転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉

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第三章

夜更けの密談③

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〈父:フリッツィSide〉



【さて、デットリックよ。其方は聖神国の内情はどこまで理解している?】

「内情ですか?確か聖神国が崇めていた神は邪神であって、その邪神の力を利用し、もともと腐敗していた聖神国と神殿内部が更に腐敗したと。
また、聖神国は邪神の力を利用するために、多くの無辜の民の命を犠牲にしていたとか…。
そしてその悪行を魔導国に全て押し付け、聖神国と魔導国の二国間で戦争になりかけた。
そんな最中、邪神はこの世界の創造神様に封印されたと聞き及んでおります」

陛下はシロガネ殿の目を見つめ、聖神国の内情を話す。

【うむ。その理解で正しい。
では、其方の言う、邪神の力と無辜の民とは何を指すと思う?】

「邪神の力が何を指すのかはわかりかねますが、聖神国の民、またエルフや亜人種といった魔力が多い、特に子どもの命が犠牲になったと…」

チラリと陛下がこちらに視線を向けてくる。
今のところ、陛下がシロガネ殿の質問に対して答えている内容は間違っていない。

【無辜の民は正解だ。
そして邪神の力とは、反魂の秘術。死者の復活及び余命の延長だ】

「まさか…。ありえない…」

【ああ、本来ならありえない。
地上に住まう全ての者には寿命がある。だが、邪神オアマンドはそれを無理矢理捻じ曲げた。
一回の秘術に数十人の子ども達の命と魔力を引き換えに、寿命がほんの数年延びるというものにな。
それを聖神国の者どもは“神の奇跡”だとのたまい、多くの民から金と命を巻き上げた。
わかるか?たった一回の儀式で、数十人の何の罪もない子どもの命が失われていくんだぞ?それをあいつらは笑いながら行うんだっ!!!!】

そう言いながら、シロガネ殿の瞳孔は縦に細くなり、グルグルと唸りながら、歯をギリリと噛み締める。

「くっ…白虎様…」

シロガネ殿の全身から滲み出る、怒りの波動により呼吸が苦しくなる。

【すまない。余りの怒りと悲しみのせいで、其方達を苦しめてしまったな…】

シロガネ殿はこの世界を見守る四聖獣の一体だ。その怒りと悲しみは計り知れない。

「いえ…。大丈夫です。それよりも白虎様、今お聞かせくださった話と、明後日のお披露目の儀式に何の繋がりが?」

【デットリックよ。其方は先程、邪神オアマンドは封印されたと言ったな?】

「ええ。その様に聞き及んでおります」

陛下の向けて来る視線に『そのとおりだ』という意味を込め頷く。

【邪神オアマンドが居なくなって、甘い汁が吸えなくなった聖神国とその神殿は次に何を考えると思う?】

顎に手を当て、シロガネ殿の質問の答えを真剣に考えていた陛下がハッと顔を上げる。

「……復活??」

【では、邪神の復活には何が必要になると思う?】

「まさか……まさかこの国の無辜の民の命なのかっ!?!?」

【そうだ。邪神の好物は『怒り』『憎しみ』『悲しみ』と言った負の感情、そして命と魔力。そして最後に最も深い負の感情『絶望』だ】

「命と魔力…。子ども??
まさか…お披露目の儀式を狙っているのかっ!?!?」

陛下がソファーから立ち上がり、こちらを見つめてくる。

「答えよ、フリッツィっ!!お披露目なのだな…っ!!」

「陛下。お答えしますので、ソファーにおかけになってください。そしてどうか一度深呼吸を」

「…あぁ。すまない。取り乱した」

陛下はソファーの背もたれに体を預け、深く深呼吸した。

「もう大丈夫だ。フリッツィ、どう言う事が詳しく話せ」

「かしこまりました」

さぁ、ここからが本番だ。


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