30 / 49
ぼっち
しおりを挟む
教室に行くと、もうジョセフィンは席に座っていた。その両脇に取り巻きの女の子二人が座っている。薄い茶色の髪がアン、濃い茶色の髪がケイトだ。
ジョセフィンがヴィオラにマナー指導するようになってから、少し離れていたのが、今日はガードするように座っている。
その姿をまわりの生徒が遠巻きに眺めている。
ヴィオラはジョセフィンの前に行くと、頭を下げた。
「あの、ご婚約おめでとうございます」
そう挨拶すると、ジョセフィンにギロリと睨まれてしまった。
「噂を鵜呑みにするのは馬鹿がすることよ。婚約なんてないから」
こ、怖い。ジョセフィンに集まっていた教室の生徒の視線が一斉にそれた。
「わかるでしょう。正式な発表までジョセフィン様の口からは何も言うことができないの」
アンが口を挟む。
「私だったら、嬉しくて喋りまくっちゃうのに、ジョセフィン様は奥ゆかしいから」
ケイトが両手を祈るように握りしめる。
「アン、ケイト、黙っていてちょうだい。ヴィオラさん、ごめんなさい。朝からずっと否定しているから、もう、嫌になってしまって。後で話を聞いてちょうだい」
ジョセフィンが怒っていないようなので、ヴィオラはホッとして、ヴィオラの後ろの席に座った。
そこへ、ミューラー先生がやってくる。
「今回から、キャンプに備えた授業を行なっていきます」
え? キャンプ?
ヴィオラはキョロキョロしたが、みんなは知っていたようだ。
武闘会があったと思ったら、次はキャンプ。さすが、乙女ゲームだ。恋愛イベントをどんどん起こせるようにしている。
「我がハーモニー学園はこの国の将来を背負って立つ人材の育成を目標としている。知識を机上のものにとどめることなく、実践できるようにしたい。そのため、キャンプでは自分たちだけで二泊三日の野営を行い、与えられたミッションを行なってもらう」
二泊三日って、けっこうハードだ。
「クラスごとに行き先は違うし、場所は当日の朝まで秘密だ。もちろん、このクラスのミッションが一番難易度の高いものになっている」
まあ、子どもの頃から鍛えていた私なら楽勝だとヴィオラは余裕で聞いていた。
「それではまず、三人のチームを作ってもらう。チームができたところから、私に言ってくれ」
え? 単独じゃないの? でも、大丈夫。
「ねえ、ジョセフィン」
声をかけた時にアンが手を挙げた。
「先生、ジョセフィン様、ケイト、アンでチームです」
「了解しました」
先生があっさりと認めてしまった。ジョセフィンが振り向いて、ごめんなさいというように少し頭を下げた。
確かに先生に認められたチームを崩してまで、ヴィオラと同じチームになろうとはしないだろう。
慌てて、まわりを見回したが、みんな親しい人と集まって、どんどん、先生に報告している。
こうなったら、イアンに頼るしかない。
「イアン」
「ごめん、ヴィオラはジョセフィンと一緒にチームを組むと思ったから」
もう、イアンはチームを作っていた。
「イアン、俺たちはいいから、ヴィオラさんとチームを組めば」
「あ、俺が抜けるので、ヴィオラさん、どうぞ」
そんなイアンチームの仲を引き裂くようなこと、できるわけないじゃない。
「あ、大丈夫です」
そう言ったが、他に入れるチームって、どこ? ああ、前世でも修学旅行の班決めとか、嫌だったなあ。最後はぼっちが集められるんだ。
「えーと、後、残っているのは」
ミューラー先生が教室を見回した。
「ヴィオラ、トム、ピーター。こちらへ。君たちで最後のチームだ」
トムとピーターは同じクラスでも喋ったことがなかった。どちらも目立たないタイプだ。
「よろしくお願いします」
「「よろしく」」
トムはまっすぐな長い茶色の髪を一まとめに結んでいる。平凡な容姿だが、目は黒で元日本人としては親近感を覚える色だ。
ピーターは同級生とは思えないほど、背も高くてがっしりとしている。茶色の短い髪は貴族には珍しいから、平民なのかもしれない。
二人ともにこやかでとりあえず、嫌われてはいないようだとヴィオラはホッとした。
ジョセフィンがヴィオラにマナー指導するようになってから、少し離れていたのが、今日はガードするように座っている。
その姿をまわりの生徒が遠巻きに眺めている。
ヴィオラはジョセフィンの前に行くと、頭を下げた。
「あの、ご婚約おめでとうございます」
そう挨拶すると、ジョセフィンにギロリと睨まれてしまった。
「噂を鵜呑みにするのは馬鹿がすることよ。婚約なんてないから」
こ、怖い。ジョセフィンに集まっていた教室の生徒の視線が一斉にそれた。
「わかるでしょう。正式な発表までジョセフィン様の口からは何も言うことができないの」
アンが口を挟む。
「私だったら、嬉しくて喋りまくっちゃうのに、ジョセフィン様は奥ゆかしいから」
ケイトが両手を祈るように握りしめる。
「アン、ケイト、黙っていてちょうだい。ヴィオラさん、ごめんなさい。朝からずっと否定しているから、もう、嫌になってしまって。後で話を聞いてちょうだい」
ジョセフィンが怒っていないようなので、ヴィオラはホッとして、ヴィオラの後ろの席に座った。
そこへ、ミューラー先生がやってくる。
「今回から、キャンプに備えた授業を行なっていきます」
え? キャンプ?
