転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

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第一章

最期の願い④

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「エアネストよ、何時までふざけておるのじゃ。はよう紗代に加護を与えよ」

「えぇぇ…。わたくしはいつも真剣なのにぃ~。
ゴッホンッ、では紗代さん。私の元へ」

エアネスト様、『エアちゃん』または『エアたん』呼びは本気マジだったんだ…。
エアネスト様に呼ばれ、近くまで寄ると、エアネスト様が立ち上がり

「では紗代さん。私の手を取ってください」

と両手を差し出して来る。わたしがソッと両手を握ると、また温かい力の様な物が体の中に巡るのを感じた。

「はい、紗代さん。これでもう大丈夫ですよ。お疲れ様でした」

エアネスト様が美しく微笑んだ。
わたしはエアネスト様の思わぬ笑みに赤面しながら、

「ありがとうございます。エアネスト様」

と感謝の気持ち伝えた。

「さて、紗代や。これでそれぞれの加護は与えられた。
今後の方針も決まったが、後は何か思い残す事はないかえ?」

天照ちゃんの問いかけに、わたし自身の体の事、残される家族の事を思い浮かべる。

「あの…、天照ちゃん。わたしの体って今はどうなっているかな??あのまま会社に放置されて、誰かに見つかると流石に不味いような…」

そう、わたしの体は縦半分に真っ二つに割れたとエアネスト様が言っていた。そんなスプラッタな遺体を発見してしまうのはトラウマ級の大惨事だ。
それに、できれば体だけでも家族の元へ帰りたい。

「紗代、遺体の事は心配するな。ちゃんと俺達が保管している」

「そうだよ紗代ちゃん。遺体は天照大御神様の協力の元、荼毘だびに伏して遺骨を紗代ちゃん家族へ帰すからね」

いつきちゃんみつきちゃんの言葉にわたしは安堵した。
よかったぁ…。ちゃんと家族の元へ帰れるんだね。

「天照ちゃん、わたしは死んでしまったけど、急に居なくなるのは不味いよね…。どうしたらいいんだろう…」

「そうじゃな。紗代はどうしたいか希望はあるかえ?」

わたしの希望…。
天照ちゃんの言葉に、わたしは真剣に考える。
あんなブラックな会社は別にどうなってもいいけど、お互いに励ましあい仕事をして来た仲のいい社員さんだって居る。その社員さんには家族も居た。
だから、突然の行方不明というは不味い。
会社に変な噂がたっても困る。
それに、家族だって、わたしが行方不明なんて困るよね。田舎は噂が広まるのがおそろしく早いし。
そうすると、わたしが突然居なくなっても大丈夫な理由が必要になる。
そうなると…

「天照ちゃん。あのね…例えばだけど、わたしが急に海外赴任したっていう事にするのは可能かな??
わたしの勤めていた会社は海外にも支店があるから、上司の指示で急に海外赴任して永住したっていう事にすれば問題ないかなって。
そしたら、家族だって海外赴任しているから帰って来ないんだって理由ができるし」

天照ちゃんは少し考え込んだ後、

「良かろう。では、紗代の希望どおりに関わり合いのあった者の記憶を操作しよう。地球の神もそれで問題ないと言っておるしの」

そっか、地球の神様にも許可がいただけたんだね。ありがたい。
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