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第2章 少年期 剣術・魔術成長編
第11話 体調不良
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リューネとの決闘から1週間が経ったある日のこと。
俺はリューネに言われてから毎日7時半にはリビングに来るようにしていた。
それでも毎朝リューネの方が先にリビングにいる。
それで毎回「あなた、遅いわね」と一言だけ告げ、それ以外の会話は全くと言っていいほどないのだ。
ちなみにまだ名前を呼ばれたことは無い。
別に俺はリューネのこと嫌いじゃないのに!! どうしてそんなに避けられちゃうの!! そろそろ悲しいよ!!
今日こそは! と思いながらリビングへと向かっていった。
おっと、なんて珍しい。いつもならお父さんはもう街へ向かっていて、お母さんとエイミーとリューネがリビングにいるはずなのだが、今日はお母さんしかリビングにいなかった。
「グラリスおはよう」
「おはようございます。エイミーとリューネはまだ起きてないんですか?」
俺がそう聞くと朝ごはんの準備をしていたお母さんは答えてくれた。
「エイミーはちょっと体調崩しちゃったみたいよ。だから今日はすみませんお休みさせてって。グラリスにうつしたら悪いから私のベッド貸してくださいって言って、今はお母さんの部屋で寝てるわ。リューネちゃんはまだ見てないわね」
エイミーが……体調不良!? リューネ起きてないラッキーとか思ったけど、それよりエイミーが心配だ。
「そうだったんですか……後でエイミーの様子見てきます」
「そうね、後でお水とお粥作るからそれ持って行ってあげてちょうだい」
「分かりました」
俺はそう答えながらリューネのことなんてさっぱり忘れてしまっていた。
数時間後。
俺は木のトレイにコップに注いだ水とお母さんが作ってくれたお粥を乗せて二階にあるお母さんの部屋へと向かった。
ドアの前に一度トレイを置き、ドアを2回コンコンとノックをし、「エイミー起きてますか? お水とお母さんが作ってくれたお粥持ってきました」と声をかけると「……グラリス様ですか……すみません。どうぞ……」と、いかにも辛そうな声色で答えてくれた。
きっと疲れが溜まっていたのだろう。メイドとして、俺の先生として毎日かなりハードワークだった。
水とお粥を渡したらそっとしておいてあげよう。
「すみません。入りますね」
ドアをガチャっと開けると、真っ赤な顔をしたエイミーが辛そうに横になっていた。
「用が済んだらすぐ行くね。ゆっくり寝てて」
俺はそう言って机の上にトレイを置いた。
本当に辛そうだ……どうにかしてあげたいけどどうにもならない……エイミー頑張って!!!!!
俺は静かに部屋を出ようとしたその時、「……グラリス様。ちょっと来てもらってもいいですか?」と、エイミーが俺を呼んだ。
俺は「いいよ」と短く答えエイミーの寝ているベッドに向かった。
エイミーの目の前にしゃがみ「どうしました?」と聞くとエイミーはさっきよりも小さな声で「……ちょっとだけ……手を……握ってください……」と恥ずかしそうに言った。
ちょまてよ! 可愛いじゃんか。今すぐにでも握ってあげたい。なんなら抱きしめたい!!
と、思ったがまだ俺は五歳。子どもっぽく振る舞わなければ。
「いいけど……どうして?」
俺がそう聞くともっとエイミーが恥ずかしそうに
「……安心するからです」とか弱い声で言ってきた。
こんな子どもに握られて本当に安心するのか? と疑問にも思ったがこれ以上聞くのは良くないだろう。
俺は「分かったよ」と言ってかけていた毛布の中に手を入れエイミーの手を優しく握った。
「うつしてしまったら……すいま……せん……」
エイミーは安心したかのようにまた眠りについてしまった。
お粥が冷めちゃう、なんてことも思ったが、眠っているエイミーを見てそんなこともどうでも良くなってきた。
数分後、エイミーを起こさないように握った手を離し、部屋を出た。
廊下で俺はエイミーの手を握った自分の手を見つめ、毎度のことのようにおっきくなってもこういうとこしたいなぁなんて切実に思う。
俺がエイミーの手に浸っていると、後ろの方からガチャとドアが開く音がした。
恐らくお母さんの部屋ではなくエイミーの部屋のドアが開いた。エイミーの部屋に寝ているのは……そう。リューネだ。
俺は一瞬にして忘れていたリューネの存在を思い出した。今までバカにされてきた分どのようにバカにしてやろうか脳みそをフル回転させて考えた。
眠れる子羊ちゃん。やっと起きたんだね。
白雪姫ちゃん。僕のキスがないからって眠すぎだよ。
どうしようかと考えながら後ろを振り向くと、いつもに増して機嫌が悪そうな顔をしているリューネが居た。
それを見た俺は……ひよってしまった。
