貴公子、淫獄に堕つ

桃山夜舟

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直会

百人との夜※

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 大広間は、百人にのぼる男達の人熱ひといきれでむっとしていた。
 飲めや歌えの賑やかな直会なおらいの中で、何よりの酒の肴は広間の中央にあり、彼らの視線はそこに集まっている。

「あ、んん……っ、はぁあ……っ」

 車座になった信徒たちの輪の中で、うすぎぬ単衣ひとえをしどけなく肩から落とした神子が、あぐらを掻いた男に抱えられ、背後から怒張を突き立てられていた。
 華奢な肢体をむくつけき男に思う様に揺すられるその姿は、哀れを催させる。
 だが、雪を欺く白い肌は上気して薄紅色に染まり、脚の間の物は蜜をこぼしながら健気に勃ち上がっている。
 そればかりか、ふっくらと赤く尖った胸の先からも、白蜜の雫が滲み出ているのだ。
 神子もまた快楽を得ていることは明らかだ。


「あぁ……ッ」

 最も感じる奥深くを抉られ、真霧は大きく背を反らした。
 突き出す形になった胸に、提子ひさげを手にした向かいの男が、酒を注ぎかける。

「は、んんっ」

 左右にいた信徒たちが、薄い腹へと滴り落ちた酒を舐め上げ、胸の尖りからあふれ出す乳を吸い始めた。

「あっ、あ…ん…ぅっ」

 びくびくと震える下腹にも別の男が顔を埋め、股間に溜まった酒を啜りながら、濡れて震える花芯にしゃぶりつく。

「あぁっ、同時は、だめえ……っ」

 全身を嬲られて、真霧はせつなく喘ぎ、涙をこぼす。
 強すぎる快感に腹の奥がきゅうっと蠢く。
 すると媚肉に引き絞られた男が唸り、細腰を掴んで激しく突き上げ始めた。

「ひ……っ、あっ、あ、ああ……っ」

 誰かが爪弾く琵琶の音と、嫋嫋じょうじょうたる嬌声が絡まり合う。
 程なく真霧の中に迸りが叩きつけられた。
 名残惜しげに真霧を抱きすくめる男の肩を別の者が小突く。

「後がつかえておる。さっさと代われ」

 ちっと舌打ちしながらも男が真霧の中から出て行けば、今度は、横になった男の上に跨らされ、ずぶずぶと貫かれた。

「……あっ、はぁあ──っ」

 馴染むのも待たずに律動を始められ、真霧は男の胸に手を付いて、嵐のようなその動きに耐える。

 ────これで何人目だろうか。
 直会はすでに二夜目に突入していた。
 五十人程と交わった気がするが、よくわからない。
 神子の徴の加護で疲労や痛みを感じることはない。
 けれど、過ぎた快楽の蓄積に頭の芯はずっと痺れたままだ。
 もうずっと快感の波が押し寄せ続けていて、突かれるたびに腹の奥で極め続けている。

「あぁ、神子様……!その美しいお顔で受け止めてくだされ」

 進み出てきた男が、はち切れんばかりに腫れあがった剛直を真霧の顔に向けた。

「ぁ……っ、んんぅ……んっ」

 熱い精を勢いよく噴きかけられ、真霧は目を閉じ、身を震わせる。
 すると我も我もと寄り集まった幾人もの男達に、顔や胸、髪にまでも白濁を浴びせかけられてしまう。
 白く汚れたその淫らな姿に真霧の下にいた男は更に興奮し、猛然と腰を突き入れる。

「ひ……っ、だめ……っ、はげし、い……っ、やぁああ……ッ」

 わななく肉壺に新たな精が吐き出され、その刺激でまた達してしまう。

「は……、あ……、ふう……」

 絶頂に崩れ落ちかけた白濁まみれの体を、男達が抱え上げた。

「おいたわしや、かように穢されて。湯殿にお連れしましょうぞ」







「は……あ……んんっ」

 立ち込める湯煙の中、真霧は胸の下まで湯に浸かった状態で足を大きく開かされ、男を受け入れていた。
 背後には別の信徒がおり、倒れかかる真霧を抱きかかえながら、両の胸を揉んでいる。

 真霧を湯殿に運んだ信徒達は湯浴みをさせるという名目で全身を撫で回したあと、清めた身体を順に穢していく。
 清めながら穢すという矛盾に興奮を覚えるのだろうか。
 湯殿で真霧を抱きたがる者は多く、昨夜も入れ替わり立ち替わり、のぼせるまで抱かれたのだった。

「や、ん……っ」

 充血した胸の先端をきゅうと摘まれ、溢れ出した蜜が湯の中に落ちる。

「甘露が流れてしまうぞ」
「もったいない」

 信徒達は口々に言いながら、肌にしたたる乳を舐めとり、左右の乳首を吸う。

「あ、あぁ……んっ」
「神子様の中はまこと熱くとろけるようじゃ。ずっとこうしていたいが、もう堪えられませぬ……っ」

 真霧の足を広げさせていた男が切羽詰まったように腰を打ちつけ、湯よりも熱い迸りを真霧の中に注ぎ込んだ。

「は…あ…、あぁ……っ、……も、熱、い……」

 体の中からも外からも熱されて、くらくらと水中に沈み込みそうになる。

「のぼせてしまわれましたか。では湯から上がりましょうぞ」

 背後の男が立ち上がり、真霧の膝裏をすくいあげて抱え上げた。
 そのまま、ひくつく蕾をずぶりと串刺しに貫く。

「あ……っ、ああぁ──っ」

 力の入らない体を思うさまに揺さぶられ、頼りなく浮いた足が宙を蹴る。
 男が腰を突き上げるたびに、肌と肌がぶつかる音と、真霧のよがり声が岩造りの湯殿に響き渡る。

「これはしたり。ここをかわいがるのを失念しておりましたな」

 傍らにいた男が膝立ちで近づき、無防備に晒された花芯を咥えた。

「ひぃん……ッ、や、ぁああっ」

 ねっとりと絡みつく舌にねぶられ、腰が溶けそうになる。
 湯からは上がったのに、体はますます燃えるように熱い。

「あ、あ、ぁあっ、もう……っ」

 少しもこらえられず、すぐに男の口内で果ててしまった。
 絶頂に伴う収縮に道連れにされ、背後の男もまた真霧の中に白濁を撒き散らす。

「あ……んんぅぅ…………」

 真霧は恍惚と喉を反らし、中に出される愉悦に深く感じ入った。
 ふわふわと体が浮いているようで、意識が白く霞んでいく────







 気がつくと、また大広間の褥の上だった。
 大柄な信徒が真霧に覆いかぶさり、一心不乱に腰を振っている。
 男の肩越しに、信徒達が列を成しているのが見える。

 ────今から、この者ら皆に抱かれるのだ。

 そう思うと、また下腹がきゅんきゅんと疼いた。

「あっ、ん、は、ぁ……っ」

 揺さぶられるままに喉奥から喘ぎを漏らしながら、そっと庭先を見遣る。
 縁には浪月がいた。
 柱にもたれて片膝を立てて座り、かわらけに注いだ酒を口に運びつつ、真霧を見つめている。

 もう二夜目も明けようというのに、浪月はいまだ真霧に触れようとしない。
 他の男たちに嬲られる様をただつぶさに眺めているのだ。

 そのつれなさが恨めしい。
 けれど焦れれば焦れるほど、官能もまた高まっていく────

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