棘の鳥籠

Kokonuca.

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 そう怒ったふりして注意してはみたけれど、両手を使って数を数えている姿が面白くて、笑い声を上げて笑ってしまった。
 
 僕が笑ったのを見て、小林も笑ってくれる。

 元気な祖父母で休みを取るそれは、僕を笑わせたい為の嘘だったんだろうな。
 
「お腹空いてる?」
「 少し だけ」 

 時計を見るとそろそろ込み合うランチの時間だった。

「タイミング悪かったな」
「並ぶの平気派ですか?並ばずに食べたい派ですか?」

 並ぶ人数に変わってくるだろうけれど、少し待つくらいのは苦痛じゃない。

「探して、行列が少ないところなら待ってもいいかなってとこかな」

 意見が同じだったのが嬉しくて、はにかんでそうですよね と同意する。

「待ってる間、いろんな話できるだろ?」
「あっ   そうです、ね」

 横に並んで店の順番を待つ間、取り留めのない子供の頃の話や、祖父祖母の話なども話題に上がり、親族が多いらしくて誰が誰だか覚えきれていないと言うことまでしてくれた。

 相手のことを知ることができると、胸の辺りに温かいものが灯る気がする。

「三船は?」

 自分のことを尋ねかけられて、佐伯にこんな風に尋ねられたことがあったのか思い出そうとして失敗した。

 僕は、佐伯が妻子持ちで、唇の右端を歪めるような笑い方をして、熱くて……

 そう言った事しか知らなくて。


 それが、堪らなく寂しくて思えて……





 

 出張同行でホテルに着いた際に「話があります」と切り出した僕に、頷きながら同じく話しておくことがあると返された。

 部屋ではなく上階のバーででも話そうかと誘われ、落ち着かない気持ちで後ろについて行くけれど、『gender free』は地下にあるせいか、酒を飲みながら夜景が見れると言うのは新鮮だった。
 落ち着かなげに手を握ったり開いたりしたり、辺りをきょろきょろと見渡す行動はここに似つかわしくないとは思うも、止められない。

「少し落ち着け」

 頭をぽんぽんと叩かれ、幼い行動だったと反省してスツールに座り直した。 

「すみません……夜景、綺麗で   」

 横顔を盗み見てはきゅうと苦しくなった胸に、唇を噛む。

 胸が苦しくなるくらい、好きなんだ。
 こちらを見ない、冷たい横顔だけれど……

 けれど、好きな相手に無下に扱われる虚しさに、僕の心はもう耐えられそうにない。
 肉体関係だけでもと望んでいたけれど、満たされるのは一瞬で……

 目の前で交わされる家族の会話を聞く度に、苦しくて辛くて  もう、

 何度も胸の内で呟いた言葉を言うタイミングを計って、何度も繰り返し隣を窺う。

「   あ」

 夜景の光を受けて、盗み見た瞳がハシバミ色なのに気が付いた。
 吸い込まれそうになる色に、瞬きも忘れて見入る。



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