「お、おはよう。リューネ。よ、よく眠れたかな?」
なーんてしょうもない挨拶をしたのだが、リューネは反応してくれなかった。
まぁ反応してくれないのもいつもどうりだったので、俺はもう一階に戻ろうと後ろに振り向き直したその時だった。
バタッ
後ろで何かが倒れる音がした。リューネだ。
とても辛そうに荒い呼吸をするリューネを見て、俺はもしかしてやばい? と思い、リューネの方へと近付いた。
「……大丈夫か?」
そう声をかけるが未だ無視を続けるリューネ。「失礼します……」と俺はリューネの肩を持ち上げ、上体を起こした。
服越しにも伝わるくらいに身体は火照っていた。
もう一度「失礼します……」とおでこに手を当てると、とてつもなく熱かった。軽く39度はあるだろう。
「どうしよう……とりあえず……ベッドに運ぶか……」
俺はリューネをお姫様抱っこし、エイミーのベッドへと運んだ。
バレないようにそーっと部屋を出ようとしたその時だった。
「……はぁはぁはぁ……はぁはぁ……」
恐らく寝ているリューネだがとても息をあげて苦しそうにしていた。悪夢でも見ているのだろうか。悪夢……か。
何かを思い出しかけた俺はいてもたってもいられなくなり、リューネの方へと近付いた。
「こんなんで楽になるかな……」
俺はさっきエイミーにしたようにリューネの手をぎゅとにぎってあげた。すると俺が握ったおかげかのように息は安定し、すぴーっと可愛い寝息が聞こえてきた。
また数分経ち、俺はリューネを起こさないように手を離し、部屋を出た。
一階に下りて、俺はさっきあったことを全部お母さんに伝えた。初めてお母さんと二人っきりで過ごす日は案外悪くなかったが、少し寂しかった。
家族が減るとこんなに寂しいものなんだなぁ、と実感した。
リューネは四歳で親元に居れないのは辛くないのだろうか。そんなこと俺が考えてもしょうがないか。
俺はお母さんと今日どこで寝ようかとそんなお話をしながら昼ごはんを食べるのであった。
──────
─翌日─
ソファで寝ていた俺は体調を崩してしまった。
……くそぉ……辛い……辛い……
視界はぐにゃぐにゃと波打っていて、吐き気や倦怠感に襲われていた。恐らく二人のがうつってしまったのだろう。
一日で体調を治したエイミーと交代で俺はお母さんの部屋で寝ることとなった。
……はぁ、とんだ災難だ。おぇぇ。
吐き気やめまい、倦怠感に襲われながらベッドに横になっている俺は、誰かの手を確実に求めていた。
俺はリューネに言われてから毎日7時半にはリビングに来るようにしていた。
それでも毎朝リューネの方が先にリビングにいる。
それで毎回「あなた、遅いわね」と一言だけ告げ、それ以外の会話は全くと言っていいほどないのだ。
ちなみにまだ名前を呼ばれたことは無い。
別に俺はリューネのこと嫌いじゃないのに!! どうしてそんなに避けられちゃうの!! そろそろ悲しいよ!!
今日こそは! と思いながらリビングへと向かっていった。
おっと、なんて珍しい。いつもならお父さんはもう街へ向かっていて、お母さんとエイミーとリューネがリビングにいるはずなのだが、今日はお母さんしかリビングにいなかった。
「グラリスおはよう」
「おはようございます。エイミーとリューネはまだ起きてないんですか?」
俺がそう聞くと朝ごはんの準備をしていたお母さんは答えてくれた。
「エイミーはちょっと体調崩しちゃったみたいよ。だから今日はすみませんお休みさせてって。グラリスにうつしたら悪いから私のベッド貸してくださいって言って、今はお母さんの部屋で寝てるわ。リューネちゃんはまだ見てないわね」
エイミーが……体調不良!? リューネ起きてないラッキーとか思ったけど、それよりエイミーが心配だ。
「そうだったんですか……後でエイミーの様子見てきます」
「そうね、後でお水とお粥作るからそれ持って行ってあげてちょうだい」
「分かりました」
俺はそう答えながらリューネのことなんてさっぱり忘れてしまっていた。
数時間後。
俺は木のトレイにコップに注いだ水とお母さんが作ってくれたお粥を乗せて二階にあるお母さんの部屋へと向かった。
ドアの前に一度トレイを置き、ドアを2回コンコンとノックをし、「エイミー起きてますか? お水とお母さんが作ってくれたお粥持ってきました」と声をかけると「……グラリス様ですか……すみません。どうぞ……」と、いかにも辛そうな声色で答えてくれた。
きっと疲れが溜まっていたのだろう。メイドとして、俺の先生として毎日かなりハードワークだった。
水とお粥を渡したらそっとしておいてあげよう。
「すみません。入りますね」
ドアをガチャっと開けると、真っ赤な顔をしたエイミーが辛そうに横になっていた。
「用が済んだらすぐ行くね。ゆっくり寝てて」
俺はそう言って机の上にトレイを置いた。
本当に辛そうだ……どうにかしてあげたいけどどうにもならない……エイミー頑張って!!!!!
