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第2章
朝のご挨拶はこうなんですか?
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あの迷子入学から少し時間が過ぎた。
探偵となる為に資格試験対策や授業をこなし、少し学園の雰囲気にも慣れた1週間。
私の当初の目的である『死』の告知まであと3日となり、焦る私だったが、主人公ヒロインのルルちゃんを遠くから見つけることが出来たのは幸いだった。
え、なんで遠くからかって?
…………だって、美少女を間近で観ようなんて誰ができるの?
あのサラサラとした栗毛のショートカットボブ。
うるうるとした少しツリ目のピンクの瞳と愛らしい唇。
すらっとした手足……。
いやもう、女子が欲しいものを持ってるってだけで目眩がしたのは言うまでもない。
「ルルちゃん可愛かったな……」
朝食のパンを齧りながら呟くと、ソファーで新聞を読んでいたお兄様こと秋人お兄ちゃんがあっ、と声を上げた。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「お前今日は傘もっていきんしゃい。なんか風が強う吹いとるからな」
「え~?でもこんなに日が差してるよ?」
食卓からよく見える大きな窓からは雲ひとつない青空が見えていた。
「ええから持っていきんしゃい!これはお兄ちゃん命令や!」
ビシッと決められると残念イケメンに見えない所がすごい。
仕方なくお兄ちゃん命令を聞き、朝食後に折りたたみ傘をカバンに突っ込み、玄関先で振り返る。
「ではお兄ちゃん、今日は頑張って『自分で』行くし帰るからね!」
敬礼付きで挨拶するとさっき迄のイケメンは何処へやら、眉が下がり出した。
「……やっぱり大丈夫か?兄ちゃんいつも通り送るし迎えに行くのだって苦じゃないんだぞ?」
「私、もう高校生だよ?お兄ちゃんだって大学あるんだからね。昨日も言ったけど、お兄ちゃんに成長した姿を観てもらいたいから頑張るんだよ!」
「ゆ、雪ぃぃぃぃ!分かった!兄ちゃんも頑張るからな!何かあったら連絡するんじゃぞ!ソッコーで行くから!」
「うん。ありがとう!では行ってきます」
お兄ちゃんのイケメンスマイルを背に扉を閉めて歩き出す。
そうそう、自分でも忘れていたのだが、私は病弱体質設定のお嬢さん。
あの入学から熱が出るわ、何も無いところで転ぶわで保健室直行コースだ。
なので、入学初日からまともに一人で『登校から帰宅まで』っていう流れをしてない事に気がついたのだよ。
もう高校生だし……いや元は成人済みだけど、いつまでもお兄ちゃん頼りにはしておけないからね!
ルンルンで私は豪華でスウィートなマンションを後にし推したちが待つ学園に向かった。
──しかし、いくらなんでも元ヒッキー。
なぜに通常時間で来るかね私……?
浮かれて時間見てなくて余裕ぶっこいて『少し遠回り~♪』なんて鼻歌歌ってたのは誰だよ?!
私だよ!
結局、迷子さんになって息が切れる頃にやっと玄関口に着いたのだが、何故か人口密度が凄い。
「あ、佐倉さんおはよう!」
「え、あはい……?」
え、急に何?!てか誰だよ?!
「うっしゃー!お返事もらったァァァ!」
「ズリぃぞお前!佐倉さんおはようございます!」
「……おはよう、ございます……」
「あ、佐倉さんおはよう!」
うわっ……次は可愛い子からのご挨拶っ?!
「う、うんおはよう?」
なんかよくわからんが私に沢山の人が挨拶をしてくる。
え、何この漫画みたいなのは……?
え、佐倉さんビビっちゃうよ……?
昨日まではごくごくふつーに、皆よりも先に来て帰りはまぁお兄ちゃんと一緒に帰ってた……だけだよね?
これはやばい……。
何がやばいって何でか凄い注目されているっ!
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
こんな経験今まで無いのよ?
……ハッまさか、私今日のパンのジャムまだ口についてるとか?リボン曲がってるとか?寝癖があるとか?
いやいやいや!全部お兄ちゃんが見てくれたから大丈夫よ!うんお兄ちゃん信じるからね!
しかし怖ぇ……何があったの私に!?
「よっ佐倉、おはようさん!」
そんな中救いの手が私の肩を叩いた。
「お、おはようございます、佐倉さん……」
「お、おはようございます……!」
振り返ると二階堂くんと九条君のダフルイケメンが居た。
あれ、天使と羽が見える……。
「なんや騒がしいなぁと思っとったが、お前さんやったか~!ほな行こか~」
「そう、ですね。早くしないと、HR始まっちゃいます、から!」
「は、はい!」
私は急かされるまま靴箱を後にし教室へ向かった。
その後、あの人ごみの理由をお二人に聞いてみたが何故か可哀想なものを見る目で濁されました。
まぁとりあえず、これからは寄り道せずに覚えた道だけを通らないと行けませんって事を佐倉さんは学びましたよ!
