こんにちははじめまして

面蛸とおる

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「ちょっ…何するんだよ!?  アンタ!!」

「えっ…何するって、ただの異国の挨拶だけど。…ほらよく見てよ、この本に書いてあるでしょう?」 

由也と名乗った人物はそう言いながら、俺の目に入る位置に読んでいた本を置き。

ソレが書かれているページを見せた。

俺はその一連の動作を見ながら、本に書かれているページを見ると。

なんとそこには、異国の王子が異国の姫に口づけを贈るシーンで。

ーーもしかして、こいつ…。俺をお姫様扱いしているのか? という疑問がふつふつと心に湧き、

思わず俺はこう返す。

「っ…ふざけんなよ。俺はお姫様じゃないっ!!」

「ハハハ怒ったって可愛い顔だから、野良猫が威嚇しているみたいで、ちっとも怖くないな」

由也はそう笑いながら言って、さらに俺に近づいて来るので。

俺は逃げようと思い体を傾けたが…。

どうやら相手の動作のが速く、気がつけば俺は由也に腕をとられており。

そして、勢いよく腕を強く引っ張られ…。

俺は知らぬ間に、相手の胸へと体をダイブさせていたので。

俺は見た目気弱そうな雰囲気の由也に、まさかこんなことをされるとは思わず。

頭の中が真っ白になるぐらい慌てて、背中に腕を回してくる、どこか楽しげであって優しさもある笑みを浮かべている由也の胸を、ポカポカと叩いた。

「ーーっだから、俺をなんだと思ってるんだよ!!このバカっ!?…あとな言っとくが俺はネコじゃないぞ !!俺はタチで、こいうのはマジ勘弁なんだけどっーー!!」

「ふーん君がタチなの?…あっそ。まあ、僕からしたら君はネコさんだから、君がそう言ってもやめないけどね」

由也はそう本当にどうでもよい感じに呟き。
 
暴れる俺の顎を掴み、指で顔を上げさせながら唇に触れるだけの口づけをおとしてきたので。

 
ーー俺は思わず顔を真っ赤にさせながら、キスをされた事に少しだけ心を踊らせつつ、タチとして由也に文句を言おうと、口を開けようとしたら…。 


俺より先に由也が、


「こんにちは 、はじめまして…僕は君にやっと会えて嬉しいよ」と、囁くように甘く優しい声でそう言うので。
 
俺は言いたかった文句を言うことすら忘れて、唯々甘く笑う彼に…。

 

 「はじめまして こんにちは…」と返した。






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