細やかな愛情

林 業

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アオイがタダシとタカシの勉強を見ながらレオンからのプレゼントを自慢する。
「あぁ。若がデザインしてたなぁ」
ピアスを嬉しそうに見ているアオイ。
今は耳に穴は空いていないので付けれないが、二十歳を超えたら穴を開けようとレオンに言われた。
「なぁ。アオイ」
「何だ?」
「もう結婚しちゃったら」
「いや。それは、うん、日本じゃ無理だしな」
タダシの言葉に顔を赤らめながら頷く。

惚れてるんだなぁと言いそうなタダシに、タカシは口を塞いで黙らせる。
下手に口出しすれば余計にこじれるとわかっているのでタダシに口止めさせる。

「そういえばやったのか?」
「やるって」
「そりゃあせっく」
アオイがタダシにげんこつをする。
「昼間からする話じゃないだろ。だいたい婚前にそういうことするのは駄目だってお祖母ちゃんが言っていたからな」
「アオイってお硬いよな」
「固くて結構だ」

二人の宿題を終わらせて、帰るかと立ち上がる。

外が騒がしいと不思議に思って外に出れば警察に連行れている両親と豚のように太った兄。
後部座席から遠のいていく姿に何だったんだろうと周囲を見回せばレオンがいる。
「何かあったのか」
呆れたようなレオンに近づく。
レオンが当事者なのか警察の事情説明を終えてから話してくる。
「いや。あの男な。奴隷がいるだろと来たんだが、ドレイなんて名前も存在も、うちにも馬場家にも居ないし、断ってんのに家に入ってきて」
レオンは苦笑しながら告げる。
「その上、あの男太ってたけど、昔俺をカツアゲのリンチした男だったんで、しゃーないから、家の門閉めて警察呼んだら」
「それでどなどなか」
ドナドナ?と首を捻っているが無視する。
タカシがレオンに説明をして、レオンは大爆笑。
あれは牛じゃなくて豚だろ。と。
的を得ている気もしないではないが動物が問題ではないのだと呆れる。

何となく奴隷が誰を示しているのかを理解して名乗るべきかと悩み、同時に兄の不祥事に気づく。

「カツアゲって大変だったのか?」
死にかけたが助けられて、恩人を探していたと言われる。
「ただずっと探しても見つからなかったしもういいかなって。俺が中学の時だったし。流石に時間が立ちすぎてるからなぁ」
それは大変だったなと同情する。
その恩人に感謝する。
だが馬場兄弟がコソコソと話し合っている。
「なんか、前にアオイ、救急車呼んだって言ってなかった」
「いや。そういえばカツアゲ場面がどうのこうの」
なんだろうと二人を見るが教えてくれなさそうである。
レオナルドが呼吸を整えてから告げる。
「あ、今日トンカツ食べたい」
兄を見たからか言われて、買い物リストを頭の中に浮かべる。
買い物も行こうとレオンが笑ってくるのでそうだなと差し出された手を取る。


「そういえば、レオンは婚前で夜のそういうことするのに抵抗ないのか?」
驚いて見下ろしてくるレオン。
「アオイはあるのか?」
「おばあちゃんにそういうのはだめだと言われたんだが、男同士だと結婚できないし」
「最悪俺か葵の戸籍に入ればいいだろ」
「なるほど。で、レオンはしたい?」
「そりゃあな。でもアオイがいいって思うまで手を出さないことにしている」
アオイはしばらく眺めてから、試しにと頬にキスをする。
レオンが固まり、それから見つめてくる。

赤くなったレオンに、同じように照れながら笑い返す。





レオンはこのままでも楽しい。と拗ねながら絞り出す。
来年の誕生日にそういうプレゼントもありかなぁと悩み、そして一緒に家路を辿る。

    
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