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第8章『最大都市アルディナ帝国』
第四十九話『注目』
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「ハルトさん。次はどこへ行くんですか?」
歩きながら問いかけてきたリヴィアに、ハルトは少し先を見据えて答えた。
「アルディナ帝国に行こうと思う」
「いいですね」
「冒険者ランクを上げたくてな」
その言葉に、ルドが感慨深そうに笑う。
「ハルトも、とうとうランク6かぁ」
「まだわからないけどな」
「いや、ハルトならなれると思うぜ」
ハルトは少し間を置いてから、続けた。
「それに、ルドのランクも上げたくてな」
「俺も、とうとうランク4かぁ」
「実力だけならランク5でもおかしくない。ただ、魔力量と状況に応じた錬金が、もう一段あればな。このままいけば来年にはランク5だ。まぁ少なくとも、もうランク3の実力は超えてる」
「リヴィアに追いつくのも時間の問題だな」
そう言われて、リヴィアは少し胸を張る。
「そのころには、私はランク6になってますよ」
ハルトは苦笑しながら首を振った。
「白魔導士はサポート役だから、冒険者ランクが上がりにくいし、評価もされにくい。実際、白魔導士が入ってるパーティーは少ない。軽い回復魔法なら誰でも使えるし、ポーションもあるからな」
「じゃあ、どうしたらいいんですか?」
「リヴィアは他の白魔導士より、使える術のレパートリーが多いし、魔力量も多い。正直、リヴィアがいなければ、俺はここまで強くなれてない。……まあ、いずれにしても、ランクにとらわれないことだ」
「……なんか、複雑です」
「戦闘は接近戦がハルト、遠距離は俺って感じだよな?」
ルドが軽く肩を回す。
「ああ。そうだな。それ以外のサポートは頼むぞ、リヴィア」
そう言われて、リヴィアは少し照れながら言った。
「もう……仕方ないですね。これからも、私についてきなさい!」
「なんでリヴィアがリーダーみたいになってんだよ」
そんなやり取りをしながら、三人は歩いていく。
舞台は、光の栄光と秩序の国――アルディナ帝国へと移る。
アルディナ帝国――ついにその広大な領土に足を踏み入れた。
高くそびえる城壁、石畳に反射する太陽、どこまでも続く街並み。その壮麗さに、思わず足が止まる。
街角からは商人や兵士の声が混ざり合い、帝国全体が呼吸しているかのようだった。威圧的な美しさと、その裏に潜む冷たい秩序の気配に、胸がわずかに高鳴る。
リヴィアは目を輝かせて言った。
「ここが世界最大の国、アルディナ帝国! 一度来てみたかったんですよねぇ」
「そうだな。でもまずはギルドだ」
ハルトは景色から視線を切り、現実に引き戻すように続ける。
「ここに来た理由はそれだろ」
ルドも頷き、地図を片手に道を探った。
石畳の広場を抜け、商店や人々の賑わいを横目に進んでいくと、街の中心に目的の建物が見えてくる。
威厳ある石造りの建物。その大きな扉には「冒険者ギルド」の文字が刻まれていた。
入口の前では冒険者たちが行き交い、軽く挨拶を交わしている。
街の喧騒とは少し異なる、落ち着いた活気。
ここが、数多の冒険者たちの拠点であり、情報と任務が集まる場所なのだ。
ハルトはひとつ深呼吸をして、扉に手をかけた。
「よし、行くぞ」
ルドとリヴィアも続き、三人はギルドの中へ足を踏み入れた。
中は想像以上の活気に満ちていた。広いホールにはさまざまな冒険者が集まり、武器の手入れをする者、次の依頼について話し合う者の姿がある。
掲示板には、新しい依頼書が隙間なく貼られていた。
三人はそのままカウンターへ向かう。
受付の女性は慣れた手つきで書類を整理しながら、ちらりと三人を見て軽く告げた。
