放課後教室

Kokonuca.

文字の大きさ
260 / 349
二人

11

しおりを挟む



 かんかん…と階段をリズミカルに上がってくる音に、眠っていた葉人に意識は呼び戻された。 
 司郎かと思って体を起こすも、その足音は二重で… 

「なんだ…」 

 違う可能性の方が大きい事が分かり、葉人は再び目を瞑ろうとした。 
 けれどそれはガチャンと響いた扉の開く音で中断され、続いて聞こえてきた大袈裟な笑いによって完全に邪魔されることとなった。 


「おじゃましまーす!」 
「シロー?」 


 その声にどっと汗が噴き出す。 

 確かに聞き覚えのあるものだった。 

 あの時、あの体育倉庫で司郎と共に葉人を辱めた…その声だった。 

「あっ…」 

 逃げなくてはと咄嗟に思うも、アパートの二階から逃げる芸当が出来るほど身軽ではない。 


「おばさーん?」 
「あぁーいらっしゃい。司郎ならなんか音がしてたから部屋にいるんじゃなぁい?」 
「んじゃお邪魔しまっす」 

 年配の女性の気怠げな声と、司郎の部屋に進んでくる音がする。 
 窓を振り返るも飛び降りるしかなく、部屋の出入り口は向こう側に彼らのいる一か所だけだった。 

「シロー?返事しろよ」 

 パシンと開けられた扉を挟み、葉人は二人と目が合う。 

 一瞬の驚きの後、どう見てもだらしなく服を着たその二人は葉人に向かってにやりと笑って見せた。 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

娘さん、お父さんを僕にください。

槇村焔
BL
親父短編オムニバス。 色んな家族がいます 主に親父受け。 ※海月家※ 花蓮の父は、昔、後輩である男に襲われた 以来、人恐怖症になった父は会社を辞めて、小説家に転身する。 ようやく人恐怖症が治りかけたところで… 腹黒爽やか×気弱パパ

どうしてもお金が必要で高額バイトに飛びついたらとんでもないことになった話

ぽいぽい
BL
配信者×お金のない大学生。授業料を支払うために飛びついた高額バイトは配信のアシスタント。なんでそんなに高いのか違和感を感じつつも、稼げる配信者なんだろうと足を運んだ先で待っていたのは。

野球部のマネージャーの僕

守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。

大好きな兄ちゃんにアナニーをみせる弟!

ミクリ21
BL
お兄ちゃんにアナニーをみせる弟の話。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...