ヴィオラはキョロキョロしたが、みんなは知っていたようだ。
武闘会があったと思ったら、次はキャンプ。さすが、乙女ゲームだ。恋愛イベントをどんどん起こせるようにしている。
「我がハーモニー学園はこの国の将来を背負って立つ人材の育成を目標としている。知識を机上のものにとどめることなく、実践できるようにしたい。そのため、キャンプでは自分たちだけで二泊三日の野営を行い、与えられたミッションを行なってもらう」
二泊三日って、けっこうハードだ。
「クラスごとに行き先は違うし、場所は当日の朝まで秘密だ。もちろん、このクラスのミッションが一番難易度の高いものになっている」
まあ、子どもの頃から鍛えていた私なら楽勝だとヴィオラは余裕で聞いていた。
「それではまず、三人のチームを作ってもらう。チームができたところから、私に言ってくれ」
え? 単独じゃないの? でも、大丈夫。
「ねえ、ジョセフィン」
声をかけた時にアンが手を挙げた。
「先生、ジョセフィン様、ケイト、アンでチームです」
「了解しました」
先生があっさりと認めてしまった。ジョセフィンが振り向いて、ごめんなさいというように少し頭を下げた。
確かに先生に認められたチームを崩してまで、ヴィオラと同じチームになろうとはしないだろう。
慌てて、まわりを見回したが、みんな親しい人と集まって、どんどん、先生に報告している。
こうなったら、イアンに頼るしかない。
「イアン」
「ごめん、ヴィオラはジョセフィンと一緒にチームを組むと思ったから」
もう、イアンはチームを作っていた。
「イアン、俺たちはいいから、ヴィオラさんとチームを組めば」
「あ、俺が抜けるので、ヴィオラさん、どうぞ」
そんなイアンチームの仲を引き裂くようなこと、できるわけないじゃない。
「あ、大丈夫です」
そう言ったが、他に入れるチームって、どこ? ああ、前世でも修学旅行の班決めとか、嫌だったなあ。最後はぼっちが集められるんだ。
「えーと、後、残っているのは」
ミューラー先生が教室を見回した。
「ヴィオラ、トム、ピーター。こちらへ。君たちで最後のチームだ」
トムとピーターは同じクラスでも喋ったことがなかった。どちらも目立たないタイプだ。
「よろしくお願いします」
「「よろしく」」
トムはまっすぐな長い茶色の髪を一まとめに結んでいる。平凡な容姿だが、目は黒で元日本人としては親近感を覚える色だ。
ピーターは同級生とは思えないほど、背も高くてがっしりとしている。茶色の短い髪は貴族には珍しいから、平民なのかもしれない。
二人ともにこやかでとりあえず、嫌われてはいないようだとヴィオラはホッとした。
23
あなたにおすすめの小説
引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~
浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。
御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。
「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」
自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
乙女ゲームのヒロインに生まれ変わりました!なのになぜか悪役令嬢に好かれているんです
榎夜
恋愛
櫻井るな は高校の通学途中、事故によって亡くなってしまった
......と思ったら転生して大好きな乙女ゲームのヒロインに!?
それなのに、攻略者達は私のことを全く好きになってくれないんです!
それどころか、イベント回収も全く出来ないなんて...!
ー全47話ー
その破滅エンド、ボツにします!~転生ヒロインはやり直し令嬢をハッピーエンドにしたい~
福留しゅん
恋愛
自分がシナリオを書いた乙女ゲームの世界に転生したメインヒロインはゲーム開始直後に前世を思い出す。一方の悪役令嬢は何度も断罪と破滅を繰り返しては人生をやり直していた。そうして創造主の知識を持つヒロインと強くてニューゲームな悪役令嬢の奇妙な交友が始まる――。
※小説家になろう様にも投稿しています。
乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~
天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。
どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。
鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます!
※他サイトにも掲載しています
【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!
白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、
この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。
自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。
ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、
それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___
「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、
トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘!
そんな彼女を見つめるのは…?
異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
モブ令嬢は脳筋が嫌い
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる