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二人
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しおりを挟むかんかん…と階段をリズミカルに上がってくる音に、眠っていた葉人に意識は呼び戻された。
司郎かと思って体を起こすも、その足音は二重で…
「なんだ…」
違う可能性の方が大きい事が分かり、葉人は再び目を瞑ろうとした。
けれどそれはガチャンと響いた扉の開く音で中断され、続いて聞こえてきた大袈裟な笑いによって完全に邪魔されることとなった。
「おじゃましまーす!」
「シロー?」
その声にどっと汗が噴き出す。
確かに聞き覚えのあるものだった。
あの時、あの体育倉庫で司郎と共に葉人を辱めた…その声だった。
「あっ…」
逃げなくてはと咄嗟に思うも、アパートの二階から逃げる芸当が出来るほど身軽ではない。
「おばさーん?」
「あぁーいらっしゃい。司郎ならなんか音がしてたから部屋にいるんじゃなぁい?」
「んじゃお邪魔しまっす」
年配の女性の気怠げな声と、司郎の部屋に進んでくる音がする。
窓を振り返るも飛び降りるしかなく、部屋の出入り口は向こう側に彼らのいる一か所だけだった。
「シロー?返事しろよ」
パシンと開けられた扉を挟み、葉人は二人と目が合う。
一瞬の驚きの後、どう見てもだらしなく服を着たその二人は葉人に向かってにやりと笑って見せた。
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