「ランク5が二人と、ランク3が一人ね。まずは掲示板を確認して、気になる依頼を選ぶといいわ」
その言葉に、近くにいた冒険者たちの間でひそひそと声が交わされる。
「ランク5……? あんな若いやつが?」
空気が、わずかに変わった。
「いや、田舎のギルドだから算定が低いのかも……」
「それでもランク5だぞ」
「あんな小さな子供も連れてる」
「見慣れない武器を持っているな」
周囲のひそひそ声を背に、ハルトは静かに掲示板へ視線を向けていた。
アルディナで初めてのギルド。緊張と期待が入り混じる中でも、その表情は変わらない。
しばらくして、ハルトは一枚の依頼書に手を伸ばし、再び受付へ向かった。
「これにしよう」
指さしたのは、森の奥に潜む魔獣の討伐依頼。
危険度は高く、通常ならランク5でも慎重になる案件だった。
受付の女性は書類を置き、ゆっくりと顔を上げる。
「……これ、ランク5でも簡単な依頼じゃないわよ。油断すれば命に関わることもある」
その声は自然と周囲に届き、冒険者たちのざわめきが広がった。
「心配してくれてありがとうございます。大丈夫です」
あまりに落ち着いた返答に、受付は一瞬言葉を失い、結局は書類を手渡すしかなかった。
翌日。
報告に戻ってきた三人は、疲労らしい疲労も見せず、依頼を完璧に成功させていた。
「一晩でやり遂げたのか……」
「うそだろ……もう終わったのか?」
「ランク5で、あんなにあっさり……」
ギルド内には驚きの声が広がり、受付の女性も思わず苦笑いを浮かべる。
初めてのギルドで、しかも重めの依頼を軽々と成し遂げた三人。
その瞬間、周囲の見る目がはっきりと変わった。
それからも三人は、依頼を次々とこなしていった。
魔物討伐、護衛、探索。
どれも容易な仕事ではなかったが、互いに補い合い、安定して成果を出し続ける。
やがて、ギルド内では自然と噂が広がっていった。
「また、あの三人が依頼を終えたらしい」
「ランク5で、あそこまでやれるとはな」
以前なら埋もれていた存在は、いつしか冒険者たちの注目を集める存在へと変わっていた。
歩きながら問いかけてきたリヴィアに、ハルトは少し先を見据えて答えた。
「アルディナ帝国に行こうと思う」
「いいですね」
「冒険者ランクを上げたくてな」
その言葉に、ルドが感慨深そうに笑う。
「ハルトも、とうとうランク6かぁ」
「まだわからないけどな」
「いや、ハルトならなれると思うぜ」
ハルトは少し間を置いてから、続けた。
「それに、ルドのランクも上げたくてな」
「俺も、とうとうランク4かぁ」
「実力だけならランク5でもおかしくない。ただ、魔力量と状況に応じた錬金が、もう一段あればな。このままいけば来年にはランク5だ。まぁ少なくとも、もうランク3の実力は超えてる」
「リヴィアに追いつくのも時間の問題だな」
そう言われて、リヴィアは少し胸を張る。
「そのころには、私はランク6になってますよ」
ハルトは苦笑しながら首を振った。
「白魔導士はサポート役だから、冒険者ランクが上がりにくいし、評価もされにくい。実際、白魔導士が入ってるパーティーは少ない。軽い回復魔法なら誰でも使えるし、ポーションもあるからな」
「じゃあ、どうしたらいいんですか?」
「リヴィアは他の白魔導士より、使える術のレパートリーが多いし、魔力量も多い。正直、リヴィアがいなければ、俺はここまで強くなれてない。……まあ、いずれにしても、ランクにとらわれないことだ」
「……なんか、複雑です」
「戦闘は接近戦がハルト、遠距離は俺って感じだよな?」
ルドが軽く肩を回す。
「ああ。そうだな。それ以外のサポートは頼むぞ、リヴィア」
そう言われて、リヴィアは少し照れながら言った。
「もう……仕方ないですね。これからも、私についてきなさい!」