探偵となる為に資格試験対策や授業をこなし、少し学園の雰囲気にも慣れた1週間。
私の当初の目的である『死』の告知まであと3日となり、焦る私だったが、主人公ヒロインのルルちゃんを遠くから見つけることが出来たのは幸いだった。
え、なんで遠くからかって?
…………だって、美少女を間近で観ようなんて誰ができるの?
あのサラサラとした栗毛のショートカットボブ。
うるうるとした少しツリ目のピンクの瞳と愛らしい唇。
すらっとした手足……。
いやもう、女子が欲しいものを持ってるってだけで目眩がしたのは言うまでもない。
「ルルちゃん可愛かったな……」
朝食のパンを齧りながら呟くと、ソファーで新聞を読んでいたお兄様こと秋人お兄ちゃんがあっ、と声を上げた。
「どうしたのお兄ちゃん?」
「お前今日は傘もっていきんしゃい。なんか風が強う吹いとるからな」
「え~?でもこんなに日が差してるよ?」
食卓からよく見える大きな窓からは雲ひとつない青空が見えていた。
「ええから持っていきんしゃい!これはお兄ちゃん命令や!」
ビシッと決められると残念イケメンに見えない所がすごい。
仕方なくお兄ちゃん命令を聞き、朝食後に折りたたみ傘をカバンに突っ込み、玄関先で振り返る。
「ではお兄ちゃん、今日は頑張って『自分で』行くし帰るからね!」
敬礼付きで挨拶するとさっき迄のイケメンは何処へやら、眉が下がり出した。
「……やっぱり大丈夫か?兄ちゃんいつも通り送るし迎えに行くのだって苦じゃないんだぞ?」
「私、もう高校生だよ?お兄ちゃんだって大学あるんだからね。昨日も言ったけど、お兄ちゃんに成長した姿を観てもらいたいから頑張るんだよ!」
「ゆ、雪ぃぃぃぃ!分かった!兄ちゃんも頑張るからな!何かあったら連絡するんじゃぞ!ソッコーで行くから!」
「うん。ありがとう!では行ってきます」
お兄ちゃんのイケメンスマイルを背に扉を閉めて歩き出す。
そうそう、自分でも忘れていたのだが、私は病弱体質設定のお嬢さん。
あの入学から熱が出るわ、何も無いところで転ぶわで保健室直行コースだ。
なので、入学初日からまともに一人で『登校から帰宅まで』っていう流れをしてない事に気がついたのだよ。
もう高校生だし……いや元は成人済みだけど、いつまでもお兄ちゃん頼りにはしておけないからね!
ルンルンで私は豪華でスウィートなマンションを後にし推したちが待つ学園に向かった。
──しかし、いくらなんでも元ヒッキー。
なぜに通常時間で来るかね私……?
浮かれて時間見てなくて余裕ぶっこいて『少し遠回り~♪』なんて鼻歌歌ってたのは誰だよ?!
私だよ!
結局、迷子さんになって息が切れる頃にやっと玄関口に着いたのだが、何故か人口密度が凄い。
「あ、佐倉さんおはよう!」
「え、あはい……?」
え、急に何?!てか誰だよ?!
「うっしゃー!お返事もらったァァァ!」
「ズリぃぞお前!佐倉さんおはようございます!」
「……おはよう、ございます……」
「あ、佐倉さんおはよう!」
うわっ……次は可愛い子からのご挨拶っ?!
「う、うんおはよう?」
なんかよくわからんが私に沢山の人が挨拶をしてくる。
え、何この漫画みたいなのは……?
え、佐倉さんビビっちゃうよ……?
昨日まではごくごくふつーに、皆よりも先に来て帰りはまぁお兄ちゃんと一緒に帰ってた……だけだよね?
これはやばい……。
何がやばいって何でか凄い注目されているっ!
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
こんな経験今まで無いのよ?
……ハッまさか、私今日のパンのジャムまだ口についてるとか?リボン曲がってるとか?寝癖があるとか?
いやいやいや!全部お兄ちゃんが見てくれたから大丈夫よ!うんお兄ちゃん信じるからね!
しかし怖ぇ……何があったの私に!?
「よっ佐倉、おはようさん!」
そんな中救いの手が私の肩を叩いた。
「お、おはようございます、佐倉さん……」
「お、おはようございます……!」
振り返ると二階堂くんと九条君のダフルイケメンが居た。
あれ、天使と羽が見える……。
「なんや騒がしいなぁと思っとったが、お前さんやったか~!ほな行こか~」
「そう、ですね。早くしないと、HR始まっちゃいます、から!」
「は、はい!」
私は急かされるまま靴箱を後にし教室へ向かった。
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