昨日の自分にサヨナラ

林 業

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プロローグ

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目を開けて体を起こす。

久々のベッドの感触味わう間もなく床へと足を付ける。
朝の支度を済ませて、朝ご飯を作って子供たちを起こして食事をさせる。

ちらりと外を見て、それから洗い物を各々に任せて、仕事に出かける。
鬱蒼と生い茂る森を通り抜け、道を進む。


入口にたどり着き、目の前にある馬車を見る。

そこには男たちがいて賑やかに笑っている。
声をかけて、簡単な打ち合わせをしてから馬車を森へと向かわせる。

悲鳴が聞こえるが気にせず眺める。

人の身ほどはある虎のような獣の一匹が子供たちを連れて体をすり寄せてくる。
名付けを行い、頭を撫で回し、一晩を過ごす。


明け方、起きて身支度を整えると目を閉じ、それから街へと向かって歩く。


その国へと入国して、王城前に来る。
何度か瞬きをすると、目の前には書類が乗った机。

目的の書類を手に取り懐へと入れる。

そして瞬きをするとソファーの上に出てきてそのまま座る。

すでにいた男の声に応えて、しばらく会話を続ける。

ふと壁に飾ってある大樹のタペストリーとその下の文言を目にする。

「幾重にも広がる大樹の枝のように
  運命もまた無数の可能性を秘めている」

ほしい運命を得るために。
可能性を掴みとるために。
今なら、今だからこそできることを。

動こうと立ち上がった瞬間、窓を震わせるような爆音と閃光が響き渡る。


すかさず男が部下に指示を出し、こちらを見て、ぎょっとした顔を向けてくる。
驚いて聞けば、何が楽しいのかと聞かれる。

あぁ。自分はワラっているのか。
だって、だってそうだろう?



立ち上がり出かけることにする。

よほど物珍しいものを見たのかドン引きしている男を無視して火口の上部へと出て空中に浮かぶ。

懐から取り出した書類。

「クリスタ王国、嘆きの森 遠征許可申請書」

手を離せば、羊皮紙が飛んでいき、空中で粉々になったかと思えば火の中へ消えていく。

「もうすぐ、もうすぐだ」

はからずも自身からの声が止まらない。
止めれない。
あぁ。良かった。一人になって。
そうじゃないと余計なことを彼らの前で口にしていた。

「あぁ。もうすぐなんだ。もうすぐ叶うんだ。待ってた。待ってたんだ。待って。待ち望んで。ようやく、運命を掴むんだ」

燃え尽きた羊皮紙に、仮面の男は一人笑う。





再び鳴り響く森に落ちた雷鳴に彼は手を出す。

「ようこそ。この残酷で理不尽、自ら運命を掴める世界、ガルーアヘ」

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