ちょっと魔王になって人類救ってくる

DetaRan

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たまにはシリアスに

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魔法の練習をしていたらいつの間にか夕方になっていた。
 結果は、俺の魔法は煙幕くらいしか使えないゴミみたいな成果だった。

「……魔方、使えませんでしたねーー」

「ああ」

「お、落ち込まないでくださいよ!きっと他の魔法適正がありますって!」

「……だといいんだがなーー」

 俺は城に買える道中でドロシーに慰められていた。彼女にめちゃめちゃ気を使わせているよーー
 でも落ち込むのもしょーがないだろこれ!あれか?魔王は己の肉体で戦闘を語れってか?なんだそりゃ?!

 自分でも何を言っているかわからなくなっていたときドロシーが急に改まった感じで俺を見てくる。

「?ドロシー、どうかしたか?」

「あ、いえその……魔王様が言ったあの事って本当のことなのかなーって」  

「あーあれか?『人間は殺さない』って話か?」

 そのことか、それは城で話し合っていたときにさかのぼる。





「魔王様!?帝都に行くとはどう言ったお考えなんですか!?」

ボギーがまるで俺のことを正気じゃないという目で見てくる。

「そうだ、まして明日行くなどと、いくら時間がないとはいえ急すぎであろう!」

 カルベルも心配そうに見てくる。
 俺は軽く笑って言った。

「まあ確かに少し早いかもな。だけど、何も戦闘しに行くわけじゃないんだぜ?」

 二人とも困惑している。だったら何しに行くんだ、という顔をしている。

「皆には言っていなかったが、俺は人間を殺しちゃいけないんだ。まあ、その……争いごとが嫌いなんだ。俺は絶対、人間も魔族も仲良く楽しく生活が当たり前になることが夢だ。まだここに来て全然日が経ってなくてこんなこと言うのは変かもしれないが本当のことだ」

 別に嘘をついたわけじゃない。ゲームでもどうして人間と魔族は分かり合えないのかと本気で思っていた。
 自分が死んだことがあるからこそ、生きることの素晴らしさを伝えたいと思った。

「そこで俺は殺さないで人間を味方にする方法を考えた!」

「……と、言いますと?」

 なに、そう難しくはない。かつて武士の頃の秀吉がやったようにするだけだ。

「今の帝都は勇者と国とでわだかまりができているのは知っているな?つまり、」

「金目のもので不満がある勇者を釣り上げるってことですね!!!」

「…………そ、そうだドロシー、よ、よく分かったな」

 こいつ人の決め所を盗みやがって!!
 ガブリエルがまた隠れて笑っている。なんかムカつくな。

「まあ、金目のものじゃなくて魔界に来たら、待遇がすごい良いぞってことをアピールするわけだ」

「……それにはいろいろ問題がありすぎだ」

 カルベルが口を挟む。
 まあなんとなくいいたことはわかるけどさ……

「まず、勇者は本当に我々に味方するのか?勇者とてバカじゃない。そんな甘い誘惑に食いついてくるとは思えない。もし、食いついても、我々の生活を脅かしかねないんだぞ!……そんな理想は捨てたほうがいい」

 まさに正論だ。勇者を魔界に呼んだところで、リターンは少ないし、リスクしかないと言いたいんだろう。だがそれは……

「じゃあなんで俺たち魔族と人間は争っていたんだ?俺たちが仕掛けたのか?」

「違う!!!!」

カルベルは机を思いっきり叩いて反論した。

「おい、少し冷静になれ、カルベル殿」

「ボギー……すまない。私から戦争のことを伝えよう」


 カルベルが重要なところを簡潔に話してくれた。
 先に仕掛けたのは人類、元々違う世界に生きていた魔族たちは、急な襲撃に驚いた。
 争う気が無かった魔族たちは次々討伐されて領地を奪われていった。そのうちジリ貧のなって、領地を根こそぎ奪われて戦争は終わった。
 話を聞くに人類の勝手な戦争で追い詰められてしまったということか。

「なるほど、まあ大体予想通りだな」

「なっ!?今日初めて来た魔王殿がこんなこと分かってたまるか!!」

「分かるよ、だってお前ら皆優しいじゃん」

 今日、まだ1日も立っていないけどこれだけは分かった。こいつらは戦争をするようなやつじゃない。

「雰囲気で分かるよ。だってここすっごいあったかいんだよ。助け合って生きているのがわかる。そんな奴らが自分から戦争を仕掛けるなんて思うわけないだろ」

 だけど人間、俺たちは違う。

「人間がなんで魔族に戦争を仕掛けたのかまだわからないが、目星はついている。そして、それがまた今回の戦争の理由になると思う」

「……魔王殿は魔界のことをよく考えていたんだな。すまない!命を持って償おう!!」

 カルベルはそう言うと腰にぶら下がっていた刀を抜いて首元にってちょっっちょっまてー!!!

「待て待て早まるなバカやろう!!!俺は気にしてないから、ね?てかお前に死んでもらったら困るんだよ!!!」

「ほ、本当ですか?私は許されてもいいんでしょうか……」

「ああ許す許す、だからこんなこと次からやらないでくれよ」

 そう言って刀を納刀してもらった。
 ふぅ、マジで焦ったぜーー

「話は戻るが明日のことだが、明日は偵察がてらの観光だ。運が良ければ誰かを勧誘って感じだ」

「グスッ、で、では明日は私も同行しよう」

「そうだな、明日はとりあえずドロシーとカルベルと俺の3人で行ってみる。分かったかー!!?」

「了解!!」





 「魔王様は本気で『人間を殺さない』で世界統一出来ると思っているんですか?」

「無理だな」

「え?」

「俺たちからは戦わない。でも、相手は間違いなく仕掛けてくる。なるべく殺さないようにはしたいが0は無理だろう。……やっぱ不満か?」

 流石にそこまで縛ると無理ゲーにも程がある。自己防衛は認められるだろうと信じたい。

「いえ、それだけ聞けたら満足です!!」

「そうか?……なんか他に話したいことがあるんじゃないか?」

 そう言うとドロシーは少し考えているようだ。
 そしてゆっくりと口を開いた。

「いつか……いつか、話しますね」

 俺は「そうか」とだけ言った。ここで気の利いた言葉が言えないのはまだまだだな……

「……さ!魔王様!帰りましょう!私もうお腹が空きすぎて死にそうです!」

「そういやそうだな。考えたら昼からなんも食ってないんだった!」

「じゃ!私につかまってください!テレポートしますよーーー!!」



 俺は魔女も魔王も人もお腹は空くもんだと思いながら、訓練場を後にした。
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