「なんでリヴィアがリーダーみたいになってんだよ」
そんなやり取りをしながら、三人は歩いていく。
舞台は、光の栄光と秩序の国――アルディナ帝国へと移る。
アルディナ帝国――ついにその広大な領土に足を踏み入れた。
高くそびえる城壁、石畳に反射する太陽、どこまでも続く街並み。その壮麗さに、思わず足が止まる。
街角からは商人や兵士の声が混ざり合い、帝国全体が呼吸しているかのようだった。威圧的な美しさと、その裏に潜む冷たい秩序の気配に、胸がわずかに高鳴る。
リヴィアは目を輝かせて言った。
「ここが世界最大の国、アルディナ帝国! 一度来てみたかったんですよねぇ」
「そうだな。でもまずはギルドだ」
ハルトは景色から視線を切り、現実に引き戻すように続ける。
「ここに来た理由はそれだろ」
ルドも頷き、地図を片手に道を探った。
石畳の広場を抜け、商店や人々の賑わいを横目に進んでいくと、街の中心に目的の建物が見えてくる。
威厳ある石造りの建物。その大きな扉には「冒険者ギルド」の文字が刻まれていた。
入口の前では冒険者たちが行き交い、軽く挨拶を交わしている。
街の喧騒とは少し異なる、落ち着いた活気。
ここが、数多の冒険者たちの拠点であり、情報と任務が集まる場所なのだ。
ハルトはひとつ深呼吸をして、扉に手をかけた。
「よし、行くぞ」
ルドとリヴィアも続き、三人はギルドの中へ足を踏み入れた。
中は想像以上の活気に満ちていた。広いホールにはさまざまな冒険者が集まり、武器の手入れをする者、次の依頼について話し合う者の姿がある。
掲示板には、新しい依頼書が隙間なく貼られていた。
三人はそのままカウンターへ向かう。
受付の女性は慣れた手つきで書類を整理しながら、ちらりと三人を見て軽く告げた。
「ランク5が二人と、ランク3が一人ね。まずは掲示板を確認して、気になる依頼を選ぶといいわ」
その言葉に、近くにいた冒険者たちの間でひそひそと声が交わされる。
「ランク5……? あんな若いやつが?」
空気が、わずかに変わった。
「いや、田舎のギルドだから算定が低いのかも……」
「それでもランク5だぞ」
「あんな小さな子供も連れてる」
「見慣れない武器を持っているな」
周囲のひそひそ声を背に、ハルトは静かに掲示板へ視線を向けていた。
アルディナで初めてのギルド。緊張と期待が入り混じる中でも、その表情は変わらない。
しばらくして、ハルトは一枚の依頼書に手を伸ばし、再び受付へ向かった。
「これにしよう」
指さしたのは、森の奥に潜む魔獣の討伐依頼。
危険度は高く、通常ならランク5でも慎重になる案件だった。
受付の女性は書類を置き、ゆっくりと顔を上げる。
「……これ、ランク5でも簡単な依頼じゃないわよ。油断すれば命に関わることもある」
その声は自然と周囲に届き、冒険者たちのざわめきが広がった。
「心配してくれてありがとうございます。大丈夫です」
あまりに落ち着いた返答に、受付は一瞬言葉を失い、結局は書類を手渡すしかなかった。
翌日。
報告に戻ってきた三人は、疲労らしい疲労も見せず、依頼を完璧に成功させていた。
「一晩でやり遂げたのか……」
「うそだろ……もう終わったのか?」
「ランク5で、あんなにあっさり……」
ギルド内には驚きの声が広がり、受付の女性も思わず苦笑いを浮かべる。
初めてのギルドで、しかも重めの依頼を軽々と成し遂げた三人。
その瞬間、周囲の見る目がはっきりと変わった。
それからも三人は、依頼を次々とこなしていった。
魔物討伐、護衛、探索。
どれも容易な仕事ではなかったが、互いに補い合い、安定して成果を出し続ける。
やがて、ギルド内では自然と噂が広がっていった。
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