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第一章

計画 エッセン神殿長視点

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「あの、何かご用でしょうか?」

 シャウトの呑気な顔にイライラはつのる。神殿長に呼び出されても、叱られることは想定していない。ただ、役に立ちたいと思っている。この腹蔵がないところが安心できて、人に好かれるところでもある。だからこそ、今回、マリアの担当をさせたのだが。

「マリアが目覚める日をデルバールの人間に伝えたのはお前だな」

 シャウトがしまったという顔になる。

「なぜ、伝えた? 秘密にしておけと言ったのを忘れたのか」
「いえ、あの、デルバールの女たちが毎日、様子を聞きに来るので、神官たちが落ち着きなく困っておりました。そのため、目覚める日が決まったら、連絡するから、来ないようにと言い渡したのですが」

 神官と言っても、誰もが本当の信仰を持っているわけではない。貴族の庶子や兄弟の多い家の末子が預けられることも多いし、出自を問わない出世を狙って入ってくる者も多い。
 だから、女性の誘惑に弱い者が多いのも事実だ。

「そのまま、黙っていれば、よかっただろう」

 シャウトが頭を下げた。

「申し訳ありません。デルバールまで連絡に行った者がありまして」
「誰だ」

 直接行って、何かサービスが受けられないかとあさましいことを考えたのは誰だ。

「私の監督不行き届き、申し訳ありません。外出禁止などの罰はすでに与えております」

 シャウトがただ、謝ることで気づいた。

「全員なのか」

 シャウトの沈黙が答えだ。

「わかった。より、真摯に神に祈り、赦しを得るように指導したまえ」

 シャウトを叱るのは中止だ。
 ため息が出てしまう。

「それにしても、あの魔力は何なのか」

 マリアという女を治そうとした時に感じた魔力の抵抗。普通、私の強力な治癒魔法に抵抗する力がある者はいない。魔力を持つ人間であっても、簡単に私の魔力で押し切ることができる。それなのにマリアはボロボロで意識がなかったのにも関わらず、抵抗した。咄嗟に眠らせることで抵抗は無くなり、治療できたが。
 そのまま、神殿に留め置いて調べようと思っていたのに。

 あのレオナルドとかいう男は私の計画に気づいていたのだろうか。フランチェスカという女はどうだ? 神官たちが誘惑に弱すぎたのか、それとも、巧みに操られたのか。

 とりあえず、計画を悟られないためにはマリアを手放すしかなかったがこのままにはしておかない。
 神殿の権威と権力を高めるために役に立ちそうな駒はいくらあってもいい。
 変わった力があるのなら、それだけで聖女として、でっち上げてもいいだろう。

「マリアという女の監視と情報収集を頼む」

 呟けば、
「はっ」
という声が返ってくる。
 神殿に使える影の神官と呼ばれる者の返事だ。
 さあ、次の手を考えよう。

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