13 / 15
第2章
心は雨模様、乙女は純情なり
しおりを挟む
今朝の騒ぎも授業で忘れかけた頃、昼近くになり晴れていた空は次第に曇ってきていた。
「お兄ちゃん凄い……」
確かにこれは一雨来そうだな。
兄よエスパーかよ?
あちこちで「傘もってきた?」「あ、俺もってるぜ」などの声がチラホラ聞こえてきた。
「おーい佐倉、はよ学食に行こうや?」
あの入学式以来、虚弱体質設定で確実に私はぼっち学園生活になるはずだったのだが、限りある時間を使って学友とまで呼べる程お昼を食べる仲まで進展した史也君と凛君。
勿論とわたしは笑顔で頷き一緒に学食に向かう。
やっぱり友達というのは良いですな……。
前世のオタク友達の事はやっぱり気になるが、今は私の死をかけた人生。
攻略者と一緒にいないと把握しきれない時もあるしね!
べ、別に、私が天使とご飯食べたい訳じゃないからね!
「何をブツブツ言っているんですか?佐倉さんの席無くなっちゃいますよ?」
最初はあんなにトゲトゲだった凛君もお友達ステータス上げたおかげなのか、名前呼びになる程親しくなったと思うんだよ!
「あ、はい!行きましょう!」
食堂はそこそこ席が埋まっていたが、2人はパパっと注文して戻ってくると窓際に向かって歩き出す。
まぁまだ分岐点まであと3日あるわけだし、今ぐらいは夢を見させて欲しい……。
せめて死ぬとなった時用の思い出は欲しいからね!
お兄ちゃん特性の二段弁当を手に2人のあとを歩く。
「あ、文也くんあそこの席空いてますよ」
つんつんと史也君の袖を引っ張る凛君。
……え、何その仕草、可愛いわぁ。
「佐倉さんは……こっち」
浮かれていると、テーブル席なのだが、何故か2人と向き合う形で座るハメに。
んん?何故……?
え、私もお隣がいいよ?!
ズルくない?お友達でしょ?!
「……あのりり、凛君……?」
「はい?」
返事しつつもしっかりうどんを頬張る九条君。
彼の好物は確かきつねうどんだったな…….。
ふと彼を見た瞬間に脳内記憶の攻略本設定を思い出した私。
「な、なんでもないよ!今日はきつねうどんにしたんだなぁって思ったんだ!」
「今日は、じゃなくて今日『も』やけどな?」
「むぅ……良いじゃないですか、僕の昼食ですから」
「別に悪くはないけどな、口端にネギついてんで~。ガキかいな~」
「が、ガキじゃないですよ!史也くん煩いです!」
「まぁまぁそう怒らんと~」
ケラケラと笑いながら凛君にティッシュを渡してあげる史也君。
·····やっぱり私この席で満足です。
「ここ空いてる?」
そんな光景を拝んでいるとスっと隣に誰かが座った。
·····え、何気なく溶け込む君は一体?
「おお!なんや、誰かと思ったら音羽かいな!珍しいなお前が学食なんて」
「んん?ふみふぁふん、どムグ·····ムグ·····なたですか?」
凛君が私の隣へと視線を向ける。
「せや、紹介しとらんかったな。こいつは音羽 翼や。この間友達になってん!面白いヤツやで!」
「どーも。二階堂の紹介もどうかと思うけど、まぁよろしく」
「そーゆー所が面白いと思うんやけどな~。九条も佐倉も仲良うしたってな!」
「史也君のお友達でしたか。宜しく御願いします。九条凛といいます」
「ん、宜しく」
目の前で和気あいあいと談笑する美少年たち。
え、待て待て待って。
今私の横にどなたがいらっしゃると?
壊れかけた歯車のようにギギギと横に顔を向けると、そこにはまぁ、なんていうことでしょう!
間近で見てもサラッサラの黒髪、少し眠そうだけれどキリッとした目元に黒縁メガネが似合い、薄い唇や色白肌には色気すら感じる………!
そう!
あの、世(前世から)のおねー様方からの超絶人気であり私の推しでもあったあの『音羽 翼』君ですか!
「おぉぉぉぉお…音羽君……?」
やばす、声が裏返る。
「なんや佐倉は知っとったんか~。まぁ、大抵の女子はイケメンの把握はしとるからなぁー分からんでもない」
1人納得している史也殿。
いや1ミリもかすっては無いが遠からず、只々今の状況が分からない。
「えーっと、アンタは?」
「あ、はい!佐倉 雪です!音羽君こんにちは!」
よし、自己紹介ちゃんとできた!
でも、心臓がバクバク音を立ててるから声ふるえてないかな……?
「ん、こんにちは。よろしく佐倉さん」
幾度となく聴いてきた音羽君の生声が、今再生された‼
オタクでよかった瞬間ですよ!
ありがとう神様、今死んでも恨まないよ!
