17 / 49
ジョセフィン
しおりを挟む
「ジョセフィンさん、ありがとうございます」
授業が終わると、すぐにヴィオラはジョセフィンのところに行って、頭を下げた。
「頭なんて、簡単に下げるものではありません。当たり前のことをしただけですから」
ジョセフィンは言い放った。
か、かっこいい。
「それより、今から生徒会でしょう。一緒に行きましょう」
そうだ、ジョセフィンは生徒会の一員だった。
「あ、あの、イアンさんと一緒に行くことになっているんですが」
「さっきのこと、お忘れになったの? ヴィオラさんが嫌われている原因の一番は男子とそれも有名な方とばかり、仲良くされているからですのよ。イアンさんと一緒に行けば、また、噂が広がるばかり。私と一緒に行くのが一番ですわ」
「は、はい。じゃあ、イアンさんに連絡します。それから、すぐに着替えてきます」
二人でしゃべりながら廊下に出ると、ジョセフィンさんの侍女らしき人が待機していた。
「ダクトにヴィオラさんは私と行くと伝えて」
ジョセフィンさんが侍女に指示を与える。
ダクトさんの名前も知っているんだ。イアンさんと仲がいいのかな。
そんなことを考えていると、ジョセフィンさんがヴィオラに向き直った。
「入学式ではつねってごめんなさいね。お詫びをしたいんですけど」
「いえ、そんな」
正直言って、忘れていたし、自分のマナーが悪かったのというのはヴィオラもよくわかっていた。
「正しいこともやり方次第だとよく注意されるんですの。だから、お詫びにもうつねらなくていいようにヴィオラさんのマナーを磨いて差し上げます」
「へ?」
「ヴィオラさん、そんな品のない声を出してはいけません」
「は、はい。でも、マナーは授業でも習ってますので、ジョセフィンさんのお手を煩わさなくても……」
「それで十分だと思っていらっしゃるの? 生徒会の一員として、マナーの行き届いてない方がいるの、我慢できませんの」
生徒会に入るのがダメだとは言われていない。そこはよかった。王太子からの勧誘で入るのを断ることができなかったから、元のメンバーには何を言われるかと怖かった。
「ちょうどいいですわ。このドレスのまま、生徒会に行きましょう。初対面の方との挨拶と自己紹介の仕方が身についているかどうか、私がチェックいたしますわ」
「え?」
「喋り方!」
「はいっ」
「ちょっと、元気が良すぎるわね」
「はい」
「それでは行きます」
なぜか、ジョセフィンにヴィオラは従ってしまう。
「ジョセフィンです」
生徒会室へのドアもジョセフィンがスルッと開けてしまった。
「あれ、どうしたの? ドレスなんて着て」
五人の人がいたが、尋ねてきたのは王太子だった。
「授業で着たんですけど、ヴィオラさんにマナーを教えることになったので、そのまま来たんです」
ジョセフィンはそこでヴィオラに振り返った。
「さ、ご挨拶を。カーテシーを見せてちょうだい」
「は、初めまして。ヴィオラと申します」
カーテシーには自信があった。何といっても体幹を鍛えているから、ふらつくことがない。
「ヴィオラさん、違います。まず、カーテシーを行い、頭を下げた状態で名を名乗るのです」
「ヴィオラと申します」
もう一度、カーテシー。それから、ちらりとジョセフィンの方を見ると、目が合ってしまった。
「私の様子をうかがってはいけません。最後まで丁寧に」
「ヴィオラと申します」
ああ、まるで修行だ。
「ジョセフィン。それじゃ、いつまでたっても、こちらの自己紹介ができないよ」
王太子が苦笑いをした。
その時、足音を響かせ、イアンが駆けてきた。
「ヴィオラ、大丈夫か?」
尋ねられた時、ヴィオラがとっさに答えられなかったのはカーテシーを繰り返した後だったからだ。
ただ、そのヴィオラの微妙な顔でイアンは勘違いしたらしい。
「ジョセフィン、勝手に連れて行くとはどういうつもりだ」
「この年になっても、まだ、廊下は走ってはいけないことがわからないのかしら」
イアンとジョセフィンは睨み合った。
「ヴィオラをいじめるな」
「自分の行動がヴィオラに迷惑をかけてるって気づかないの」
「あ、あの、いじめられてません。迷惑もかけられてません」
ヴィオラは二人の間に入ろうとした。
「「黙ってて」」
二人の声がそろう。
そこに大きな笑い声が響いた。
王太子が腹を抱えて笑っている。あっけにとられたのか、二人の口論が止まった。
「とりあえず、きちんと中に入って。それから、イアン、ヴィオラさんを見て、何か言うことがあるんじゃない?」
イアンがハッとして、ヴィオラを見た。
「……きれいだ」
イアンが赤くなって言うから、ヴィオラも赤くなってしまった。すると、ジョセフィンが指摘した。
