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雨の日にこんにちは
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窓を激しく叩くような音が聞こえる。
その音はザァーザァーというかのように響き誰も居ない図書館の中を駆け巡った。
俺はそんな鬱陶しい雨音に嫌気をさしながら、読む気もない本を、近くにあった本棚から一つ取り出して。
ただただ暇つぶしをするために、ページをめくりながら規則正しく並んだ席に座ると。
ーーなんとそこには先客が居て…。
俺はこげ茶色の目を大きくしながら、そこにいる銀髪を腰まで伸ばした、どこか大人しそうに見えて何か違う。
まるで、どこか言い知れぬ怪しさをもった、俺より一つ学年が上であろう人物をまじまじと見ながら隣に座り。
そして俺はその人物の隣で、まるで正反対のような行動をするかのように。
本をひたすら読んでる人物の隣で、本を読まず。まるで寝るような姿勢をとりながら机に自分の黒髪をのせて目を瞑れば。
「…ここで寝るのかい?」と隣で本を読んでいる銀髪の男はそう優しく、小さく言うので。
俺は「別に…良いだろう、俺の勝手だろう」と返せば男は笑いながら。
「じゃあ…好きにすればいいさ」と言いながら本のページをめくった。
俺は男に好きにすればいいと言われたので、別にお前に言われたくないってのと思いながら。
眠気もない目を開けてこっそり隣にいる人物の顔をよく見れば。
キリッとした水色の瞳と、知性のある顔付きで…。
まさに、俺の好みというかのような人物だったので。
男にしか興味を持てない俺は、その容姿にドキドキと胸が高鳴り。
ーー思わず心の中でこう、
『…本なんか読んでないで、俺と遊んでくれないかな…』と呟きながら相手に気づかれるような勢いで、相手の顔をじっと見続けていたら。
男は俺のそんな様子に気がつき。
本を読むのをやめて。
「寝るのをやめたと思ったら、今度は何故僕を見るのかな?」
「べ、別にお前なんか見てねぇよ 勘違いすんなっー!!」
「えっ…。明らかに僕を見てよご主人様って顔してたのに、そいうこと君言っちゃうんだ」
男はそう言いながら、俺の黒い前髪をもち上げるかのように掴み。
「…聖弥君、あんまり僕を煽ると痛い目見るのは君だよ。…でもそれが良いなら、いつだって相手してあげる」と、
意地悪な笑みを見せたので、俺は何故この人物が俺の名前を知っているのかという、言い知れぬ恐怖を感じて、思わず。
「…なんで、俺の名前を知ってるんだよ。あんたは誰だ?」と声を震わせながら言えば。
「ああっ…そうか。君は僕のことを、知らなかったね。まあそんなこと、どうでも良いことなんだけど…。でも知らないのは怖いよね、だから俺の名前ちゃんと教えてあげるよ」と、
男は俺の反応にそう嬉しそうに答えながら。
「俺は由也…君の兄の親友の由也さ」と。
俺の髪に口づけを落としつつ、そう告げた。
その音はザァーザァーというかのように響き誰も居ない図書館の中を駆け巡った。
俺はそんな鬱陶しい雨音に嫌気をさしながら、読む気もない本を、近くにあった本棚から一つ取り出して。
ただただ暇つぶしをするために、ページをめくりながら規則正しく並んだ席に座ると。
ーーなんとそこには先客が居て…。
俺はこげ茶色の目を大きくしながら、そこにいる銀髪を腰まで伸ばした、どこか大人しそうに見えて何か違う。
まるで、どこか言い知れぬ怪しさをもった、俺より一つ学年が上であろう人物をまじまじと見ながら隣に座り。
そして俺はその人物の隣で、まるで正反対のような行動をするかのように。
本をひたすら読んでる人物の隣で、本を読まず。まるで寝るような姿勢をとりながら机に自分の黒髪をのせて目を瞑れば。
「…ここで寝るのかい?」と隣で本を読んでいる銀髪の男はそう優しく、小さく言うので。
俺は「別に…良いだろう、俺の勝手だろう」と返せば男は笑いながら。
「じゃあ…好きにすればいいさ」と言いながら本のページをめくった。
俺は男に好きにすればいいと言われたので、別にお前に言われたくないってのと思いながら。
眠気もない目を開けてこっそり隣にいる人物の顔をよく見れば。
キリッとした水色の瞳と、知性のある顔付きで…。
まさに、俺の好みというかのような人物だったので。
男にしか興味を持てない俺は、その容姿にドキドキと胸が高鳴り。
ーー思わず心の中でこう、
『…本なんか読んでないで、俺と遊んでくれないかな…』と呟きながら相手に気づかれるような勢いで、相手の顔をじっと見続けていたら。
男は俺のそんな様子に気がつき。
本を読むのをやめて。
「寝るのをやめたと思ったら、今度は何故僕を見るのかな?」
「べ、別にお前なんか見てねぇよ 勘違いすんなっー!!」
「えっ…。明らかに僕を見てよご主人様って顔してたのに、そいうこと君言っちゃうんだ」
男はそう言いながら、俺の黒い前髪をもち上げるかのように掴み。
「…聖弥君、あんまり僕を煽ると痛い目見るのは君だよ。…でもそれが良いなら、いつだって相手してあげる」と、
意地悪な笑みを見せたので、俺は何故この人物が俺の名前を知っているのかという、言い知れぬ恐怖を感じて、思わず。
「…なんで、俺の名前を知ってるんだよ。あんたは誰だ?」と声を震わせながら言えば。
「ああっ…そうか。君は僕のことを、知らなかったね。まあそんなこと、どうでも良いことなんだけど…。でも知らないのは怖いよね、だから俺の名前ちゃんと教えてあげるよ」と、
男は俺の反応にそう嬉しそうに答えながら。
「俺は由也…君の兄の親友の由也さ」と。
俺の髪に口づけを落としつつ、そう告げた。
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