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豹変
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しおりを挟む「先輩」
再度名を呼ぶ葉人に、いらっとした口調で返事をする。
「んだよっ」
「してもいい?」
その無邪気とも取れる声音を、司郎はつい聞き流そうとした。
聞き流そうとして、失敗して飛び上がる。
「…………はぁっ!?」
急に動いた司郎に弾かれた手を再び伸ばし、葉人は目の下を赤く染め、何もないシートを見ながらモゴモゴと呟く。
「…いや…だって………辛いのは、良くわかるし…」
「おまっ…お前っ昨日の俺のドリョクをどうしたいんだ!?」
飛び上がった拍子にぶつけた頭を擦ってから、司郎は頭を抱え込んで呪いを吐くように呻いた。
「ぁあっ…もー…なんなんだよ…」
「…でも」
「でもじゃねぇだろ」
「だって…」
「ナニがだってなんだ!?」
葉人の視線が一瞬泳ぎ、司郎の腿に置いていた手をするりと動かした。
「ちょ…」
「…手……で、するだけだから」
「……」
「自分が、したい………から…」
ちらりと上目遣いで視線を寄越してすぐに伏せる。
「オレ、…なんの礼も出来ないし…」
「自分が、シたいからシたんだ。別に礼とかいらねぇよ」
葉人を強く押し退ける司郎の腕にするりと指を這わし、先程まで泣いていたとは思えない表情で軽く唇を突き出す。
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