俺は静かに部屋を出ようとしたその時、「……グラリス様。ちょっと来てもらってもいいですか?」と、エイミーが俺を呼んだ。
俺は「いいよ」と短く答えエイミーの寝ているベッドに向かった。
エイミーの目の前にしゃがみ「どうしました?」と聞くとエイミーはさっきよりも小さな声で「……ちょっとだけ……手を……握ってください……」と恥ずかしそうに言った。
ちょまてよ! 可愛いじゃんか。今すぐにでも握ってあげたい。なんなら抱きしめたい!!
と、思ったがまだ俺は五歳。子どもっぽく振る舞わなければ。
「いいけど……どうして?」
俺がそう聞くともっとエイミーが恥ずかしそうに
「……安心するからです」とか弱い声で言ってきた。
こんな子どもに握られて本当に安心するのか? と疑問にも思ったがこれ以上聞くのは良くないだろう。
俺は「分かったよ」と言ってかけていた毛布の中に手を入れエイミーの手を優しく握った。
「うつしてしまったら……すいま……せん……」
エイミーは安心したかのようにまた眠りについてしまった。
お粥が冷めちゃう、なんてことも思ったが、眠っているエイミーを見てそんなこともどうでも良くなってきた。
数分後、エイミーを起こさないように握った手を離し、部屋を出た。
廊下で俺はエイミーの手を握った自分の手を見つめ、毎度のことのようにおっきくなってもこういうとこしたいなぁなんて切実に思う。
俺がエイミーの手に浸っていると、後ろの方からガチャとドアが開く音がした。
恐らくお母さんの部屋ではなくエイミーの部屋のドアが開いた。エイミーの部屋に寝ているのは……そう。リューネだ。
俺は一瞬にして忘れていたリューネの存在を思い出した。今までバカにされてきた分どのようにバカにしてやろうか脳みそをフル回転させて考えた。
眠れる子羊ちゃん。やっと起きたんだね。
白雪姫ちゃん。僕のキスがないからって眠すぎだよ。
どうしようかと考えながら後ろを振り向くと、いつもに増して機嫌が悪そうな顔をしているリューネが居た。
それを見た俺は……ひよってしまった。
「お、おはよう。リューネ。よ、よく眠れたかな?」
なーんてしょうもない挨拶をしたのだが、リューネは反応してくれなかった。
まぁ反応してくれないのもいつもどうりだったので、俺はもう一階に戻ろうと後ろに振り向き直したその時だった。
バタッ
後ろで何かが倒れる音がした。リューネだ。
とても辛そうに荒い呼吸をするリューネを見て、俺はもしかしてやばい? と思い、リューネの方へと近付いた。
「……大丈夫か?」
そう声をかけるが未だ無視を続けるリューネ。「失礼します……」と俺はリューネの肩を持ち上げ、上体を起こした。
服越しにも伝わるくらいに身体は火照っていた。
もう一度「失礼します……」とおでこに手を当てると、とてつもなく熱かった。軽く39度はあるだろう。
「どうしよう……とりあえず……ベッドに運ぶか……」
俺はリューネをお姫様抱っこし、エイミーのベッドへと運んだ。
バレないようにそーっと部屋を出ようとしたその時だった。
「……はぁはぁはぁ……はぁはぁ……」
恐らく寝ているリューネだがとても息をあげて苦しそうにしていた。悪夢でも見ているのだろうか。悪夢……か。
何かを思い出しかけた俺はいてもたってもいられなくなり、リューネの方へと近付いた。
「こんなんで楽になるかな……」
俺はさっきエイミーにしたようにリューネの手をぎゅとにぎってあげた。すると俺が握ったおかげかのように息は安定し、すぴーっと可愛い寝息が聞こえてきた。
また数分経ち、俺はリューネを起こさないように手を離し、部屋を出た。
一階に下りて、俺はさっきあったことを全部お母さんに伝えた。初めてお母さんと二人っきりで過ごす日は案外悪くなかったが、少し寂しかった。
家族が減るとこんなに寂しいものなんだなぁ、と実感した。
リューネは四歳で親元に居れないのは辛くないのだろうか。そんなこと俺が考えてもしょうがないか。
俺はお母さんと今日どこで寝ようかとそんなお話をしながら昼ごはんを食べるのであった。
──────
─翌日─
ソファで寝ていた俺は体調を崩してしまった。
……くそぉ……辛い……辛い……
視界はぐにゃぐにゃと波打っていて、吐き気や倦怠感に襲われていた。恐らく二人のがうつってしまったのだろう。
一日で体調を治したエイミーと交代で俺はお母さんの部屋で寝ることとなった。
……はぁ、とんだ災難だ。おぇぇ。
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