
「グラリス。大丈夫だ。まだこの炎は熱くない。魔力を解放するまでは空気とさほど変わらないんだ」
なるほど。まだ見かけだけの気体ということか。一言で魔法と言っても奥が深いんだな。
魔法の説明を一通り終えたお父さんは「もういいかな」と言ってパッ! と一瞬にしてとても大きな火の玉が消えた。
両隣で拍手がなり始める。俺もそれにつられてにひひと笑ってぺちぺちと拍手をした。
お父さんは少し嬉しそうに頭を掻きながらこっちに近付いてきた。
でもここで俺の中で1つの疑問が生まれた。治癒魔法の属性はなんなのだろうか。この属性によっては生涯俺の魔法使い人生が決まってくる。
「ちゆ、ぞくせい、なに?」
俺は普通子どもが言うことのないだろう疑問を聞いた。ちょっと賢過ぎただろうかとも思ったが親バカandメイドだ。
「おぉ! グラリスは賢いなぁ!」
「やっぱり天才だわ!」
「天才ですね!」
うん。大丈夫そうだ。
お父さんが俺の頭をガシガシ撫でながら話し始めた。
「治癒魔法はなちょっと難しいかもしれないが【無属性】なんだ。だから魔力属性とは関係なく使うことが出来る魔法だ。まぁだから誰でも練習すれば使えるってことだ」
なるほど。治癒魔法はデフォルト装備ってことか。ならまだまだ魔法使い人生楽しめそうだ。
「だとしてもこの歳で治癒魔法を使うのは見たことがないわ。やっぱ天才だわ」
やっぱり俺は天才なのか? とも思ってしまうほど天才天才と連呼される。でも少し俺もそう思い始めてきた。ますます自分の魔力属性が何なのか楽しみになってきた。
「ちなみにだがエイミーはA級魔法使いなんだぞ。な、エイミー」
え!? そうなのか!? なんかドジな割にすごい肩書きじゃないか……これがギャップ萌えってやつか……。
エイミーの顔を見るとあまり嬉しそうな表情を浮かべてなく苦笑いをしていた。
どうしてだろう、と思い俺はエイミーのスカートの裾をぎゅぎゅっと何回か引っ張った。
すると、エイミーは俺の目線までしゃがんでお話をしてくれた。
「私……A級ですけど……無属性魔法何も使えないんです……」
「そうだったのか!?」とお父さんもお母さんも知らなかった様子であった。
するとまたエイミーは口を開いた。
「無属性魔法を使えないA級なんてただのお荷物ですよ。だから冒険者じゃなくてメイドになったんです」
少しくらい顔してエイミーはそう答えた。目線は地面。
ドジで可愛げのあるメイドの女の子としか思っていなかったがエイミーも色々過去にあったのだろうなと察した。
俺はエイミーの頬を両手でがっしりと持ち、俯いた顔を俺の方を向かせて、にひひ、と今俺に出来る全力の可愛いをエイミーに見せつけた。
するとエイミーの目から一滴の涙がスーっ、と流れた。でもそれ以上は流れない。俺は分かった。エイミーはとても強い子だと。
涙に気が付いたのは俺だけだ。いや、俺だけに見せてくれたのかもしれない。にひひ、と笑った俺の顔を見ながらエイミーもまた、にひひ、と笑って見せてくれた。
数秒。たかが数秒。でもこの数秒の中に詰まった涙と笑顔の話はまた今度聞くことにしよう。
笑いあった後、エイミーはさっと立ち上がり「なんかすみません! 暗くしてしまって! では私は掃除の時間ですので」と言って家の中へと向かって言った。
お父さんとお母さんがなにかコソコソ話している。なんだぁ? エイミーの悪口かぁ? と睨みを聞かせていると、俺なんかには見向きもせず「エイミー! これからもよろしく頼むぞ!」「エイミー。いつもありがとね!」と歩いていくエイミーに2人は伝えた。
やばい……泣きそうだ。2歳半で感動で涙するやつおるか!
必死に我慢しているとエイミーは顔だけこちらに向け「ありがとうございます! これからもよろしくお願いします!」とだけ伝えまた歩き始めた。
さらに涙腺が締め付けられる。耐えろ……耐えろグラリス! と自分の情緒と格闘しているとドテッ! と何かが転ぶ音がした。
「おいエイミー! 大丈夫か!」
それを聞いて何が起きたのかもうわかった。みんなで走ってエイミーの方へと向かう。そして4人顔を合わせて大爆笑した。
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