5 / 25
青春してる
しおりを挟む
急に重くなった足を押し進め外に出ると、海から吹く心地良い風で、幾分か心は晴れた。
こういう時に前向きになれないのが僕の悪いところなんだろうなぁと、しみじみ思う。モテない原因ってやつだ。
超能力を得て、少し特別な人間になったつもりでいたけれど、人の中身なんて、そう簡単には変わらないんだな。
「鴨川って、初めて来たけど良い所じゃん!」
「ああ、ね。僕は小さい頃にここの海に来たことあるけど、楽しかった記憶があるよ」
こんな時でも平常運行。さすが涼太だ。
彼女のいる男は、こんなに余裕があるのか。
一緒に居る友人が急に天恵を授かった上に、その天恵が物騒な能力だったのに、いつもと何ら変わらぬ顔をしている。
結局、僕らは目的地を決めずに歩き出した。
ホテルから海沿いを南下して仁右衛門島が見える広場にキッチンカーを発見し、そこを目的地とした。
ちなみに、仁右衛門島って思ってたよりずっと小さいなぁ、なんて思いながら見ていたのは、実は仁右衛門島ではなく、ただの名も無い半島だった。
後日気づいて二人で笑ったのは、また別のお話だ。
キッチンカーには唐揚げハンバーガーなる食べ物や、タコ焼きが売られており、僕らはタコ焼き一パックと、それぞれの飲み物を購入した。
男二人でタコ焼き一パックは何だかみみっちい注文になってしまったけど、ここで盛大に食べてしまっては夕飯を食べるのが苦しくなってしまうので、恥を忍ぶ。
「あそこに座って食おうぜ」
「うん」
僕達はヤシの木なのかパイナップルの木なのか、はたまた全く別の木なのか分からないが、南国っぽい木の下に腰を下ろして一休みする事にした。風が気持ち良い。
タコ焼きは想像の一・三倍くらい美味しかった。
隣が女の子だったらもっと美味しく感じたのかな?
「どうした相棒、なんか悩み事かい?」
涼太がやたら芝居がかった尋ね方をする。
まさか、顔に出てた? いやいや、そんな訳ない。
「え? どうして?」
「かぁっ、これだから童貞は。そんな分かり易く誤魔化すなよ。どうしましたか? ここでは言えない事ですか?」
くそっ。童貞だと嘘も吐けないってのか。んな馬鹿な。
「童貞って言うな。ダブルデートが気になってただけだし」
「えっ? そっち? あはははは! お前、面白すぎ!」
「笑うなよ。正直言うと、楽しみな気持ちもあるんだけど、自信が無いから不安とか緊張が勝っちゃってさ。仮に仲良くなれたとしても、その先どうして良いのか分からないし」
「はっははは! 謎に真面目か! そんなの、相手の女の子だって同じだろ。香菜の事だから徹のことも話してるだろうし、それでも会いたいって言ってくれてるんだから」
「もし、本物の僕を見た途端ガッカリしたらどうしよう」
「それならそれで良いだろ。見た目だけで嫌うような人なら、お前の方から断ればいいんだよ。気楽にいけ」
少し上から目線の気もするけど、確かに一理ある。
僕が外見より内面を気にするのと同じで、相手もあまり外見を気にしないタイプなら……いや待てよ、なぜ内面ならイケると思った! 僕は内面だってへなちょこだぞ!
「性格も引かれたらどうしよう」
「面倒くせぇな! 今みたいな感じでいったら百パーセントフラれるけど、普通にしてれば問題ないって! 保証する」
「……分かった。ありがとう」
「良いってことよ、青春だもんな。戻んぞ」
青春してるか。確かに、折角作ってくれた貴重な機会なんだから、結果砕けるとしても行くべきだ。
だって、彼女が欲しいから!
僕らはまた海沿いを歩き、ホテルを目指した。
こういう時に前向きになれないのが僕の悪いところなんだろうなぁと、しみじみ思う。モテない原因ってやつだ。
超能力を得て、少し特別な人間になったつもりでいたけれど、人の中身なんて、そう簡単には変わらないんだな。
「鴨川って、初めて来たけど良い所じゃん!」
「ああ、ね。僕は小さい頃にここの海に来たことあるけど、楽しかった記憶があるよ」
こんな時でも平常運行。さすが涼太だ。
彼女のいる男は、こんなに余裕があるのか。
一緒に居る友人が急に天恵を授かった上に、その天恵が物騒な能力だったのに、いつもと何ら変わらぬ顔をしている。
結局、僕らは目的地を決めずに歩き出した。
ホテルから海沿いを南下して仁右衛門島が見える広場にキッチンカーを発見し、そこを目的地とした。
ちなみに、仁右衛門島って思ってたよりずっと小さいなぁ、なんて思いながら見ていたのは、実は仁右衛門島ではなく、ただの名も無い半島だった。
後日気づいて二人で笑ったのは、また別のお話だ。
キッチンカーには唐揚げハンバーガーなる食べ物や、タコ焼きが売られており、僕らはタコ焼き一パックと、それぞれの飲み物を購入した。
男二人でタコ焼き一パックは何だかみみっちい注文になってしまったけど、ここで盛大に食べてしまっては夕飯を食べるのが苦しくなってしまうので、恥を忍ぶ。
「あそこに座って食おうぜ」
「うん」
僕達はヤシの木なのかパイナップルの木なのか、はたまた全く別の木なのか分からないが、南国っぽい木の下に腰を下ろして一休みする事にした。風が気持ち良い。
タコ焼きは想像の一・三倍くらい美味しかった。
隣が女の子だったらもっと美味しく感じたのかな?
「どうした相棒、なんか悩み事かい?」
涼太がやたら芝居がかった尋ね方をする。
まさか、顔に出てた? いやいや、そんな訳ない。
「え? どうして?」
「かぁっ、これだから童貞は。そんな分かり易く誤魔化すなよ。どうしましたか? ここでは言えない事ですか?」
くそっ。童貞だと嘘も吐けないってのか。んな馬鹿な。
「童貞って言うな。ダブルデートが気になってただけだし」
「えっ? そっち? あはははは! お前、面白すぎ!」
「笑うなよ。正直言うと、楽しみな気持ちもあるんだけど、自信が無いから不安とか緊張が勝っちゃってさ。仮に仲良くなれたとしても、その先どうして良いのか分からないし」
「はっははは! 謎に真面目か! そんなの、相手の女の子だって同じだろ。香菜の事だから徹のことも話してるだろうし、それでも会いたいって言ってくれてるんだから」
「もし、本物の僕を見た途端ガッカリしたらどうしよう」
「それならそれで良いだろ。見た目だけで嫌うような人なら、お前の方から断ればいいんだよ。気楽にいけ」
少し上から目線の気もするけど、確かに一理ある。
僕が外見より内面を気にするのと同じで、相手もあまり外見を気にしないタイプなら……いや待てよ、なぜ内面ならイケると思った! 僕は内面だってへなちょこだぞ!
「性格も引かれたらどうしよう」
「面倒くせぇな! 今みたいな感じでいったら百パーセントフラれるけど、普通にしてれば問題ないって! 保証する」
「……分かった。ありがとう」
「良いってことよ、青春だもんな。戻んぞ」
青春してるか。確かに、折角作ってくれた貴重な機会なんだから、結果砕けるとしても行くべきだ。
だって、彼女が欲しいから!
僕らはまた海沿いを歩き、ホテルを目指した。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる