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裏切り
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しおりを挟むぐるぐると思考の渦が回る頭の中を振り払うようにもう一度首を振ると、ぽとんと雫が落ちた。
「………先輩の家…どこ…」
ぐず…と鼻水も垂れ始める。
こんな深夜に訪れて、入れてもらえるとは思わなかったが、それでも何か話を聞いてもらいたかった。
「………」
携帯ディスプレイとアパートの側面の文字を見比べてほっと息を吐く。
郵便受けを見ると紙に『志方』と書かれて貼ってあるのが見えた。
迷い、アパートの外から司郎の家の辺りを伺う。
「……寝てる…よな」
辺りがしんと静まり返る、そんな時間帯。
「……………あ」
暗く黒色に沈む部屋の窓の中で一か所、明かりを灯す部屋が見える。位置から言って、司郎の部屋の可能性が高かった。
携帯電話を取り出して『起きてますか?』とメールを送ってみた。
『用か?』
ものの数秒で返信が返る。
その素早さを考えると、まだこの時間でも起きているようだった。
『来ちゃいました』
そう返した途端、深夜だと言うのにバタンっと大きな音を響かせながらアパートの戸が開く音が聞こえた。
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