未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

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貴方を支える未来

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実感がわかない。
町の人に会うたびにおめでとうございますと言われるが正直実感が湧かない。
明日から王都へと出向き、最終の勉強や挨拶回りや、教会との結婚式の打ち合わせなどがある。
リアム王太子殿下に会うのは結婚式当日というなんともハードなスケジュール。

ただ懸念であるアーケロンと会っていないので正直ほっとしている。

アーケロンの両親が乗り込んできてうちの息子との婚約はどうした。婚約破棄なら慰謝料払え。とか言われたそうだが、正式に婚約はしていない上に、イネスの父母はやんわり断り続けていた。

なので支払う義務はないと伝えている。
父母は気にするなと詳細は教えてくれないが、お金を払うつもりはない。と言っている。
そうでないと王妃になったときに傷がつくからだ。と。
もっとも、義兄が、最終手段として結婚後には王族の権限や、両親の領主権限を使えばいいと言っていたので、ごねまくる様ならそうするだろう。
その場合は良くて追放、悪くて処刑だろうからあくまでも最終手段として相手の出方を伺っているようだ。
権力をあまり使うのを好まない両親である。
やたらめったら権限使うよりは好ましく思っている。


落ち着かず、フラフラしていれば義兄がこちらに気づいて近づいてくる。
「義兄上」
「準備できた?」
義兄が微笑んでくる。
小さく頷けば何かあったかと覗き込んでくる。
「実感が、わかない、です。来年結婚と言われても」
「あー。相手もいないし勝手に進んでいるみたいだしねぇ。まぁ。近くなるか、式が終わったら、じわじわと沸いてくるもんだよ」
「そういう、ものなんですね」
「イネス君ならなんとかなるって。無理だったら王子様だけもだけど誰かに頼る。これ大事」
「義兄上にもですか」
「当然。だから今回私達夫婦で王都に行くんだ。ご両親もこっちの仕事忙しいからね。もちろん。結婚式には参加するそうだけど、とりあえず落ち着いたらだね」
「ご迷惑をおかけします」
「イネス君。迷惑じゃないよ。余裕があったら一緒に街巡りしようね」
「はい」
「いっちばん悪いのは突然言ってきてつじつま合わせをさせようとさせる王族だし」
ぽつりと一人呟き、えっと顔を上げるが何でもないと微笑まれる。
「さ。今日はもうお休みしようね。明日から移動なんだし、疲れていると馬車で酔うよ」
「は、はい」
「眠れないならお義母様に子守唄でも歌ってもらう?」
「いえ。大丈夫です」
「絵本とか、添い寝もいいよね」
母が背後から抱きついてくる。
「よーし。一緒に寝ようか」
イネスは母に引きずって連れて行かれる。
「え、え?えぇええ」
義兄は笑顔で手を振って見送ってくれる。


「あんなにのんびりな子で王妃とか大丈夫かな」
むしろ王子の性格に難があって離縁して戻ってきて、ゆっくりここで暮せばいいのにと思ってしまう。


義兄は自身の兄弟とはあまり仲が良くないので特にそう考えてしまう。
のんびりとマイペースに日々を過ごすイネスが可愛くて、ついつい甘やかしたくなる。
さらに、アーケロンに関わるときは特に不憫だとさえ思う。


夫の呼ぶ声にいい旦那とその家族だと改めて思う。
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