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しおりを挟む「ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
その声は小さな子供が駄々をこねるそれだ。
離れて行って欲しくなくて上げる そんな声。
「あっ っ!足、が 」
体がガクンと揺れて左足だけが置いてきぼりになる、引っ張られて、動けなくて、でも何がオレの足を掴んでいるのか怖くて見ることができなくて……
「 っこいつ!はるひを 」
「や゛ぁ゛ぁ゛ ──── これ゛、ごレ゛ ぃ゛ぃ゛い゛」
耳を塞いで消えるような音量ではなくて。
破鐘のように不愉快にわんわんと頭蓋の中に響く声に、顔を顰めてヒロをぎゅっと抱き締めた。
「く そぉぉぉぉぉっ!」
怒声と共に空気を裂く重い音、それから言葉とは思えないような雷鳴に近い悲鳴が響いて、心臓が痛いほど縮み上がる。
「あ、 ぁ、な、なに 」
「はるひっ!」
体がぐっと持ち上がる。
オレとヒロの二人分は重いだろうに、それを感じさせない動きで抱え上げると、あの長剣を片手で操ってまた振り下ろした。
「 ぃ゛い゛ぃ゛い゛っ」
「 ────っ」
はっとクラドが息を飲む気配がして、オレを抱える腕にぎゅっと力が籠る。
「な゛ん゛でぇぇぇ゛ え゛ なん゛で切 る゛の き、る゛の゛ぉ゛ 」
怖気に息が止まりそうになり、喉の奥から「ひぃ」と掠れた息が漏れて体中に震えが襲う。
「 閣下っ!下がって!」
ふ と傍らを駆け抜けた影が叫ぶと共に、微かに火の匂いと鼻に残る物の燃える匂いがして、黒い雲と黒い木々に囲まれていた空間がさっと真昼のように明るくなった。
一瞬白に塗りつぶされてしまった視界の中に、以前は毎日のように見ていた王宮の騎士達のマントが翻る。
「遅くなって申し訳ありません」
「 っ やっと追いついたか」
そう呻くように言うクラドの腕の力が抜けて、オレを傍らに来た誰かに預けて離れて行く。
「クラド様っ!どこ 」
光に目を焼かれてうまく見えないオレを支えながら、騎士は恭しく頭を下げた。
「はるひ様ですね、しばしお待ちください。今、アレを片付けてしまいますので」
そう言うと「危険ですので」と騎士はオレを促して距離を取ったようだった。
その間にも、背後で火の燃え上がる音と破裂音がして……肌を嬲るような火の熱さが巻き起こる。何が起きたのか、何をしているのかを見ることができずに不安に思うオレに気付いたのか、傍らの騎士は「火で焼いています」と簡潔に答えてくれる。
「焼 く ?」
明らかに人とは違う形をしていたけれど、それでもその形は人の者に近くて、それを焼いていると言われてぞっと血の気の下がる気分になった。
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