といいますが、推しとご飯を食べているというシチュをやっっと理解出来たからなのか、現在進行形でお箸折れそう。頬がプルプル震える。
兄お手製のお弁当の味がしなくなった。
え、もうこれで栄養過多で心臓破裂と言う名の病名で死ぬんじゃない?
まだ本編にも入ってないのに?
でも、それはそれでいいかも……。
「──というのを食堂のおばちゃんから聞いたんや」
「ふーん、確かにそれ気になるね」
「ですね。僕も気になります…。佐倉さんはどう思いますか?」
「え、あ、うん!私もそうだと思うよ?!」
いけない…音羽君のお隣が嬉しすぎて、ぜんぜっん聞いてなかった。
「よし、なら善は急げや!明後日の放課後食堂前に集合やな!」
「了解」
「わかりました!食堂のおばちゃんたちのためにも、早期解決しましょう」
「う、うん…」
そして満場一致という事で話は進み、昼休み終了を告げるのチャイムと共に一同は解散となった。
私は惜しみながらも音羽君と別れつつ史也君達の後をついて歩いてく。
それにしてもさっきの食堂の話があがってたよね…。
どこかで聞いたことがある内容だったような?
「そや、佐倉次の課題はなんやったか?」
「え?あーっと、次は英語だったかなー?」
「それや!俺まだ課題途中やねん!お前ら2人どちらかノート見せてや~!」
「またですか?!史也君前にも言ったでしょう!」
プリプリと怒る凛君に『頼むぅ~九条様ァ!』とすがる史也君。
それすらも可愛いと思いつつ灰色空の下、推しに会えた喜びを胸に、先ほど浮かんだモヤモヤは忘れていった。
「お兄ちゃん凄い……」
確かにこれは一雨来そうだな。
兄よエスパーかよ?
あちこちで「傘もってきた?」「あ、俺もってるぜ」などの声がチラホラ聞こえてきた。
「おーい佐倉、はよ学食に行こうや?」
あの入学式以来、虚弱体質設定で確実に私はぼっち学園生活になるはずだったのだが、限りある時間を使って学友とまで呼べる程お昼を食べる仲まで進展した史也君と凛君。
勿論とわたしは笑顔で頷き一緒に学食に向かう。
やっぱり友達というのは良いですな……。
前世のオタク友達の事はやっぱり気になるが、今は私の死をかけた人生。
攻略者と一緒にいないと把握しきれない時もあるしね!
べ、別に、私が天使とご飯食べたい訳じゃないからね!
「何をブツブツ言っているんですか?佐倉さんの席無くなっちゃいますよ?」
最初はあんなにトゲトゲだった凛君もお友達ステータス上げたおかげなのか、名前呼びになる程親しくなったと思うんだよ!
「あ、はい!行きましょう!」
食堂はそこそこ席が埋まっていたが、2人はパパっと注文して戻ってくると窓際に向かって歩き出す。
まぁまだ分岐点まであと3日あるわけだし、今ぐらいは夢を見させて欲しい……。
せめて死ぬとなった時用の思い出は欲しいからね!
お兄ちゃん特性の二段弁当を手に2人のあとを歩く。
「あ、文也くんあそこの席空いてますよ」
つんつんと史也君の袖を引っ張る凛君。
……え、何その仕草、可愛いわぁ。
「佐倉さんは……こっち」
浮かれていると、テーブル席なのだが、何故か2人と向き合う形で座るハメに。
んん?何故……?
え、私もお隣がいいよ?!
ズルくない?お友達でしょ?!
「……あのりり、凛君……?」
「はい?」
返事しつつもしっかりうどんを頬張る九条君。
彼の好物は確かきつねうどんだったな…….。
ふと彼を見た瞬間に脳内記憶の攻略本設定を思い出した私。
「な、なんでもないよ!今日はきつねうどんにしたんだなぁって思ったんだ!」
「今日は、じゃなくて今日『も』やけどな?」
「むぅ……良いじゃないですか、僕の昼食ですから」
「別に悪くはないけどな、口端にネギついてんで~。ガキかいな~」
「が、ガキじゃないですよ!史也くん煩いです!」
「まぁまぁそう怒らんと~」
ケラケラと笑いながら凛君にティッシュを渡してあげる史也君。
·····やっぱり私この席で満足です。
「ここ空いてる?」
そんな光景を拝んでいるとスっと隣に誰かが座った。
·····え、何気なく溶け込む君は一体?
「おお!なんや、誰かと思ったら音羽かいな!珍しいなお前が学食なんて」
「んん?ふみふぁふん、どムグ·····ムグ·····なたですか?」
凛君が私の隣へと視線を向ける。
「せや、紹介しとらんかったな。こいつは音羽 翼や。この間友達になってん!面白いヤツやで!」
「どーも。二階堂の紹介もどうかと思うけど、まぁよろしく」
「そーゆー所が面白いと思うんやけどな~。九条も佐倉も仲良うしたってな!」
「史也君のお友達でしたか。宜しく御願いします。九条凛といいます」
「ん、宜しく」
目の前で和気あいあいと談笑する美少年たち。
え、待て待て待って。
今私の横にどなたがいらっしゃると?
