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花はいっぱい
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しおりを挟む『気持ちの整理ができるまで、あいつとは少し距離置いてさ』
六華の言葉を思い出して、しんどくて辛い気持ちがどっと押し寄せてきた。
「なんでもいいから開けてって、寒いし!」
「オレ!もう寝るところだから!寒いなら帰って!」
そう言い返した途端、喜蝶がはっと目を見開いた。
初めて見る表情は 驚いて?いるのかな?
そうか……オレがこうやって喜蝶の言うことに反抗するのが、珍しいからかもしれない。
「や 中入れてよ、今日の映画面白かったから話したいし」
「六華と観に行くからいいよ!」
窓から離れてカーテンを閉じる。
「薫?」
様子を見るも、気配はそのままだ。
「なぁ? 薫?」
コトン と小さな音がした。
「かおる ?」
少し舌足らずなような、小さい頃喜蝶がオレを呼んでいたような呼びかけ方。
懐かしさと、甘える呼び方に胸がきゅうっと苦しくなった。駆け寄って窓を開けるときっと、これ以上ないって程のいい笑顔がオレを見つめてくれるのを、わかっていて無視するのは罪悪感で潰れてしまいそうになるほどだった。
でも、少し距離を置いて……
そうしたら、しんどいと思わずに喜蝶の新しい恋を祝ってあげられそうな、傍にいても苦しまなくても済むようになれそうな気がして。
「おやすみ!」
そう言って部屋の電気を落とした。
見上げる窓のカーテンに、外からの明かりで喜蝶のものらしき影が写っていたけれど、息を潜めて何も答えずにいたら諦めたのか、自分の部屋の方に向きを変える影が見えた。
今からでも声をかければ と、思わなかったわけではないけど……でも、ほっとしている自分がいるのも確かだった。
門扉の前に立つ喜蝶の後ろ姿を見た瞬間、心臓が跳ねた。
「あ、やっと出てきた」
「 おはよう、どうしたの?」
ぎゅっと胸を押さえて、努めて平静なフリをして言うけれど、喜蝶に見下ろされるとそわそわと落ち着かなかった。
「昨日、せっかく映画の話しようと 」
「ごめん!六華を待たせてるから!」
脇を擦り抜けて駆け出そうとしたオレの腕を掴んで、有無を言わせず自分の方を向かせると、不機嫌を隠そうともしない顔が見えた。
「俺なんか怒らせた?道は同じなんだから一緒に行けばいいだろ?」
怒らせた のとは違うから、小さく首を振る。
「喜蝶は彼女と行けばいいだろ?」
「学校違うから途中までだし、つまんないだろー?だから今日は薫と行く」
ニコニコっと笑って覗き込まれると、それだけで誤魔化されてしまいそうで……
「でも、六華と約束してるから」
ぐっと力を入れて振り払おうとするけれど、うまくいかない。
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