「こういう時は扇子で口元を隠し、お礼と共にお相手を褒めるんですよ」
その後、扇子を持っていないヴィオラはジョセフィンに叱られることになった。
授業が終わると、すぐにヴィオラはジョセフィンのところに行って、頭を下げた。
「頭なんて、簡単に下げるものではありません。当たり前のことをしただけですから」
ジョセフィンは言い放った。
か、かっこいい。
「それより、今から生徒会でしょう。一緒に行きましょう」
そうだ、ジョセフィンは生徒会の一員だった。
「あ、あの、イアンさんと一緒に行くことになっているんですが」
「さっきのこと、お忘れになったの? ヴィオラさんが嫌われている原因の一番は男子とそれも有名な方とばかり、仲良くされているからですのよ。イアンさんと一緒に行けば、また、噂が広がるばかり。私と一緒に行くのが一番ですわ」
「は、はい。じゃあ、イアンさんに連絡します。それから、すぐに着替えてきます」
二人でしゃべりながら廊下に出ると、ジョセフィンさんの侍女らしき人が待機していた。
「ダクトにヴィオラさんは私と行くと伝えて」
ジョセフィンさんが侍女に指示を与える。
ダクトさんの名前も知っているんだ。イアンさんと仲がいいのかな。
そんなことを考えていると、ジョセフィンさんがヴィオラに向き直った。
「入学式ではつねってごめんなさいね。お詫びをしたいんですけど」
「いえ、そんな」
正直言って、忘れていたし、自分のマナーが悪かったのというのはヴィオラもよくわかっていた。
「正しいこともやり方次第だとよく注意されるんですの。だから、お詫びにもうつねらなくていいようにヴィオラさんのマナーを磨いて差し上げます」
「へ?」
「ヴィオラさん、そんな品のない声を出してはいけません」
「は、はい。でも、マナーは授業でも習ってますので、ジョセフィンさんのお手を煩わさなくても……」
「それで十分だと思っていらっしゃるの? 生徒会の一員として、マナーの行き届いてない方がいるの、我慢できませんの」
生徒会に入るのがダメだとは言われていない。そこはよかった。王太子からの勧誘で入るのを断ることができなかったから、元のメンバーには何を言われるかと怖かった。
「ちょうどいいですわ。このドレスのまま、生徒会に行きましょう。初対面の方との挨拶と自己紹介の仕方が身についているかどうか、私がチェックいたしますわ」
「え?」
「喋り方!」
「はいっ」
「ちょっと、元気が良すぎるわね」
「はい」
「それでは行きます」
なぜか、ジョセフィンにヴィオラは従ってしまう。
「ジョセフィンです」
生徒会室へのドアもジョセフィンがスルッと開けてしまった。
「あれ、どうしたの? ドレスなんて着て」
五人の人がいたが、尋ねてきたのは王太子だった。
「授業で着たんですけど、ヴィオラさんにマナーを教えることになったので、そのまま来たんです」
ジョセフィンはそこでヴィオラに振り返った。
「さ、ご挨拶を。カーテシーを見せてちょうだい」
「は、初めまして。ヴィオラと申します」
カーテシーには自信があった。何といっても体幹を鍛えているから、ふらつくことがない。
「ヴィオラさん、違います。まず、カーテシーを行い、頭を下げた状態で名を名乗るのです」
「ヴィオラと申します」
もう一度、カーテシー。それから、ちらりとジョセフィンの方を見ると、目が合ってしまった。
「私の様子をうかがってはいけません。最後まで丁寧に」
「ヴィオラと申します」
ああ、まるで修行だ。
「ジョセフィン。それじゃ、いつまでたっても、こちらの自己紹介ができないよ」
王太子が苦笑いをした。
その時、足音を響かせ、イアンが駆けてきた。
「ヴィオラ、大丈夫か?」
尋ねられた時、ヴィオラがとっさに答えられなかったのはカーテシーを繰り返した後だったからだ。
ただ、そのヴィオラの微妙な顔でイアンは勘違いしたらしい。
「ジョセフィン、勝手に連れて行くとはどういうつもりだ」
「この年になっても、まだ、廊下は走ってはいけないことがわからないのかしら」
イアンとジョセフィンは睨み合った。
「ヴィオラをいじめるな」
「自分の行動がヴィオラに迷惑をかけてるって気づかないの」
「あ、あの、いじめられてません。迷惑もかけられてません」
ヴィオラは二人の間に入ろうとした。
「「黙ってて」」
二人の声がそろう。
そこに大きな笑い声が響いた。
王太子が腹を抱えて笑っている。あっけにとられたのか、二人の口論が止まった。
「とりあえず、きちんと中に入って。それから、イアン、ヴィオラさんを見て、何か言うことがあるんじゃない?」
イアンがハッとして、ヴィオラを見た。
「……きれいだ」