壊れかけた歯車のようにギギギと横に顔を向けると、そこにはまぁ、なんていうことでしょう!
間近で見てもサラッサラの黒髪、少し眠そうだけれどキリッとした目元に黒縁メガネが似合い、薄い唇や色白肌には色気すら感じる………!
そう!
あの、世(前世から)のおねー様方からの超絶人気であり私の推しでもあったあの『音羽 翼』君ですか!
「おぉぉぉぉお…音羽君……?」
やばす、声が裏返る。
「なんや佐倉は知っとったんか~。まぁ、大抵の女子はイケメンの把握はしとるからなぁー分からんでもない」
1人納得している史也殿。
いや1ミリもかすっては無いが遠からず、只々今の状況が分からない。
「えーっと、アンタは?」
「あ、はい!佐倉 雪です!音羽君こんにちは!」
よし、自己紹介ちゃんとできた!
でも、心臓がバクバク音を立ててるから声ふるえてないかな……?
「ん、こんにちは。よろしく佐倉さん」
幾度となく聴いてきた音羽君の生声が、今再生された‼
オタクでよかった瞬間ですよ!
ありがとう神様、今死んでも恨まないよ!
といいますが、推しとご飯を食べているというシチュをやっっと理解出来たからなのか、現在進行形でお箸折れそう。頬がプルプル震える。
兄お手製のお弁当の味がしなくなった。
え、もうこれで栄養過多で心臓破裂と言う名の病名で死ぬんじゃない?
まだ本編にも入ってないのに?
でも、それはそれでいいかも……。
「──というのを食堂のおばちゃんから聞いたんや」
「ふーん、確かにそれ気になるね」
「ですね。僕も気になります…。佐倉さんはどう思いますか?」
「え、あ、うん!私もそうだと思うよ?!」
いけない…音羽君のお隣が嬉しすぎて、ぜんぜっん聞いてなかった。
「よし、なら善は急げや!明後日の放課後食堂前に集合やな!」
「了解」
「わかりました!食堂のおばちゃんたちのためにも、早期解決しましょう」
「う、うん…」
そして満場一致という事で話は進み、昼休み終了を告げるのチャイムと共に一同は解散となった。
私は惜しみながらも音羽君と別れつつ史也君達の後をついて歩いてく。
それにしてもさっきの食堂の話があがってたよね…。
どこかで聞いたことがある内容だったような?
「そや、佐倉次の課題はなんやったか?」
「え?あーっと、次は英語だったかなー?」
「それや!俺まだ課題途中やねん!お前ら2人どちらかノート見せてや~!」
「またですか?!史也君前にも言ったでしょう!」
プリプリと怒る凛君に『頼むぅ~九条様ァ!』とすがる史也君。
それすらも可愛いと思いつつ灰色空の下、推しに会えた喜びを胸に、先ほど浮かんだモヤモヤは忘れていった。
0
あなたにおすすめの小説
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
国宝級イケメンとのキスは、最上級に甘いドルチェみたいに私をとろけさせます♡ 〈Dulcisシリーズ〉
はなたろう
恋愛
人気アイドルとの秘密の恋愛♡コウキは俳優やモデルとしても活躍するアイドル。クールで優しいけど、ベッドでは少し意地悪でやきもちやき。彼女の美咲を溺愛し、他の男に取られないかと不安になることも。出会いから交際を経て、甘いキスで溶ける日々の物語。
★みなさまの心にいる、推しを思いながら読んでください
◆出会い編あらすじ
毎日同じ、変わらない。都会の片隅にある植物園で働く美咲。
そこに毎週やってくる、おしゃれで長身の男性。カメラが趣味らい。この日は初めて会話をしたけど、ちょっと変わった人だなーと思っていた。
まさか、その彼が人気アイドル、dulcis〈ドゥルキス〉のメンバーだとは気づきもしなかった。
毎日同じだと思っていた日常、ついに変わるときがきた。
◆登場人物
佐倉 美咲(25) 公園の管理運営企業に勤める。植物園のスタッフから本社の企画営業部へ異動
天見 光季(27) 人気アイドルグループ、dulcis(ドゥルキス)のメンバー。俳優業で活躍中、自然の写真を撮るのが趣味
お読みいただきありがとうございます!
★番外編はこちらに集約してます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/693947517
★最年少、甘えん坊ケイタとバツイチ×アラサーの恋愛はじめました。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/408954279
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
女性が少ない世界に転移しちゃったぁ!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比40:1の世界に転移した主人公
人のようで人ではなかった主人公が様々な人と触れ合い交流し、人になる話
温かい目で読んでいただけたら嬉しいですm(__)m
※わかりにくい話かもです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる