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目を覚ませばモリオンが目の前にいる。
「おはよ」
モリオンが抱きしめて、良かったと何度も呟く。
歌が止まったのに気づいて周囲を見回す。
どこから聞こえてきたんだろうと気になる。
そして見つけた人影。
青年が海人族と人族と会話を始めている。
「今日は彼と一緒にいらしたんですか?」
「一応この人、竜人族王族の養子だから王族ーー。俺、兵士でこの人の護衛ーーー」
入り口から年若い男の声。
「おじさんは一緒?」
「うんん。仕事ある。来たがっては、いた。前からエルフ会いたい言ってたから興味あるらしい」
「騎士団長も大変だね」
うんと頷きあう海人族と青年。
青年を見つめていると何故か守らなくてはという気持ちが芽生えてくる。
同時に、人族なのに何故守る必要があるのかと不思議にも思う。
今までにない、相反する気持ちを不思議に思う。
「あ、はじめまして。精霊と合いの子君」
「エルフって名前じゃない」
人族の青年が首を捻る。
「種族名。精霊と人の間に生まれた子供、エルフって、精霊たち言う。名前教えてくれたらそっち、呼ぶ。お友達、なろ」
お友達云々は置いとくとして疑問が芽生える。
その疑問をモリオンが聞いてくる。
「セレスは精霊との子供なのか?」
モリオンが不思議そうに見てくるが、わかんないとだけ答えておく。
ただ、そうなってくると、父の母は精霊というのは比喩ではないと言うことだろう。
「つまり、僕は精霊でもあるってこと?」
「半分、半分は精霊で、半分は、人間。山の主ほど力ある精霊が人との間に子供を設けることは、多々ある、らしい。その証拠に、僕を守りたいって思った?それ、精霊の愛し子を守るっていう精霊の本能」
守りたいと思ったことを否定できずに黙る。
正直、離れたほうがいいとも思うのだがそれもできない。
守る。
それが自分を支配している。
だが、彼から守らなくていいからと言われて、それが収まっていくのがわかる。
「お母さん、かな。髪の長い女性型の精霊。彼女が君の魂だけ、連れて行こうとしてたから、止めてみた」
確かにあの歌がなければ、モリオンのことを思い出さず、一緒に母とどこかへと言っていただろう。
そうなったら、今度はモリオンが一人になってしまう。
今になれば冷静にそう思える。
「僕、精霊だったのか」
「半分。だから、好きにしていいよ。山に戻ってもいい。街にいてもいい。時々、彼の側にいる必要はあるけど」
街へ降りるときも一度彼のもとにと、細目の青年を示す。
「モリオンはどうしたい?」
「俺は、山に帰る。帰りたい。俺は、セレスタイトと山で暮らすのが楽しい」
濡れた目元を拭いながら見てくる。
そんな姿にうんと同意する。
「モリオン。僕も帰りたいな」
その言葉に青年がはしゃいでいるのに気づく。
「あのね。ずっと、会いたかった。精霊たちが山のてっぺん近くに精霊との間の子、いるって聞いて。旦那様に頼んでもだめっていう。お友達になって欲しい」
はしゃぐ彼に、細目の青年が止める。
「ともかく安静にしていただきましょうね」
「わかった。じゃあ、また、明後日来る。名前次教えて」
手を振るとあっさりと帰っていく。
お土産何がいいかなと楽しそうに会話している。
「そうだ。お二人はしばらく此処に滞在して、それからお家に帰るといいですよ」
細目の青年は海人族の青年を連れて出ていく。
しばらく顔を見合わせてから、モリオンが寝ろと毛布をかけ直してくる。
「おはよ」
モリオンが抱きしめて、良かったと何度も呟く。
歌が止まったのに気づいて周囲を見回す。
どこから聞こえてきたんだろうと気になる。
そして見つけた人影。
青年が海人族と人族と会話を始めている。
「今日は彼と一緒にいらしたんですか?」
「一応この人、竜人族王族の養子だから王族ーー。俺、兵士でこの人の護衛ーーー」
入り口から年若い男の声。
「おじさんは一緒?」
「うんん。仕事ある。来たがっては、いた。前からエルフ会いたい言ってたから興味あるらしい」
「騎士団長も大変だね」
うんと頷きあう海人族と青年。
青年を見つめていると何故か守らなくてはという気持ちが芽生えてくる。
同時に、人族なのに何故守る必要があるのかと不思議にも思う。
今までにない、相反する気持ちを不思議に思う。
「あ、はじめまして。精霊と合いの子君」
「エルフって名前じゃない」
人族の青年が首を捻る。
「種族名。精霊と人の間に生まれた子供、エルフって、精霊たち言う。名前教えてくれたらそっち、呼ぶ。お友達、なろ」
お友達云々は置いとくとして疑問が芽生える。
その疑問をモリオンが聞いてくる。
「セレスは精霊との子供なのか?」
モリオンが不思議そうに見てくるが、わかんないとだけ答えておく。
ただ、そうなってくると、父の母は精霊というのは比喩ではないと言うことだろう。
「つまり、僕は精霊でもあるってこと?」
「半分、半分は精霊で、半分は、人間。山の主ほど力ある精霊が人との間に子供を設けることは、多々ある、らしい。その証拠に、僕を守りたいって思った?それ、精霊の愛し子を守るっていう精霊の本能」
守りたいと思ったことを否定できずに黙る。
正直、離れたほうがいいとも思うのだがそれもできない。
守る。
それが自分を支配している。
だが、彼から守らなくていいからと言われて、それが収まっていくのがわかる。
「お母さん、かな。髪の長い女性型の精霊。彼女が君の魂だけ、連れて行こうとしてたから、止めてみた」
確かにあの歌がなければ、モリオンのことを思い出さず、一緒に母とどこかへと言っていただろう。
そうなったら、今度はモリオンが一人になってしまう。
今になれば冷静にそう思える。
「僕、精霊だったのか」
「半分。だから、好きにしていいよ。山に戻ってもいい。街にいてもいい。時々、彼の側にいる必要はあるけど」
街へ降りるときも一度彼のもとにと、細目の青年を示す。
「モリオンはどうしたい?」
「俺は、山に帰る。帰りたい。俺は、セレスタイトと山で暮らすのが楽しい」
濡れた目元を拭いながら見てくる。
そんな姿にうんと同意する。
「モリオン。僕も帰りたいな」
その言葉に青年がはしゃいでいるのに気づく。
「あのね。ずっと、会いたかった。精霊たちが山のてっぺん近くに精霊との間の子、いるって聞いて。旦那様に頼んでもだめっていう。お友達になって欲しい」
はしゃぐ彼に、細目の青年が止める。
「ともかく安静にしていただきましょうね」
「わかった。じゃあ、また、明後日来る。名前次教えて」
手を振るとあっさりと帰っていく。
お土産何がいいかなと楽しそうに会話している。
「そうだ。お二人はしばらく此処に滞在して、それからお家に帰るといいですよ」
細目の青年は海人族の青年を連れて出ていく。
しばらく顔を見合わせてから、モリオンが寝ろと毛布をかけ直してくる。
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