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1. おれ、使い魔になる!?
1-11 ご主人様の想い
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次の日。暇を持て余しつつ部屋でくつろいでいると、メイドさんがおれを呼びに来た。
「メグム様、アッシュ様がお呼びでございます」
「……え?」
ご主人様が、おれに用事?
そんなの、お屋敷に来てから初めてのことだ。初日と昨日の夜以外、まともに顔を合わせてすらいなかったのに……って、どれだけ放置されてたんだよ、おれ。
「アッシュ様のお部屋にご案内しますね」
「あ、はい。よろしくです……」
(……あ。メイド服のまま出てきちゃったけど……)
また、何か言われちゃうかな。
……ええい、いいや。好きにしていいって言われてるもんね。いくらご主人様だからって、文句は言わせないよーだ。
アッシュ様の部屋に、足を踏み入れる。
机と、大きな本棚と……作業台みたいなものと……何に使うのかよく分からない器具がいろいろ。たぶん、魔術のお仕事で使うんだろうけど。自室っていうか、研究室みたいだ。
すると、机に向かっていたアッシュ様が、おれの方を振り返る。
「来たか」
「……はい……」
何を言われるんだろう、と身構えていると……アッシュ様は、すっと立ち上がって。
「改めて、昨日は助かった。礼を言う」
おれに向かって、軽く頭を下げた。
「……そして、すまなかった。お前に、あまり良くない態度を取っていただろう」
「!」
あ、自覚あったんだ……。
というか、意外と素直に謝ってくれるんだ。……これも偏見だけど。
ふう、とアッシュ様が息をつく。
「……俺は、使い魔の生成に乗り気ではなかったんだ。依り代となる肉体を作り、魂を降ろして、使い魔を作る……そしてそれを、パフォーマンスのように人々に見せる。それは何だか、生命を軽く扱っているような気がして」
「……まあ、確かに……」
動物園かサーカスかってくらいのギャラリーの量でしたもんね。それに、使い魔を『生み出す』とかじゃなくて『生成する』って表現にも、何か違和感あるし。アッシュ様としても、そういうところは気になるんだ。
「しかし、良質な使い魔を生成することは、魔術師としての腕前を示すことになる……らしい。そう何度も魔術連盟の奴に言われた末に、実行に踏み切ったんだが……」
……なるほどね。
その説明を聞いて、すとんと腑に落ちた。
「……やっぱりご主人様、『使い魔』が必要だとは思ってなかったんだね」
「っ、それは……」
困ることがないはずなのに、使い魔を召喚したのはどうしてか。……どうしてもこうしてもなかった。周りに勧められたのが理由で、そもそもアッシュ様の意思じゃなかったんだ。
おれの言葉に、返答を詰まらせるアッシュ様。でも、それは一瞬だけのことだった。
「……認めざるを得ないな。使い魔を生成したのは、あくまで実績作りのため。しかもそれすら、俺がやりたくてやったことじゃない」
ああ、そうなんだ。
悲しいより先に納得が来た。使い魔のおれは、いてもいなくても、どっちでもいいような存在だったんだな。
任せる仕事も、構う必要性も、なかったんだ……。
「……そっか。だからおれのこと、ほったらかしにしてたんだ?」
「それは違う」
「……ん?」
違うの?
どうでもいいお飾りの『使い魔』にすぎないから、放っておかれてたんじゃないの?
おれが思わず首を傾げると。
「……こちらの勝手な都合で喚び出したのに、お前に負担をかけたくなかったんだ。好きにさせてやりたかった。そのつもりだったんだが……」
そう言ってアッシュ様は、気まずそうに視線を落とす。
……あれぇ? なんか、思ってたのと違うぞ?
「メグム様、アッシュ様がお呼びでございます」
「……え?」
ご主人様が、おれに用事?
そんなの、お屋敷に来てから初めてのことだ。初日と昨日の夜以外、まともに顔を合わせてすらいなかったのに……って、どれだけ放置されてたんだよ、おれ。
「アッシュ様のお部屋にご案内しますね」
「あ、はい。よろしくです……」
(……あ。メイド服のまま出てきちゃったけど……)
また、何か言われちゃうかな。
……ええい、いいや。好きにしていいって言われてるもんね。いくらご主人様だからって、文句は言わせないよーだ。
アッシュ様の部屋に、足を踏み入れる。
机と、大きな本棚と……作業台みたいなものと……何に使うのかよく分からない器具がいろいろ。たぶん、魔術のお仕事で使うんだろうけど。自室っていうか、研究室みたいだ。
すると、机に向かっていたアッシュ様が、おれの方を振り返る。
「来たか」
「……はい……」
何を言われるんだろう、と身構えていると……アッシュ様は、すっと立ち上がって。
「改めて、昨日は助かった。礼を言う」
おれに向かって、軽く頭を下げた。
「……そして、すまなかった。お前に、あまり良くない態度を取っていただろう」
「!」
あ、自覚あったんだ……。
というか、意外と素直に謝ってくれるんだ。……これも偏見だけど。
ふう、とアッシュ様が息をつく。
「……俺は、使い魔の生成に乗り気ではなかったんだ。依り代となる肉体を作り、魂を降ろして、使い魔を作る……そしてそれを、パフォーマンスのように人々に見せる。それは何だか、生命を軽く扱っているような気がして」
「……まあ、確かに……」
動物園かサーカスかってくらいのギャラリーの量でしたもんね。それに、使い魔を『生み出す』とかじゃなくて『生成する』って表現にも、何か違和感あるし。アッシュ様としても、そういうところは気になるんだ。
「しかし、良質な使い魔を生成することは、魔術師としての腕前を示すことになる……らしい。そう何度も魔術連盟の奴に言われた末に、実行に踏み切ったんだが……」
……なるほどね。
その説明を聞いて、すとんと腑に落ちた。
「……やっぱりご主人様、『使い魔』が必要だとは思ってなかったんだね」
「っ、それは……」
困ることがないはずなのに、使い魔を召喚したのはどうしてか。……どうしてもこうしてもなかった。周りに勧められたのが理由で、そもそもアッシュ様の意思じゃなかったんだ。
おれの言葉に、返答を詰まらせるアッシュ様。でも、それは一瞬だけのことだった。
「……認めざるを得ないな。使い魔を生成したのは、あくまで実績作りのため。しかもそれすら、俺がやりたくてやったことじゃない」
ああ、そうなんだ。
悲しいより先に納得が来た。使い魔のおれは、いてもいなくても、どっちでもいいような存在だったんだな。
任せる仕事も、構う必要性も、なかったんだ……。
「……そっか。だからおれのこと、ほったらかしにしてたんだ?」
「それは違う」
「……ん?」
違うの?
どうでもいいお飾りの『使い魔』にすぎないから、放っておかれてたんじゃないの?
おれが思わず首を傾げると。
「……こちらの勝手な都合で喚び出したのに、お前に負担をかけたくなかったんだ。好きにさせてやりたかった。そのつもりだったんだが……」
そう言ってアッシュ様は、気まずそうに視線を落とす。
……あれぇ? なんか、思ってたのと違うぞ?
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