イアンが赤くなって言うから、ヴィオラも赤くなってしまった。すると、ジョセフィンが指摘した。
「こういう時は扇子で口元を隠し、お礼と共にお相手を褒めるんですよ」
その後、扇子を持っていないヴィオラはジョセフィンに叱られることになった。
29
あなたにおすすめの小説
引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~
浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。
御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。
「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」
自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
乙女ゲームのヒロインに生まれ変わりました!なのになぜか悪役令嬢に好かれているんです
榎夜
恋愛
櫻井るな は高校の通学途中、事故によって亡くなってしまった
......と思ったら転生して大好きな乙女ゲームのヒロインに!?
それなのに、攻略者達は私のことを全く好きになってくれないんです!
それどころか、イベント回収も全く出来ないなんて...!
ー全47話ー
その破滅エンド、ボツにします!~転生ヒロインはやり直し令嬢をハッピーエンドにしたい~
福留しゅん
恋愛
自分がシナリオを書いた乙女ゲームの世界に転生したメインヒロインはゲーム開始直後に前世を思い出す。一方の悪役令嬢は何度も断罪と破滅を繰り返しては人生をやり直していた。そうして創造主の知識を持つヒロインと強くてニューゲームな悪役令嬢の奇妙な交友が始まる――。
※小説家になろう様にも投稿しています。
乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~
天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。
どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。
鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます!
※他サイトにも掲載しています
【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!
白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、
この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。
自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。
ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、
それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___
「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、
トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘!
そんな彼女を見つめるのは…?
異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
モブ令嬢は脳筋が嫌い
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
恋愛
イーディスは海のように真っ青な瞳を持つ少年、リガロに一瞬で心を奪われた。彼の婚約者になれるのが嬉しくて「祖父のようになりたい」と夢を語る彼を支えたいと思った。リガロと婚約者になってからの日々は夢のようだった。けれど彼はいつからか全く笑わなくなった。剣を振るい続ける彼を見守ることこそが自分の役目だと思っていたイーディスだったが、彼女の考えは前世の記憶を取り戻したことで一変する。※執筆中のため感想返信までお時間を頂くことがあります。また今後の展開に関わる感想や攻撃的な感想に関しましては返信や掲載を控えさせていただくことがあります。あらかじめご了承ください。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる