放課後教室

Kokonuca.

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「…ごめんなさい…」 
「何したかわかってねぇんなら謝るな」 

 やはり溜め息を誤魔化すかのように煙を吐く。 
 風に流されていく煙を目で追いながら、気まずさにもじもじと座り直した。 

「…体は?」 
「へ!?」 
「体。なんとも無さそうだな」 

 横目で見てくる目が服の下まで見透かしそうな気がして、体を隠すように膝を抱えた。 

「はい。大丈夫…です」 
「そうか…」 

 歯切れ悪くそう言うと、司郎は床に煙草を擦り付ける。 

「…マジで覚えてねぇの?」 

 どこかすがるような表情をしている横顔に、なんと問いかけていいのかわからずに唇を引き結ぶ。 

「……」 
「…そっか」 
「何が…あったんですか?」 
「なぁーんもねぇよ。それで…その…あいつの事なんだが…」 

 びくっと葉人の背筋が伸びたのを見て、司郎は微かに眉尻を落とす。 

「あらためて、悪かったな。お前からあいつを引き離せたと思ってたんだが…」 
「…あのっ……誰だか教えてください」 
「あ?」 

 居心地悪そうにしていた司郎が、こちらを向いて眉をしかめる。 

「この学校の誰かが、フェネクスだと思うと……こ…怖くて……」 
「…」 
「オレの隣りを通った奴が、もしそうだったら?またっ…押さえつけられてっ…あ、あんな…っことばっかりされて…っ」 

 フェンスを叩きつける。 

「オレは…あいつが憎いっ…」 


 ぐっと司郎の手が葉人の顔を掴み、自分の方へと向けた。 

「ハナト。フェネクスは俺だ」 

 真顔の司郎にそう言われ、葉人はわけが分からずに首を振った。 



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